医薬品評価委員会 2011-37 治験依頼書と審査委受託契約の順序

関連分類:治験審査委員会

初回公開年月:2012年04月

質問

外部医療機関からの審査依頼を受ける治験審査委員会の事務局です。ある治験の審査を当方の治験審査委員会に委託する医療機関(以下、先方医療機関)から、審査委受託契約の締結を急ぎたい旨の希望があったため理由をお聞きしたところ、この契約書が締結されていないと治験依頼書を受領できないとの回答でした。

契約書の形態は包括ではなく、治験ごとの審査を契約する形態であり、契約書中に治験課題名が表記されます。

契約締結者である先方医療機関の長は、治験依頼書により審査が必要な治験の内容を把握し、どの委員会に審査依頼をかけるべきかを判断し、その後に選定した治験審査委員会が外部である場合は「審査委受託契約」を締結するという手順になると理解していますが、それが正しければ審査委受託契約が治験依頼書より先に発生することはあり得ないのではないかと考えます。上記を先方医療機関に申入れましたが、先方医療機関の事務局(実質はSMO)は審査委受託契約が治験依頼書よりも先との一点張りです。基本的には委託側医療機関の問題なので、可能な範囲で速やかに契約締結を行なう予定ですが、本質的には理解できていません。

治験依頼書を作成・提出するのは治験依頼者と治験責任医師であり、提出を受けた実施医療機関の長が外部治験審査委員会と審査委受託契約を締結するという順序で認識していたのですが、この認識が誤っているのであれば、ご示唆いただきたく質問させていただきました。

製薬協見解

GCP第27条第1項ガイダンス1では「実施医療機関の長は、治験ごとに適切な治験審査委員会を選択し、調査審議の依頼を行うこと」とされています。また、GCP第30条第2項では「実施医療機関の長は、外部の治験審査委員会に調査審議を行わせることとする場合には、あらかじめ当該治験審査委員会の設置者と契約を締結しなければならない」とされています。したがいまして、契約は遅くとも実施医療機関の長から調査審議を依頼する前には締結しなければなりませんが、治験依頼者からの治験依頼書の提出時期との関係は特に規定されておらず、治験依頼書の提出前でも後でも構いません。

一方、治験依頼者は、治験を依頼する前に治験審査委員会の情報を調査した上で実施医療機関を選定したり、また治験計画届書に治験審査委員会の設置者の名称(法人名及び代表者氏名)及び所在地を記載して届け出たりする必要があります。ご質問の内容からは、先方医療機関が治験依頼者から治験依頼書を受領できない理由がはっきりとしていないため、推測になってしまいますが、この調査回答の一環として、先方医療機関から審査委受託契約の締結を急ぎたい旨の要望をなされているのであれば、調査審議を依頼するために選択した治験審査委員会の名称等を先方医療機関が治験依頼者に伝えることでも事足りるものと思われます。

なお、ご質問にあるような事態を避けるために、治験手続きの効率化・期間短縮等の観点からも、治験ごとに実施医療機関と契約を締結するのではなく、包括的な契約を締結しておくことをお勧めします。

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