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2015年度「第2回 患者団体アドバイザリーボード」を開催

患者団体と企業のよりよい協働に向けて意見を交換

2015年11月18日、患者団体連携推進委員会の主催による、患者団体アドバイザリーボードが開催されました。患者団体アドバイザリーボードは、患者団体と製薬協がどのように協働することができるかを検討し、それを推進していくことを目的として、2011年より開催されています。患者団体のみなさんと対話を重ね、共通する課題やその課題解決に向けた協働について意見交換を行っています。アドバイザリーボードのメンバーは、全国を視野に活動を展開し、患者さんにかかわるさまざまな問題解決に取り組んでいる患者団体の代表者により構成されています。2015年度第2回のアドバイザリーボードには、患者団体より6名全員が参加しました(表)。

2015/11/18

会場風景
会場風景

表 アドバイザリーボードメンバー
表 アドバイザリーボードメンバー

未承認薬等の解消に向けて

 患者団体連携推進委員会の喜島智香子委員長による挨拶の後、未承認薬等開発支援センター(Pharmaceutical Development Support Center, PDSC)専務理事の深野寛司氏が、「未承認薬等の解消に向けて−PDSCの取り組み−」と題し、ドラッグ・ラグ、とりわけ未承認薬・適応外薬の解消状況とそれにかかわるPDSCの取り組みについて講演を行いました。このテーマは、製薬業界からの情報提供を求める患者団体のみなさんからの声に応え設定されました。PDSCは、未承認薬等の解消を製薬業界としてさらに積極的に推進するため、製薬協の全会員会社が中心となり2009年に設立されました。「2009年は未承認薬等の開発に向け、国が大きく動きだした時期であり、PDSCの設立は当時としてはエポックメーキングだった」と、深野氏は振り返りました。PDSCは、保健と医療の向上に寄与することを目的として、日本において医療上の必要性が高い未承認医薬品や適応外医薬品など、いわゆる「未承認薬等」の研究開発や承認取得、生産に対する支援や資金補助などを行っています。未承認薬等の解消に向けた国の取り組み、それと一体となった開発企業の取り組みを支援するものです。
 深野氏は、「未承認薬使用問題検討会議」や「小児薬物療法検討会議」、またその後、それらをまとめて設置された「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において検討され、開発要請または開発の公募があった未承認薬等のこれまでの開発状況を示し、特にこの7年余りの期間でドラッグ・ラグが大きく改善されていることを説明しました。「未承認薬使用問題検討会議」は2009年までに22回開催され、未承認薬45品目の開発促進、承認審査ラグの解消につながり、また、「小児薬物療法検討会議」は2009年までに6回開催され、適応外薬8品目の開発が促進されました。
  2009年以降は、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、第1回要望から2013年の第3回要望3期までに計810件の要望が検討されています。同検討会議ワーキンググループにおいて医療上の必要性や基準の該当性などが検討・評価され、それが認められた品目については、厚生労働省が関連企業に開発を要請するか、開発企業を募集します。「このスキームを着実に実行することにより、未承認薬等の解消は大きく進展している」と、深野氏は述べました。具体的には、第1回会議において開発要請のあった183件のうち92%は薬事承認済み、第2回会議において開発要請のあった95件のうち73%は薬事承認済みであり、そのほかの開発要請品についても申請済み、治験中、治験計画中のいずれかの段階にあり、開発要請を受けた企業はそのすべてに対応していることが示されました。
  また、開発の進まない14成分等の解消や審査体制強化などを目的として、国が造成した「平成21年度未承認薬・新型インフルエンザワクチン等対策基金」が設置され、その資金管理等を担うPDSCの取り組みも紹介されました。この基金による未承認薬関連支援事業では、13成分の薬価収載・販売等につながり(1成分は開発計画中)、また、新型インフルエンザワクチン事業では、最終ゴールである新型インフルエンザウイルスによるパンデミックに備えた体制整備を目的とする事業が進められています。
  また、国は未承認薬スキームの新たな進展として、これまでの取り組みは欧米の後追いだったが、今後は世界に先駆けて革新的な医薬品・医療機器の実用化を促進すべく、要望の対象が一定の基準を満たす欧米未承認薬にまで拡大されていることも説明されました。最後に、「未承認薬は解消されつつあるが、決してゼロになることはない。未承認薬を必要とされている患者さんが治療薬にアクセスできるよう、今後も真摯に取り組んでいきたい」と、深野氏は力強く述べました。
  深野氏によるPDSCの取り組みの説明を受け、その後、活発な意見交換や質疑応答が行われました。アドバイザーからは、「未承認薬や適応外薬の情報を、会報誌などを通じて会員に伝えることにより、それが患者さんから主治医に伝わり、医師から学会に伝わり、最終的に要望の提出につながることもあるので、患者団体のみなさんは会員に適宜情報を伝達し、患者さんの意識を高めることが重要である」との意見が挙がりました。また、そのような要望が治験へつながっていくことへの期待が寄せられました。
  がん領域においては、「ドラッグ・ラグはまだまだ解消されていない」、「余命数ヵ月の患者さんは治療薬の開発まで数年も待てない」等の切実な声も聞かれました。また、「希少疾患の治療薬の開発は国がけん引しなければ、患者さんのもとにはなかなか届かないのではないか」と、開発が企業に任されている現状を懸念する声も挙がりました。製薬協側からは、「患者レジストリが構築されていれば、企業はより迅速に治験を実施することができ、患者さんにより早く治療薬を届けることができる」と、患者レジストリの環境整備の必要性が示されました。
  また、企業が患者さんと意見交換を行い、患者さんのニーズを直接聞き取る機会を政府が設定している海外事例やそれが臨床試験の設計に至っている海外事例が取り上げられ、「日本においても企業と患者団体のみなさんがオープンにディスカッションを行う場を設けてはどうか。両者が一緒に考えることが必要である」と、アドバイザーからの提案もありました。これに対し製薬協の田中徳雄常務理事は、「数多い規制や過去に起こした薬害問題を背景として、これまで企業は患者さんと十分なコミュニケーションを図ってこなかったが、今はそのような時代ではない。より積極的に患者さんの声に耳を傾けるべく、このアドバイザリーボードを通じて検討していきたい」と述べました。

