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「製薬協メディアフォーラム」を開催

テーマは「AMEDとオーファンドラッグ開発〜実用化に向けて」

製薬協広報委員会は2016年9月16日東京で、「AMEDとオーファンドラッグ開発~実用化に向けて」をテーマにメディアフォーラムを開催しました。日本医療研究開発機構(AMED)創薬支援戦略部東日本戦略企画グループ調査役の林亜紀子氏から、現在AMEDで取り組まれている実用化に向けたオーファンドラッグ開発の現状と課題について講演がありました。講演の概要は以下の通りです。

2016/09/16


会場風景


日本医療研究開発機構
創薬支援戦略部
東日本戦略企画グループ
調査役の林 亜紀子 氏

日本医療研究開発機構(AMED)について

 AMEDは、2015年4月1日に発足した組織です。
  AMEDは、「医療分野研究開発推進計画」に基づき、医療分野の研究開発およびその環境の整備の実施、助成等の業務を行うことを目的としています。
  文部科学省、厚生労働省、経済産業省の医療分野の研究開発に係る予算をAMEDに集約、機構の運営に関しては中長期計画を策定し、中長期目標の達成を目指し、予算の集約と一体的な実行の実現をすることで研究開発におけるさまざまな支援を行っています。
  1つは、研究費等のワンストップサービス化の実現で、研究支援と環境の整備の一体的な実施や、研究費等の配分を受ける研究機関・研究者の事務負担の軽減であり、2つ目は、基礎から実用化までの一貫した研究管理の実現を目標としています(図1)。


図1 日本医療研究開発機構(AMED)の位置づけ

AMEDは、約300名の職員で、管理部門、支援部門、事業部門においてさまざまな業務を行っています。
  AMEDの目的は、医療分野の研究開発における基礎から実用化までの一貫した研究開発の推進・成果の円滑な実用化および医療分野の研究開発のための環境の整備を総合的かつ効果的に行うため、健康・医療戦略推進本部が作成する医療分野研究開発推進計画に基づき、医療分野の研究開発およびその環境の整備の実施、助成等の業務を行うことです。
  平成28(2016)年度の予算は、AMED対象経費が1,265億円、調整費が175億円となっています。
  事業方針は、医療に関する研究開発の実施、臨床研究等の基盤整備、知的財産取得や実用化に向けた企業連携等の産業化へ向けた支援および国際戦略の推進としています。

創薬支援戦略部について

 AMEDの創薬支援戦略部は、事業部門の中にある6つの事業部のうちの1つで、大阪と東京・日本橋の2拠点で事業を行っています。
  AMEDの事業部門は、戦略推進部の7つの課とそのほかの5つの事業部が連携をとりつつ事業を推進しています。この柔軟な「縦横連携」により、研究開発推進、情報共有の効果がさらに増すことになります。
  この体制の中で創薬支援戦略部は、創薬支援ネットワークによる支援を行っています(図2)。


図2 AMEDにおける「縦横連携」

 創薬支援ネットワークとは、大学や公的研究機関等の研究者が保有する優れた基礎研究の成果を医薬品として実用化に導くため、AMEDが本部機能を担って、国立研究開発法人理化学研究所、同医薬基盤・健康・栄養研究所、同産業技術総合研究所と連携をとり、革新的医薬品の創出に向けた研究開発等を支援する仕組で、2013年に開始しました。
  AMEDでは、創薬支援ネットワークに係る事業を創薬支援推進事業・創薬総合支援事業として推進しており、アカデミア発のシーズを実用化につなげるための支援ということで、実用化の可能性の高い創薬シーズに対して、医薬品開発の「死の谷」といわれている部分の技術支援、非臨床試験、知財管理等に関する支援費用を負担し、探索研究から前臨床開発、権利化、企業導出等を切れ目なく総合的に支援することで、創薬シーズの早期実用化を図ろうと取り組んでいるところです(図3)。


図3 創薬支援推進事業

 創薬支援戦略部が有用シーズの調査・評価を行ったうえで課題を設定し、知財戦略策定および研究戦略の策定、プロジェクトマネージメント、製薬企業等への導出や医師主導治験への橋渡しに係る支援などを行っています。
 また、この創薬支援を効率化する事業として、創薬支援戦略部では、「産学協働スクリーニングコンソーシアム(DISC)」を推進しています。DISCは、AMEDが製薬企業(会員企業)からHTS用に提供を受けた化合物を用いて、創薬シーズ(創薬標的)に対してスクリーニングを行い、その結果を会員企業にフィードバックする取組です。現在22社から20万化合物の提供を受けています。
創薬支援効率化として、「創薬支援インフォマティクスシステム」の推進も行っています。我が国で整備されてきた医薬品の薬物動態、心毒性、肝毒性などさまざまなデータベースを統合し、構造情報を入力することによって、一定の医薬品特性を把握できるデータベースの構築を進めています。
 医薬品の開発において、アカデミア発創薬シーズの実用化が課題ではありますが、オーファンドラッグの開発に企業が参加しにくいという課題も挙げられます。創薬支援戦略部では、企業を対象とした開発にかかわる費用を補助する仕組みを構築し、オーファンドラッグの開発支援を行っています。

