医薬品評価委員会 2011-35 公表用治験審査委員会の会議記録概要を議事録で代用することの可否

関連分類:治験審査委員会

初回公開年月:2012年04月

質問

治験審査委員会の会議記録概要等の公表につきましては、平成20年の改正GCP省令により規定されているところだと思いますが、この中で、「実施医療機関等のホームページで公表することが望ましいが、体制が整っていない場合には事務所に備えておくこと等により一般の閲覧に供している事で差し支えない」とあります。

当院はホームページはありますが、会議録概要等を公表できる体制が整っていない(定期的にホームページを更新できる職員が院内にいない)ため、書面で治験事務局に備え置いています。

ホームページで公表できないため、GCP上定められている会議記録概要等の作成の必要性をとある製薬会社様に質問したところ、「議事録内に公表に当たって必要とされている項目が網羅されていれば、別に会議記録概要を作成しておく必要はなく、議事録をこれに読み替える事で問題ない」と判断頂き現在に至っています。閲覧の希望があった場合には、他の治験依頼者の治験はマスキングなど必要な措置は施した状態で、議事録を公表しています。

しかし、最近開始された治験の治験依頼者より「議事録は議事録、概要は概要なので、たとえ議事録上に必要事項が全て網羅されていても、会議記録概要は作成の必要がある。議事録と一緒に会議記録の概要もファイルに保管してほしい」とお話がありました。ホームページ上で公表できる体制が整っていないため、また、議事録で読み替える事で問題ないとお話もいただいていたため概要を作成していないと説明したのですが、「GCPで定められていますので必要です」との事で、今回の要求に関しては理解に苦しんでいます。

「議事録は議事録、概要は概要」なのか、「内容が網羅されていれば、公表体制が整っていないので

議事録に必要事項があれば読み替えて問題ない」なのか、この様な場合、どのように対応したらよいのでしょうか。

製薬協見解

ご質問にありますように、「会議の記録の概要」に必要な項目の記載が「議事録」にあれば、「議事録」を「会議の記録の概要」に読み替えることで問題ないと思われます。

治験審査委員会の「会議の記録の概要」等は、GCP第28条第3項ガイダンス3に規定されていますように、実施医療機関等のホームページや事務所に備えて置くことなどにより一般の閲覧に供しておく必要があります。また、一般の閲覧に際しては、治験依頼者の知的財産権を侵害する内容については、マスキングなどの措置を講じた上で公表する必要があります(GCP第28条第3項ガイダンス5)。このため、一般の閲覧の求めがある場合に、必ず必要な事項をマスキングして、速やかに提示できるように、閲覧用の「会議の記録の概要」を作成しておき事務所に備えておくことが一般的です。「議事録」は「会議の記録の概要」より含まれる情報が多いことが想定されますので、閲覧要求時に予め定めた部分に確実にマスキングを施した上で一般の閲覧に供していただく必要があります。また、そのことが治験依頼者にもわかるように、当該治験審査委員会共通の手順として文書化(例えば、治験審査委員会の手順書に記載)しておかれてはいかがでしょうか。

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