医薬品評価委員会 2009-15 有害事象の治療薬に係る費用の負担(保険外併用療法費に関する通知の解釈)(その1)

関連分類:その他

初回公開年月:2009年07月
改訂公開年月:2021年12月

質問

ある治験で、発現した有害事象に対して処方された薬(同種同効薬に該当しない)が保険請求対象でないと保険査定時に指摘された事例がありました。その根拠として、平成9年1月31日に厚生省保険局医療課通知の『治験に係る診療の特定療養費化について』の3条2項において記載されている、以下の下線部の記載をもとに保険請求対象でなく、企業負担と主張されています。

『治験とは無関係の疾病(他科に属するものも含む。)に係る検査及び画像診断並びに当該治験の対象とされる薬物の予定される効能又は効果と同様の効能又は効果を有する医薬品に係る投薬及び注射に要する費用についても、治験期間中に実施されるものは、治験依頼者の負担とする。治験薬等の副作用による疾病に係る費用についても同様の取扱いとする。

今まで、「治験に係わる診療の特定療養費制度について 解説書平成15年3月」のP10 解説6.企業負担となる併用薬(投薬・注射)にも記載されている(下記参照)ように、有害事象に対して処方された薬剤に関しては、治験依頼者の負担ではないと解釈していました。

『検査と画像診断については、いかなる目的で行われても企業負担となるが、投薬・注射については、治験薬の予定している効能・効果と同様の目的で使用される併用薬は企業負担とし、それ以外は保険で給付することとした。

例えば、腫瘍縮小を目的とした治験薬について、この患者が嘔吐したり、痛みが激しい時に併用する制吐剤や鎮痛剤は保険負担となる。もし、他の抗がん剤との併用効果をみるというような治験を行う場合は、同じ目的で使用されるということで、この併用薬(他の抗がん剤)は企業負担となる。』

上記下線部の解釈について、製薬協の見解を教えて下さい。

製薬協見解

治験薬等の副作用による疾病に対して、検査、画像診断、当該薬物の予定される効能又は効果と同様の効果又は効果を有する医薬品の投薬及び注射に要した費用は、治験依頼者の負担です。すなわち、上記以外の医薬品の投薬、注射に要した費用は保険請求対象です。

補足

「治験に係る保険外併用療養費 解説とQ&A」(平成27年1月、じほう社)のQ&A 10、「疑義解釈資料の送付について(その1)」(平成28年3月31日 厚生労働省保健局医療課 事務連絡)の問219もご参照ください。

見解改訂理由

記載を見直し、見解文を一部修正しました。

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