医薬品評価委員会 2010-38 治験責任医師、実施医療機関の長が保存すべき記録の一括ファイリング

関連分類:記録の保存

初回公開年月:2011年01月
改訂公開年月:2021年03月

質問

GCP第41条第1項ガイダンス2に「治験責任医師は、治験の実施に係る文書又は記録を実施医療機関の長の指示に従って保存すること。」とありますが、治験終了後の保存について、治験事務局、治験責任医師、治験薬管理者と分けずひとつにまとめて文書等を保存することは問題ないのでしょうか。

また、質問番号2009-13にありましたが、IRBを設置している実施医療機関の治験事務局がIRB事務局を兼任している場合、重複した記録の保存は不要とのことですが、病院長と治験責任医師間の書類(宛先又は提出元に治験依頼者が入る場合も含め)についても、「治験に係る文書又は記録」一覧にあるもの以外、写し(提出控えとしての写し、もしくは内容確認のための写し(治験責任医師の治験契約書内容確認のための写しなど))の保存は必要ないと考えてよいのでしょうか。

製薬協見解

GCP第41条第1項ガイダンス1では「実施医療機関の長は、実施医療機関において保存すべき記録の保存に際しては、それぞれの記録ごとに記録保存責任者を定めておくこと。」と規定されています。また、「治験に係る文書又は記録について」(令和2年8月31日、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課 事務連絡)では、ご質問のような役割ごとの文書保存については求められておらず、実施医療機関として整理合理化して保存する文書・記録が一覧として示されています。したがいまして、実施医療機関の長の指示に従い、記録保存責任者が文書・記録を整理合理化して保存しておくことでも問題ないと考えます。

「治験に係る文書又は記録について」の一覧に示されている文書・記録は、上記の通知でも説明されていますように一例であり、治験実施の過程を確認できる文書・記録は保存しておく必要があります。ご質問の文書の一つに「治験責任医師の治験契約書内容確認のための写し」が挙げられておりますが、同文書がGCP第13条第1項ガイダンス1で規定されています「治験責任医師は契約内容を確認するが、必ずしも署名等は必要としない。」に該当する文書(つまり、写しに治験責任医師は署名等しない)ということでしたら、保存しておく必要はないと考えます。

なお、文書・記録を保存する意味は、「治験が倫理的・科学的に適切に行われたことを第三者に対して説明するための証跡として用いることができる。」ことにあります。諸手続き等で発生した文書・記録を適時ファイリングしていけば、第三者に対してもそのままの形で説明できるものと考えます。治験終了後に、「写し文書を改めて保存する」というようなことがないように、効率的な保存方法を検討されることお勧めします。

見解改訂理由

「治験に係る文書又は記録について」(令和2年8月31日厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課 事務連絡)発出に伴い、軽微な記載整備を行いました。

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