医薬品評価委員会 2010-29 治験審査委員会を所有する法人に所属する実施医療機関による、自施設治験審査委員会の設置

関連分類:治験審査委員会

初回公開年月:2010年10月

質問

当院は、ある法人に附属する病院の一つです。現在、この法人の附属病院の長全員を設置者とした共同IRBを設置していますが、今後、同IRBは全附属病院の共同IRBではなく、法人の設置するIRB(法人IRB)に変更される計画があります。

当院は、他の附属病院に比べ設立後の日が浅く、立地的に離れていることもあり、また、ある一つの法人に附属してはいても、医療機関としてはそれぞれ別個であると考えているため、設立当初より、当院独自のIRBを設置したいと考えておりました。しかし法人は、法人IRBとなった場合は全附属病院が必ずそのIRBに審議をかけなければならないとしており(よって当院の独自IRB設置は認められないということ)、その理由として、一つの法人であれば同じ案件に対し、どの附属病院であっても一つの統一された見解を持たなければならないこと、また今後国際共同治験が増加するにあたり、上記のような法人の統一見解は非常に重要であること、を挙げております。

当院としては、上記に申した通り、同じ法人の附属病院同士であっても医療機関としてはそれぞれ別個であるため、同じ法人の附属だという理由のみで同じIRBを選択する必要はなく、また、医療機関として異なれば規模や設備など様々な条件も当然異なってくるため、たとえ同じ案件に対してであっても、医療機関毎に異なる審議結果が出ることもあり得ると考えております。

また、国際共同治験であっても、当法人の附属病院のみで実施されるのであればともかく、他施設も参加するのであれば、当法人のみ見解を統一することに大きな意義はないと考えております。

そこでご質問です。(法人の方針などは考慮せず、一般的に、GCP上として、ご見解をお教え下さい。)

  1. もしある病院の附属する団体(法人)が「法人IRB」を設置したとしても、その病院が別に独自に医療機関設置IRBを設置し、そこへ審議をかけることに問題はないでしょうか。また、案件によって法人IRBを選択したり、医療機関設置IRBを選択したりすることは可能でしょうか。
  2. 国際共同治験は、それ以外の治験とは別格に、法人などの団体組織で統一した見解を持つというのは重要視されるのでしょうか。

製薬協見解

回答1

GCPでは、実施医療機関の所属する学校法人等が治験審査委員会を設置したとしても、実施医療機関が独自の治験審査委員会を設置することを妨げていません。

GCP第27条第1項ガイダンス2では「実施医療機関の長は、適切な治験審査委員会を選択するために必要な手順を定めるとともに、調査審議を行うために十分な人員が確保され、かつ、倫理的、科学的及び医学的・薬学的観点から審議及び評価することができる治験審査委員会を、治験ごとに適切に選択し、調査審議の依頼を行うこと。」と規定されております。したがいまして、手順に従い、治験ごとに異なる治験審査委員会を選択し、調査審議の依頼を行うことは問題ありません。

しかし、当初のGCPにおいては、治験審査委員会の設置者は実施医療機関のみであり、当該治験審査委員会のみに審議を依頼するものでしたが、その後の改正を経て、学校法人等も治験審査委員会を設置でき、実施医療機関の長は、適切な治験審査委員会を選定して審議を依頼することができる方向へと変わりました。これは、日本の治験をより円滑に実施するするためのものであり、セントラルIRBはその一環と考えます。したがいまして、個別の医療機関で治験審査委員会を設置する場合におきましては、治験の効率化、治験依頼者及び医療機関(治験審査委員会)の負担軽減等を目的としたGCP改正の趣旨を勘案して、ご判断されることをお願い致します。

回答2

国際共同治験だからといって、治験審査委員会の位置づけやあり方が変わるというものではありません。

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