医薬品評価委員会 2011-20 他の医療機関と情報共有している電子カルテ上への治験関連情報の記録・格納

関連分類:記録の保存

初回公開年月:2011年09月
改訂公開年月:2013年04月

質問

当該医療機関は、大規模な私立病院です。地域の他の医療機関と9施設間で契約を締結し、患者様の入院カルテの検査データ、診療記録等ほぼ全ての情報を電子化し、当該施設の診療情報を、他施設から参照画面で確認できるようにされています。

患者様方へは、個別に同意書をとり、他施設への情報提供をすることの可否を事前に確認しています。但し、入院中に治験参加された方もいらっしゃるため、その場合、治験に関連した書類(同意書、カルテシート、併用薬、有害事象に関する情報など)の取り扱いをどうすべきかと考えております。

上記はカルテと一体との観点から、治験に関しても全ての内容を他施設へ情報提供していいものでしょうか?(治験参加終了後でも、他の医療機関にかかる場合、過去の治験による治療が分からないのも問題か?)これら情報は全て提供不可でしょうか?それとも、一部の情報は提供可能でしょうか?(例えば治験の同意書などは提供可、有効性・安全性が類推できるものは不可、など)具体的な事例や法的根拠があれば、併せてご教示ください。

製薬協見解

GCP第13条第1項ガイダンス3 (17) <4>に、治験の契約に記載すべき事項として「その他必要な事項(治験依頼者に帰属する情報の秘密の保全に関する事項等)」とあり、実施医療機関と治験依頼者との契約で機密情報を保全することが取り決められることになります。

したがいまして、治験依頼者が知的財産権を有する治験実施計画書、治験薬概要書、説明文書等に関する情報は当該契約に従って保全する法的義務が生じます。また、公知なものを除き、治験薬の性状、調製法、用量用法、有効性、安全性に関する情報(治験成績)についても同様に守秘義務が存在するものと考えられます。ただし、治験行為により生じた診療録の記録やご質問にある診療録の一部とされる治験関連書類は、知的財産権を有する記録ではないと考えられるため、他施設と共有することで問題ないと思われます。

治験依頼者に帰属する情報の詳細については、治験依頼者と協議することをお勧めします。

見解改訂理由

GCPガイダンス(平成24年12月28日 薬食審査発1228第7号)発出に伴い、参照する条項を変更しました。

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