希少疾病領域における支援等について

 厚生労働省においては、オーファンドラッグの指定制度がありますが、これは医療上の必要性が高いにもかかわらず、患者数が少なく、研究開発が進まない医薬品の開発支援を目的にしています。
  指定要件は、対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の3項目が定められています。指定要件を満たし、オーファンドラッグとして指定されたものについては、優先審査の実施や、申請手数料の減額、試験研究費の助成金交付、税制措置上の優遇等の支援を受けることができます。
  また、オーファンドラッグ指定の仕組みですが、厚生労働省で、常時、指定相談の受付を行っていますので、製造販売業者はまず厚生労働省に相談のうえ、指定申請を行います。その後、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)で事前審査が行われ、薬事・食品衛生審議会での審議を経て、最終的に厚生労働大臣がオーファンドラッグを指定するという仕組みになっています。
  オーファンドラッグ指定制度においては、厚生労働省、PMDAのほか、医薬基盤・健康・栄養研究所も試験研究費の助成金の交付等の役割を担っています。
  ここまでオーファンドラッグ指定制度の概要について説明し、オーファンドラッグ指定後の支援について話してきましたが、指定前においてAMEDはどのような支援を行っているのかという一例を紹介します。
  難病・希少疾病領域が対象となるのではないかと思われる事業の例を抜粋しました(図4)。難病・希少疾患という点で中心となるのは、戦略推進部が行っている難治性疾患実用化研究事業があり、臨床研究領域においては臨床研究・治験基盤事業部の各事業があります。また、産学連携部が行っている産学連携医療イノベーション創出プログラムは、大学等のいわゆるアカデミアと企業・病院等との連携を通じて、大学等の研究成果の実用化を促進し、イノベーションの創出を目指しています。しかし、これらは、基本的にはアカデミアを対象としたものです。アカデミアを対象とする支援はもちろん必要ですが、オーファンドラッグ指定のその先に製造販売承認があることを考えると、製造販売承認企業を対象とした事業も必要であるということで、AMEDは企業のみを対象とした事業である「希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業」を創薬支援推進事業の中に立ち上げました。


図4 AMEDにおいて、難病・希少疾患領域が対象となりうる事業(例)(医薬品開発・創薬支援)

希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業の概要について

オーファンドラッグに指定された後であれば、支援や助成事業がありますが、前臨床開発やオーファンドラッグ指定前の臨床試験(開発初期)の段階においては、企業に対する助成等の支援がないため、このステージのことを希少疾病用医薬品開発における「死の谷」といいます。
  この「死の谷」を埋める対策として、希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業がつくられました(図5)。この事業の目的は、患者数が少ないということで参入が難しい疾患領域に対し補助をすることによって、少しでもオーファンドラッグの領域に参入する企業を増やすことであり、国内での開発を目指す製薬企業およびベンチャー企業も含めた研究開発型企業からの応募を想定しています。


図5 希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業の背景

 本事業は、創薬総合支援事業で導出されたものも含めたアカデミア発のシーズだけでなく、各企業が保有し、研究開発を進めている研究開発品目を対象として、募集・評価し、採択された品目を3事業年度に渡って補助金を交付する仕組みになっています。
  採択された品目については、補助事業期間中に進捗評価を行うことによって、事業の進捗状況を確認するというスタイルをとっています。
  AMEDの希望としては、この補助金を活用することでオーファンドラッグ承認申請に積極的に取り組んでいただければと思っています。
  ただし、実用化を謳ってはいますが、あくまでもAMEDの視点で評価をし、採択を行っていますので、本事業に採択されたとしても、厚生労働大臣によるオーファンドラッグの指定を保証するものではありませんので、その点はご留意ください(図6)。オーファンドラッグの指定は、別途厚生労働大臣に申請をいただいたうえで指定を受けるという形になります。


図6 <オーファン指定前支援>「創薬支援推進事業・希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業」