患者団体と企業のよりよい協働を目指して

続いて、患者団体連携推進委員会の梶原直子副委員長が、「患者団体との関係におけるコードについて」と題し、広告に対する関連法令および通知の説明と事例紹介を行いました。まず、「医薬品、医療機器等の品質、 有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)の第67条により、特定疾病用の医薬品および再生医療等製品について医療関係者以外の一般の方を対象とする広告方法が制限されていること、同第68条により、承認前の医薬品、医療機器、再生医療等製品の広告が禁止されていることが説明されました。さらに、医薬品等適正広告基準に関する当時の厚生省薬務局長通知と監視指導課長通知により、医療用医薬品等について医療関係者以外の一般の方を対象とする広告が制限されていることや、その後の監視指導課長通知により広告の3要件が定められていることが紹介されました。続いて、患者団体のみなさんと企業との共催イベントにおいて個別の製品名を表示することや、患者団体が開催した医療講演会の採録記事内容に関連する企業の広告を併載することなど、広告に対する関連法令および通知に抵触する事例や、抵触と誤解されかねない事例を梶原氏が具体的に提示し、患者団体のみなさんへ理解を求めました。
  アドバイザーからは、「広告規制に関する理解が深まった」との声が挙がる一方、「法律が時代に追いついていないのではないか」、「時代背景の変化を反映したルールが必要ではないか」との指摘もあり、改善を期待する声が寄せられました。これに対し製薬協の田中氏は、「当局ならびに関係団体とも引き続き議論を重ねていく」と、述べました。また、今回説明のあった法令や通知について、「患者団体のみなさんへの情報提供が必要ではないか」とのアドバイザーからの意見に対し、「患者団体セミナーや製薬協ニューズレターを通じて情報を発信しているが、ニーズに応じて製薬協から患者団体のみなさんへ説明に行きたい」と、梶原氏は述べました。
  最後に、「これらの取り組みを患者団体のみなさんの意見を聞きながら進めていきたい。アドバイザーのみなさんから指導を得ながら、研究開発型企業の責務をしっかり果たしていきたい」と、田中氏が締めくくり、2015年度「第2回患者団体アドバイザリーボード」は盛会のうちに終了しました。今回のアドバイザリーボードを通じ、製薬協はアドバイザーから多くの示唆を得ることができ、また、患者団体のみなさんと会員会社にとって、よりよい「協働」を目指して相互理解を深める貴重な機会となりました。

(文:患者団体連携推進委員会 木戸口 結子)

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