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「第4回 患者団体アドバイザリーボード」を開催

より良い医療情報の提供体制について意見を交換

2016年11月30日、製薬協において「第4回 患者団体アドバイザリーボード」が開催されました。患者団体連携推進委員会では、患者団体アドバイザリーボードを定期的に開催しており、患者団体のリーダーの方への情報提供や共通するテーマについて意見交換し、その結果を委員会活動に反映させています。今回はアドバイザー5名全員の参加のもと、4つのテーマに関する情報共有および意見交換が行われました。

2016/11/30


会場風景


表1 第2期「患者団体アドバイザリーボード」メンバーリスト

臨床研究に関する法制化について

 患者団体連携推進委員会の喜島智香子委員長による挨拶の後、製薬協 医薬品評価委員会 MA/臨床研究関係タスクフォースの宮本郁夫リーダーから、臨床研究法制化の経緯と臨床研究に関する法律について紹介を行いました。なお、「臨床研究の実施の適正化等に関する施策の推進に関する法律案」(以下、臨床研究法案)については、今回のアドバイザリーボード開催時点では、まだ衆議院厚生労働委員会において検討がなされていない状況であることから、前回の国会あるいはその後に得られた情報等をもとに紹介しました。
  まず、現行の制度では、臨床研究に関する不適正事案が判明した際の調査や再発防止策の策定、関係者の処分等において対応に限界があります。倫理指針を順守することだけでは十分とはいえない状況でもあり、法規制の必要性が求められることとなりました。しかし、過度な規制導入は研究の委縮などのマイナスの影響をもたらす懸念もあり、バランスの取れた制度が重要であることから、一定の範囲の臨床研究とすることが妥当とされました。
  また、製薬企業に対しては、透明性の確保へのよりいっそうの努力が求められており、臨床研究に対し、資金を提供する際の契約の締結を義務付けられるだけでなく、資金提供の情報等の公表も義務付けられています。臨床研究を実施する研究者および製薬企業に法的な義務が生じるため、臨床研究に対する信頼性が向上するとともに、これまで以上に国民(患者さん)の保健衛生の向上に寄与すると考えます。
 臨床研究法案の概要は次の通りです。
(1) 特定臨床研究[1]を実施する者に対して、モニタリングや利益相反管理等に関する実施基準の順守、記録の保存を義務付ける。
(2) 厚生労働大臣の認定を受けた認定臨床研究審査委員会が研究計画や有害事象対応の審査を実施する。
(3) 厚生労働大臣は、実施基準違反に対して、改善命令、認定取消等を命じることができ、保健衛生上の危害発生・拡大防止のために、必要な場合には研究の中止等を命じることができる。
(4) 製薬企業等に対して、特定臨床研究への資金提供について、契約の締結や公表を義務付ける。

[1] 特定臨床研究:「薬機法における未承認・適応外の医薬品等の臨床研究」と「製薬企業等から資金提供を受けて実施される当該製薬企業等の医薬品等の臨 床研究」

アドバイザーからのコメント

・ 臨床研究が広告に用いられるとはどのようなことか
・ 法制化により日本の臨床研究体制が世界的なレベルとなるのか

製薬協の対応

臨床研究の結果は、製品紹介の際に用いるパンフレット等に引用されることがあり、結果的に広告に該当すると考えられることから、パンフレット等に引用が予定される臨床研究は厳密で信頼性の高いものである必要がある。また、研究体制のレベルは、この法律がGCP[2]を含めたどういった基準に則って規制が行われるのか公表されていないため、現時点ではコメントできかねる。

 [2] Good Clinical Practice:医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令

「医療情報に関するアンケート(案)」について

 次に、患者団体連携推進委員会の「製薬協 産業ビジョン2025」対応タスクフォースの高本昌弥リーダーより、医療情報に関するアンケートの案を紹介し、アドバイザーと意見交換を行いました。
  製薬協は、来るべき2025年に向け、研究開発志向型の製薬企業の団体として、その使命を果たすために、今後どのような視点で、何に取り組む必要があるかを考え、「製薬協 産業ビジョン2025」を策定しました。その中で患者団体連携推進委員会は、患者参加型医療の推進に寄与する取り組みとして、患者さんが自ら医療に参加する社会の実現を目指し、医療情報の提供体制をより良いものにしていくことを検討しています。
  その際、新たな情報提供活動の検討が必要と考え、患者さんのニーズを理解することを目的にアンケートの実施を検討しました。なお、設問については製薬協の他の委員会(くすり相談対応検討会、医薬品評価委員会 臨床評価部会、産業政策委員会 ビジョン推進プロジェクト)とも連携し、設定しました。

医療情報に関するアンケート(案)の概要

「患者さんの背景」について
・ 回答者の立場・患者さんの性別・年齢・罹患
  「患者さんまたはご家族が入手したい医療の情報とその現状」について
・ 治療を受ける際の情報
  知りたい情報・入手法・現状の満足度・不満の理由・不足情報
・ くすりの情報
  知りたい情報・入手法・現状の満足度・不満の理由・不足情報
・ くすり相談窓口について
  認知度・利用実態・未利用の理由
・ 治験の情報
  認知度・治験情報への興味や必要度

 アンケートの設問内容に関して、アドバイザリーボードメンバーからさまざまな意見や提案がありましたので、タスクメンバーで引き続き検討し、取りまとめることとなりました。

