グローバルヘルスグローバルヘルス

知的財産の側面からのグローバルヘルスに対する貢献

2013 年3 月5 日
日本製薬工業協会

日本製薬工業協会(以下、製薬協)は、未だ満たされない医療ニーズの充足に積極的にチャレンジし、世界の患者さんに革新的な新薬を提供することにより、グローバルヘルスの向上に貢献することを社会的使命と認識しています。加えて、我々は「国際的な枠組みにおける公衆衛生の課題に真摯に向き合い、政府、国際機関などの各種ステークホルダーと連携し、発展途上国の医薬品アクセスの改善に貢献する」という国際協力事業に関する基本方針(2009)を掲げ、活動を行っています。
 当協会会員会社は、日々新規医薬品の研究開発に取り組んでいます。その研究開発には、9 年~17 年の長い期間および多大な投資が必要となっています。研究開発を継続するためには、また、各国において患者さんが医薬品にアクセスできる社会や体制を構築・維持するためには、研究開発の成果である特許権、商標権、研究開発データ等の知的財産が適切に保護される制度が必要です。各国における知的財産の適切な保護があってこそ、研究開発の成果である安全で有効な医薬品を患者さんにお届けし、患者利益を実現することができます。また、次なる新薬を患者さんの疾患治療に供するための研究開発が可能となり、更には各国の経済など社会基盤を強化することができます。
 一方、近年、知的財産保護の国際的枠組みを弱体化させかねない動きが多く見られるようになってきています。その一つが、インドやインドネシアなどで発動された強制実施権に関する動きです。世界貿易機関(WTO)が1995 年に発効した知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS 協定)により、加盟国政府は、一定の条件の下、特許権者の事前の承諾を得ることなく、特許権が保護する技術を許諾する権利を発動することができます。各国特有の事象により人々の生命と安全を守るため、知的財産権の存在の是非に関わらず緊急避難的に医薬品供給を可能にすることは合理的であり、発展途上国に限らず有効な措置と認識しています。しかしながら、強制実施権の発動のみでは医薬品アクセスを解決することはできません。合理性および透明性を欠く強制実施権の発動は、適切な事業投資への懸念を生じさせ得ます。我々は、持続可能な医薬品アクセスの向上のために、各国政府と対話を進めていきます。
 強制実施権の他にも、特許権の効力の制限、結晶多形・用途発明等の特許性否定、有用性に基づく特許無効など、医薬品特許を制限する法改正・特許審査基準改正や裁判所判決といった動きがインド、インドネシアに加え、例えばカナダでも見られます。
 我々は、これらの医薬品特許を巡る昨今の状況に鑑み、製薬企業が適切に事業展開し、患者さんへ新薬を届ける事業を継続していけるかどうかに関して懸念を抱いています。新薬の特許権による保護が期待できないとすれば、当該国の新薬市場への投資は減退し、長期的に見れば新薬へのアクセスを遅らせることになります。画期的な新薬の研究開発を継続するために、また、各国において新薬にアクセスできる社会や体制を構築・維持するために、強制実施権の発動に際して慎重な判断を行う等、研究開発の成果である特許権、商標権、研究開発データ等の知的財産が適切に保護されることは必要不可欠と考えています。
 製薬協は適切な知的財産権の制度・その運用による医薬品事業の保護が受けられることを前提に、上記の世界中の人々の健康に貢献するための活動がより一層充実したものに進展していくよう努めてまいります。

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