医薬品評価委員会 2010-57 治験に係る文書又は記録の外部保存

関連分類:記録の保存

初回公開年月:2011年04月

質問

治験責任医師保管分の治験に係る文書又は記録のうち、「安全性情報に関する報告書」に添付の資料を、治験責任医師の代わりに病院(治験事務局)が保管することとなりますが、病院での保管スペースが無く、外部の倉庫業者と記録物管理業務委託契約を結ぼうと思います。その際に、治験実施中の書類でも可能でしょうか。また、治験実施中、治験終了後で取り扱いの差異がありますでしょうか。

契約書は、病院、治験依頼者、倉庫業者の3者契約として、治験依頼者が費用(保管料)を負担することは問題ないでしょうか。又は、病院(治験責任医師)の依頼により、治験依頼者が保管することとして、病院、治験依頼者、倉庫業者の3者契約で、治験依頼者が費用(保管料)を負担することはよいでしょうか。また、外部倉庫に保管可能あるいは、不可な書類等教えて下さい。

なお、当院の治験実施取扱規程(記録の保存)では、「治験実施計画書、診療録以外の原資料、同意文書及び説明書その他治験の実施に関する記録等は治験責任医師が保管しなければならない。」となっています。

製薬協見解

治験に係る文書又は記録(以下、記録)につきましてはGCP及び治験依頼者との契約に基づいて適切に保存しておく必要がありますが、その具体的な保存方法につきましては、実施医療機関の手順書に従っていただくことになります。

実施医療機関が保存すべき記録の保存を外部倉庫に委託する場合は、GCP第39条の2に従い、実施医療機関と外部倉庫業者との2者で契約を締結する必要があります。また、これらの記録は、治験依頼者、治験審査委員会又は規制当局の求めに応じて、速やかに直接閲覧に供することができるようにしなければなりません。さらに、治験中においては、治験責任医師等が必要な情報に何時でもアクセスできるような状態でない限り、実施医療機関内で記録を保存すべきと考えます。

GCP第41条第1項では、「実施医療機関の長は、記録保存責任者を置かなければならない。」と規定されており、同条第2項ガイダンスでは、「記録保存責任者は実施医療機関において保存すべき文書又は記録を保存する」旨が規定されております。したがいまして、治験責任医師の記録保存責任を治験依頼者が肩代わりすることは問題があります。

以上の点を考慮いただければ、外部倉庫に記録保存を委託することは問題ないと考えます。なお、外部倉庫に業務委託する場合の費用負担につきましては、治験依頼者により考え方が異なると思いますので、製薬協としての見解を示すことは差し控えさせていただきます。

なお、質問番号(2004-10 診療録の外部保管)もご参照ください。

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