 各事業によってとらえ方は異なるかと思いますが、本事業における実用化とは、製造販売承認を意味しています。すなわち、本事業を活用することによって、オーファンドラッグの大臣指定を受け、さらに製造販売承認取得を可能にするということを実用化とし、これを目的とした事業であるというところです。
  2015年度から本事業を開始しましたが、2015年度は準備の都合により、公募開始は2015年11月、採択は2016年2月という状況でした。
  今年度は、7月に公募を開始しました。公募課題としては、オーファンドラッグとして製造販売承認取得を目指す開発品目とし、補助金額は、1研究開発品目あたり年間上限5000万円としています。医薬品の開発というと膨大な費用を要することは承知していますが、あくまでも「開発費用の一部を補助する」という位置づけの事業であり、今年度公募分については5000万円としています。支援実施予定期間は平成28(2016)年度から30(2018)年度の3年間で、新規採択課題予定数は0~3課題の予定です。スケジュールは、公募期間が平成28(2016)年8月3日まで、その後書面審査、ヒアリングによる選考後、9月上旬に採択の可否の通知の予定でしたが、少々遅れています。まもなくAMEDのホームページ上で公表できる段階まできています。
  本事業の目的は、オーファンドラッグの製造販売承認取得を目指す研究開発型企業におけるヒト初回投与試験実施前および以降の開発を推進するために、その環境整備の一環として開発費用の一部を補助するというものです。
 医薬品開発費のすべてを補助することはなかなかできませんので、各企業の開発計画にのっとった形で、その計画の一部を補助するという趣旨で支援するということになります。
  企業においてオーファンドラッグは、なかなか手を出しにくい領域ですので、この補助金を通じて少しでもオーファンドラッグ開発に参入する企業を増やしていきたいという思いで事業を行っています。
  募集対象となる開発品目は、オーファンドラッグ指定となる前の開発品目が対象となります。交付対象者は、オーファンドラッグとして開発を目指す品目を有する研究開発型企業等としており、複数の開発品目について申請することも可能ですし、共同開発の場合は、共同申請してもかまいません。ただし、同一品目に対して複数の採択は行いません。
  応募資格は、公募要領に記載した9つの要件を満たした国内の企業としています。外資系、内資系問わず、国内においてオーファンドラッグの製造販売承認取得を目指す企業であれば応募可能です。また、応募資格として、医薬品の製造販売業の許可を有していることを求めていますが、初期の開発段階をベンチャー企業が担っているケースも想定されますので、ベンチャー企業も応募できるように、「医薬品の研究開発においての十分な知識、経験、実績等を有している場合はこの限りではない」としています。
  補助期間については3事業年度となります。ただし、オーファンドラッグの指定が行われた場合、または開発が中止となった場合は、その日までとします。また、オーファンドラッグ指定を受けずに製造承認申請を行った場合も想定されますので、この場合は申請を行った事業年度の末日までとします。
  補助の対象は、製造販売承認取得を目指すために必要と考えられる開発遂行にかかる経費となりますが、例えば、品質試験や非臨床試験、臨床試験、治験薬の製造費、CRO委託費などが対象となります。海外で実施する開発や試験などもあるかと思いますが、これらも対象となります。
  ただし、対象となるのは国内外を問わず、企業が直接契約しているものとなります。
  また、PMDAの対面助言などの手数料については、承認申請にかかわる費用になりますので、対象外となります。
  よく受ける質問として、医師主導による治験費用は対象になるのかというものがあります。医師主導による治験であっても、例えば、企業が治験薬の費用を負担している場合はその費用は対象となりますが、アカデミアが担当してアカデミアが負担している費用については、企業が直接契約しているものではありませんので対象外となります。
  課題の採択の仕方については、通常のファンディングと同様のスキームをとっており、企業から提出いただいた提案を、外部有識者で構成される非公開の課題評価委員会で評価をし、採択候補を決定、最終的にはAMEDが採択を行うという順になっています。
  審査の観点で重きを置いているのは、「事業目的への適合度」と「保健医療への貢献度」の2項目になります(図7)。公募時の申請書の項目には、「開発品目の要旨」という項目がありますが、本項目はオーファンドラッグの指定要件である対象者数、医療上の必要性、開発の可能性を記載いただく項目となりますので、「事業目的への適合度」という観点から重要視しています。また、公募時の申請書の項目の「本補助金の必要性」についても「事業目的への適合度」に該当する申請書の項目となります。ただし、開発が初期の段階である場合は、開発の可能性について言及するのは難しいであろうと承知しておりますので、この場合は、仮に開発がうまくいった場合は、どのような開発スケジュールになるのか、また全体の計画としてはどうなるのかなどを勘案したうえで、事業として対象となり得るものなのか、採択に耐え得るものなのかを各企業が申請時に判断いただいたうえで、申請書に記載いただくということになります。


図7 課題の採択条件

 平成27(2015)年度の採択課題を示します(図8)。AMEDのホームページと同じものになりますが、1つの企業で複数採択している事例もありますし、大手製薬企業からベンチャー企業にいたるまで幅広く課題を採択しています。


図8 平成27年度「創薬支援推進事業(希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業)」に係る採択課題

 本事業でも、医薬基盤・健康・栄養研究所における事業と同様に、納付金を納付していただく仕組みをもっています。医薬基盤・健康・栄養研究所の助成金事業の納付にかかわる部分と同様の金額と期間での納付をお願いしています。
 以上がAMEDにおける希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業の概要となります。

終わりに

 本事業は昨年度後半からようやく始まったばかりの事業です。本事業に期待している企業もありますし、オーファンドラッグの開発が進むことで、最終的には国民の皆さんに還元できるという点で、非常に重要な事業であると思っております。来年度以降の事業継続については現時点では明確には申し上げられないところもありますが、ぜひ継続していきたいと思っています。
  この補助事業を通じて、少しでもこの領域に参入していただける企業が増えることを願っています。

(文:広報委員会 コミュニケーション推進部会 菅野 美幸)

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