アドバイザーからのコメント

・疾患名の設問は、医療費助成制度に基づくものと病態に基づくものが混在している。
・複数の疾患を抱えている患者さんも多く、回答する際、重複が考慮されていない。
・「医療情報」に関するアンケートというタイトルになっている点が気になる。医療情報には薬剤情報だけでなく、疾病ガイドラインや専門医制度なども含まれ、製薬協がそういったところまで踏み込むのか。また、日本では患者参加型医療はまだ定着していないが、製薬協として積極的に働きかけるのか。
・医療情報としては、先進医療も含め最新の治験情報も重要である。標準の療法、先進医療、治験情報なども確認できないか。
・視覚障害の方のために読み上げに困難がないように配慮をいただきたい。

「第2回 患者団体の意識・活動調査」について

 引き続き、製薬協の患者団体連携推進委員会のアンケートタスクフォースの丸本康博リーダーより、「患者団体の意識・活動調査」の結果について以下の紹介がありました。
  本アンケート調査は、日本における患者団体の活動状況や抱えている課題および今後の意向を把握し、製薬協の掲げる「患者参加型医療」の実現につなげるため実施するものです。調査期間は2016年の9月から10月にかけて、全国の患者団体407団体に配布し、インターネット等で回答を得ました。有効回答数は186件、回答率は45.7%という結果でした。
  透明性ガイドラインの認識については、「知っている」と回答したのは6割弱にとどまり、自由記述欄には「製薬協のガイドラインがあるおかげで、企業との距離の取り方がわかりやすくありがたい」といった肯定的な意見もありましたが、「ガイドラインを理由にして、患者団体との距離を拡大させないで欲しい。協力しないための理由付けにしないでほしい」といった否定的な意見もありました。また、製薬協や製薬会社には、患者団体の活動をあらゆる面でサポートしてほしいという要望や、新薬開発への期待、治験や副作用などの情報提供を求めるといった意見が多く見られました。主な回答結果は次の通りです。

組織の種別

種別は「任意団体」が55.1%で最も多く、次いで「NPO法人」が26.2%であった。前回調査より「認定NPO法人」「NPO法人」が6%程度減少し、「任意団体」が6%程度増える結果であった。

組織の活動範囲

活動範囲は「全国で活動している」組織が53.2%と、「地域で活動している」組織に比べ若干多く、半数を超えていた。グローバルに活動していると回答があった団体もいくつかあった。

会員数

会員数については、「100人〜500人未満」と回答した団体が全体の29.6%と最も多く、次いで「50人未満」が23.7%であった。会員数が「50人未満」の団体が、前回結果から10%以上増加しており、会員数が少ない団体が増加している傾向が見られる。

団体として取り組んでいる活動

「会員同士の会合」、「会員・患者の相談」が9割以上を占める結果であった(図1)。


1 団体として取り組んでいる活動:「会員同士の会合」「会員・患者の相談」が9割以上を占める

 今回のアンケートは、「第2回患者団体の意識・活動調査」として冊子にとりまとめ、第1回のアンケート結果同様に、製薬協のウェブサイト(http://www.jpma.or.jp/patient/research/index.html)にも掲載予定です。

アドバイザーからのコメント

・ このような調査は一患者団体だけではできないので、参考になる。一般社団法人は届出で設立ができるので、これが増えている理由の1つであろう。法人格をもつと監査、情報公開が必要となり、しっかりとした組織運営となることは良いことだと思う。ただ、当事者が闘病をしながら運営をしているので、提出書類や会議の数が増えるなど、法人を目指すことによって振り回され、本来の活動ができにくくなることがある。
・ 透明性ガイドラインのことは6割の団体が認識しているということだが、全国展開しているような団体においては、ガイドラインのことはほとんど認識していると思う。ただ、病院の中で患者さんが運営しているような団体もあり、必ずしも認識を10割にする必要はないと考える。

「災害時における医療用医薬品の提供」について

 製薬協の田中徳雄常務理事より、災害時の医療用医薬品の提供方法等について以下の紹介がありました。
 製薬企業は有効な新薬を創り出すことが一番の使命であるが、同じぐらい大事なことはそのくすりを途切れさせることなく、安定的に必要とする患者さんにお届けすることである。しかし、東日本大震災時には製薬企業の工場も被災し、供給が滞るといった事態が発生しました。それを教訓に製薬協では「災害時医療用医薬品提供マニュアル」を策定し、年2回見直しを行っています。
  災害発生時には、厚生労働省(医政局経済課)が窓口となり、被災地の被災状況の確認等を行い、製薬協、日本医薬品卸業連合会等と緊密に連携を取り対応を行います。災害時に医薬品が不足した場合、厚生労働省からの依頼に基づき、初めてわれわれは、医療用医薬品を提供することができます。医療用医薬品は医師の診断のもと処方されるという性格上、一部の特殊な事例を除いては、患者さんに直接医薬品を届けることができないということをみなさんにはご理解をいただきたいと思います。
 また2016年4月に発生した熊本地震では、医薬品はあるけれども服薬するための飲料水がないということが現場では起こっていました。製薬協として、そのようなケースにも対応できるように、今後もマニュアルの改訂を進めていきます。

最後に

 製薬協の田中徳雄常務理事より、「産官学の官というのは官僚の官ではなく患者さんの『患』であろうと思います。産業と学問の間に患者さんにも入っていただき、患者さんを中心に産・『患』・学の連携を図っていかなければならないと感じます。本日はアドバイザーのみなさんから貴重な意見をいただきました。これを受けてみなさんの想い、産・『患』・学の気持ちを忘れずしっかりと取り組んでいきたい」と締めくくり、「第4回 患者団体アドバイザリーボード」は閉会しました。

(文:患者団体連携推進委員会 池内 美浩)

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