知的財産制度

各国での適切な知的財産の保護は、患者さんに新薬を届ける研究開発を可能にします。

1)知的財産制度と新薬開発

グローバルヘルスへの貢献を目指し、製薬協会員会社は、日々医薬品の研究開発に取り組んでいます。研究開発を継続するために、また、各国において患者さんが医薬品にアクセスできる社会や体制を構築・維持するために、研究開発の成果である特許権、商標権、研究開発データ等の知的財産が適切に保護される制度が必要です。各国における知的財産の適切な保護は、次なる新薬を患者さんにお届けするための研究開発を可能にし、更には各国の経済など社会基盤を強化することに役立つものです。

2)発展途上国における医薬品アクセスと知的財産制度の貢献

我々は、発展途上国の患者さんに、NTDs治療薬並びにHIV、結核、マラリア等の感染症の治療薬を届けることを重要な課題であると認識しています。我々は、知的財産権による研究成果の保護を前提として、これら疾患に対する治療薬の開発や、官民パートナーシップ等による医療環境並びに保健システム等の改善等、医薬品アクセスの改善に協力していきます。また、医薬品アクセスの改善に知的財産権の利用が必要と判断される場合には、権利行使の是非、ライセンス条件の緩和などフレキシブルな特許権の運用により、研究開発や医薬品の適切な調達を促進し、グローバルヘルスに貢献しています。

3)強制実施権

世界貿易機関(WTO)が1995年に発行した貿易関連知的財産(TRIPS)協定により、加盟国政府は、一定の条件の下、特許権者の事前の承諾を得ることなく、特許権が保護する技術を許諾する権利を発動することができます。各国特有の事象により人々の生命の安全を守るため緊急避難的に強制実施権を医薬品供給に発動することは合理的であり、発展途上国に限らず有効な措置と認識しています。一方、強制実施権の発動のみでは医薬品アクセスを解決することはできません。合理性及び透明性を欠く強制実施権の発動は、適切な研究開発投資が行われ難いなどの懸念が残ります。我々は、持続可能な医薬品アクセスの向上のために、各国政府と対話を進めていきます。

会員会社の取り組み事例

WIPOリサーチコンソーシアム(WIPO Re:Search)への参画 エーザイと武田薬品工業は、世界知的所有権機関(WIPO)が主催するNTDs治療薬開発のための国際共同事業「WIPOリサーチコンソーシアム」に加盟しました。各加盟機関は、NTDsやマラリア、結核の薬剤・候補の知的財産や研究開発ノウハウなどを無償で提供し、研究者・機関と共有することで、治療薬開発につなげます。
Pat-Informed (Patent Information Initiative for Medicines)への参画 アステラス製薬、第一三共、エーザイ、塩野義製薬、武田薬品工業はWIPOとIFPMAとが共同で開発した特許データベースであるPat-Informedに参画し、所定の疾患領域とWHO Essential Medicines Listに関する医薬品登録特許情報を提供しています。

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