薬事法第80条の2第10項において、「治験の依頼をした者又はその役員若しくは職員は、正当な理由なく、治験に関しその職務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。これらの者であった者についても、同様とする」と規定されており、退職した者に対しても、秘密の保持を求めています。そして、これに違反した者は、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられます(薬事法第86条の3)。
また、GCP第13条第1項ガイダンス6では、「『被験者の秘密の保全に関する事項』とは、法第80条の2第10項の規定により、治験依頼者又はその役員若しくは職員が、モニタリング、監査の際に得た被験者の秘密を漏らしてはならない旨、及び、これらの地位にあった者についても同様である旨を含むものである」とあり、治験契約書での該当条項の記載は統一されていませんが、被験者の秘密保全については明記されています。したがって、ご指摘の通り、別途覚書を締結すること、あるいはモニターの誓約書等を提出することは必ずしも必要ないと考えられますので、医療機関に覚書締結、誓約書提出の必要性を確認し、特段の理由がなければ、上記を説明の上、ご理解いただけるような工夫が必要かと思われます。
なお、直接閲覧の申請書については、モニターとCRC等の間で、閲覧実施の日時や対象症例(原資料)の確認が出来ないというようなトラブルを避けるため、あるいはカルテの出庫等の手続きが必要な医療機関もあることから、相互連絡のための書式等があったほうがよいという考えもあり、統一書式の参考書式2(直接閲覧実施連絡票)が作られました。しかし、本書式はあくまでも参考であり、その内容が確実に治験事務局等に伝わるようにすれば、FAXやEmail等で連絡することで十分かと思われます。
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