医薬品評価委員会 2011-36 実施医療機関による同意書(写)の保存

関連分類:同意の取得

初回公開年月:2012年04月
改訂公開年月:2021年03月

質問

ある医療機関の治験責任医師は、同意書原本を被験者が持つべきであり、医療機関(または診療録)が持つべきではないと考えておられます。実際の治験において、同意書原本を被験者へ渡し、医療機関は写しのみを保存されています。

GCP第53条(同意書の交付)では、「同意書の写しを被験者に交付する」と記載されていますので、GCP上問題と考えられます。しかし、治験責任医師としての考えをもってさえすれば、問題ないものと医療機関は考えているようです。治験審査委員会でも特に指摘がない状態です。

  1. なぜ原本は医療機関が保管すべきで、写しを被験者となっているのでしょうか。
  2. 上記の事例についてはGCP上問題と考えていいでしょうか?

製薬協見解

治験責任医師等は、同意取得に際して、治験責任医師等及び被験者が記名押印又は署名した同意文書の写しを説明文書とともに、当該被験者に交付しなければなりません(GCP第51条、第53条)。さらに、「治験に係る文書又は記録について」(厚生労働省医薬食品局審査管理課 事務連絡)では、「45.1 記名押印又は署名済み同意文書(改訂版を含む。)」は、実施医療機関にて保存することとされております。同意文書原本は規制当局による調査又は治験依頼者の監査担当者による監査等において、実施医療機関が提示する義務があり、それに対応できるように適切に保存しておく必要があります。

治験はGCPに従い実施いただく必要がありますが、ICH-GCP 4.8.11でも以下のように被験者は原本ではなく写しを入手するように規定されています。

Prior to participation in the trial, the subject or the subject's legally acceptable representative should receive a copy of the signed and dated written informed consent form and any other written information provided to the subjects.(被験者又はその法定代理人等は、治験に参加する前に、署名と日付が記入された同意文書の写し及びその他の被験者への説明文書を受取るものとする。)

したがいまして、実施医療機関が原本を保存していないことは適切ではないと考えます。

見解改訂理由

「治験に係る文書または記録について」の改訂に伴い、参照文書番号を変更しました。

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