医薬品評価委員会 2008-31 治験審査委員会による被験者紹介依頼状審査の必要性

関連分類:治験審査委員会

初回公開年月:2009年03月

質問

A医療機関で実施している治験について、当該治験の治験責任医師が、知り合いの他医療機関の医師へ下記の内容でレターを発行し、被験者候補の紹介を受ける予定の場合、やはり当該レターや手順については、GCPの規定する『被験者募集手順』に該当し、治験審査委員会の承認が必要となるのでしょうか?

レターの記載内容

治験責任医師から知り合い医師宛

  • A病院で「治験」を実施している旨
  • 対象疾患
  • 当該治験の簡単な選択基準の記載
  • 該当しそうな患者がいる場合には紹介して欲しい旨

製薬協見解

治験に係る被験者募集につきましては、平成11年6月30日付け医薬監第65号にて厚生省医薬安全局監視指導課から「治験に係る被験者募集の情報提供の取扱いについて」が通知されています。この被験者募集は、「治験を円滑に推進するための検討会」からの一つの提言「イ.被験者募集のための情報提供活動」を受けて通知されたものですが、主に、個々の治験の実施に当たっての被験者への情報提供活動として、実施医療機関内外において国民が個々の治験の情報に触れる機会を与えることができる旨について提言されていたものです。

ご質問のケースは、治験の対象と考えられる被験者向けの情報提供活動ではなく、実施医療機関外の医療機関に向けての治験の情報提供に該当するかと思われますので、GCP第32条第1項/第2項ガイダンス2(3)でいう「被験者の募集手順(広告等)に関する資料」には該当せず、治験審査委員会の承認を取得する必要はないものと考えます。

しかし、実施医療機関以外への情報提供が、被験者募集に該当するか否かは、提供される情報の内容及び提供先での使用方法にも左右されるかと思われますので、詳細な治験の内容などが提供先で患者さんに説明される場合や、被験者を紹介する側の医療機関(の医師)に対して何らかの報酬が生じるかなども考慮の上、当該手順について治験審査委員会による審査の必要性を判断されることをお奨めします。

なお、通常、治験契約書及び/又は治験実施計画書においては「治験依頼者の事前の同意なしに第三者に情報を開示するができない」旨の注意事項が記載されており、治験責任医師には秘密の保全義務が生じることになりますので、この観点から、「知り合い医師にレターを送る(情報開示する)」ことについて、治験依頼者との事前合意は必要になると考えます。

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