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「第24回広報セミナー」を開催

統合報告と企業価値の創造 ~非財務情報の活用~

製薬協広報委員会主催の第24回広報セミナーが、2014年4月15日、東京・野村コンファレンスプラザ日本橋にて開催されました。今回は「統合レポートへの流れ」のテーマのもとに、青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科 北川哲雄教授の講演が行われました。約100名の会員会社参加者は熱心に聴講しました。

2014/07/10

講演風景
講演風景

 製薬協広報委員会では広報委員および会員会社の広報担当者を対象に、製薬産業や広報業務にかかわる者として共通認識を深めるために広報セミナーを開催しています。今回は青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科 北川哲雄教授より、「統合報告と企業価値の創造~非財務情報の活用~」と題して講演が行われました。以下に、講演内容を紹介します。

【講演】
「統合報告と企業価値の創造~非財務情報の活用~」 
青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科
北川 哲雄 教授

統合報告書とは

  統合報告書は、外部経営環境を背景に、組織の戦略、コーポレート・ガバナンス、業績および業績予想などが、どのように企業価値創造につながるかについて記載した媒体であり、その主な目的は、将来的に組織がどのように価値を創造するかを投資家に説明することにあります。そのため、統合報告書には、財務情報のみならず非財務情報も含まれることになります。つまり、統合報告書を一言で示すと「長期的価値
向上策を表すもの」といえます。
  私は、統合報告書では、(1)何をどのように目指す企業なのかを明晰に述べることがすべてであり、(2)そのためには自らのコア・バリューがどこにあるかを自己分析し、(3)情熱をもってマネジメントが投資家およびステークホルダーに語る必要があるととらえています。それが本来の統合報告書の趣旨であり、新・アニュアルレポートと呼んでいいかもしれません。
  統合報告書のコンテンツには、企業理念があり、中期ゴールがあります。この中期ゴールですが、日本企業の中期経営計画でよくみられるように細かな業績評価指標を示したものである必要はなく、もっとおおらかな内容でよいと思います。
そして、中期ゴールに向けたコーポレート・ガバナンス、R&D、人材マネジメント、マーケティング、コーポレート・システムなどを幅広く説明する必要があります。たとえば、ダイバーシティ・マネジメントはCSRの観点から必要とされますが、実はグローバル企業のサスティナビリティ(高い長期企業価値の維持)のために必要であり、投資家にとっても必要な情報とい
うことになります。つまり、企業理念や中期ゴール、中期ゴールに向けたコーポレート・ガバナンス、人材マネジメントなどに注意を払ったものが統合報告と呼べるのです。


ヨーロッパ企業の事例紹介
   ここで、ヨーロッパ企業の好事例をいくつか紹介したいと思います。ヨーロッパ企業は、長期投資の機関投資家とフレンドリーあるいはWin-Winの関係にあることを重視しており、その実現のために、やり方や内容について考え抜き、工夫を怠ることがありません。

【AstraZeneca】
  AstraZenecaは、長期企業価値向上のためにResponsibilityをキーコンセプトにした報告書を作成しています。社外取締役に推進のためのキーパーソンがいること、グローバル企業ゆえにDiversity & Inclusion(多様性と包括性)の自然な推進が図られていることなどが特徴です。

【Novo Nordisk】
  Novo Nordiskは、世界でも統合報告書の作成にいち早く着手した企業です。財務、社会、環境の3つの要素のバランスを図っていく「Triple Bottom Line」の考え方をはじめとする「The Novo Nordisk Way」を中心に、サスティナビリティがしっかりと記述された統合報告書が特徴です。

【GlaxoSmithKline】
  GlaxoSmithKlineは、イギリスのコーポレート・ガバナンス・コードをリードしてきたスタープレーヤー的な企業です。取締役会議長が株主と頻繁にミーティングを実施しコミュニケーションアップに努めていることや、Senior Independent Directorが取締役会議長をけん制する役割を担っていること、また、取締役会自体の自己点検および取締役会を外部評価する取締役会評価機構が軌道に乗っていることなどが特徴です。

【Novartis】
  Novartisは、2011年度からCEOと取締役会議長の完全分離を進めていますが、2013年度からは取締役全員が社外取締役で構成される体制となっています。また、同社の2012年度のアニュアルレポートに、機関投資家の短期的な利益(short term profit)

【SANOFI】
  SANOFI は、CSRを普及させるカタリスト(触媒)として多岐にわたる役割を果たすCSR大臣を設置しているフランスの企業です。地域別従業員比率など詳細な人事関係情報をはじめ、アナリストや投資家のニーズに沿った詳細な情報を開示していることが特徴です。

 

ヨーロッパ企業から学べること
  上述したヨーロッパ企業の好事例にもみられるように、ヨーロッパではWayやResponsibilityなど、簡単に変わることのない理念や考え方をベースに企業が運営されています。それらの基本理念を全うするためにこそ、資本市場全体におけるESG(Environmenta(l 環境)、Socia(l 社会)、Governance(企業統治))への取り組みの重要性が問われるのです。また、ヨーロッパ企業は、法・制度を先取りし、戦略への反映や価値観や信条との整合性を図ることに率先して取り組んでいます。「自主」に頼るのではなく、社会規範化への執念といったものまで感じるほどです。日本企業とヨーロッパ企業の間には、こうした点に対してまだまだ理解の相違があるように思います。
  最後に、アリストテレスの「ロゴス」、「エトス」、「パトス」を紹介し、講演の締めくくりといたします。「ロゴス: 論理的アピール」とは、言葉、構成、データで根拠を示すこと。「エトス: 倫理的アピール」とは、信頼性と人柄で尊敬を勝ち得ること。「パトス:情緒的アピール」とは、読者の感情と想像力を揺さぶること。この「ロゴス」「エトス」「パトス」が統合報告書に説得力をもたせるために非常に重要なポイントです。

 

最後に
 今回の広報セミナーでは、「統合レポートへの流れ」というテーマのもと、非財務情報を活用した統合報告と企業価値の創造について、ヨーロッパ企業の事例を交えながらわかりやすく説明がありました。事後のアンケートにおいては、「あらためて長期的視点からのIR活動の重要性に気づかされた」、「タイムリーなテーマ設定で大変参考になった」などのコメントが多く、参加者一同、大変有意義なセミナーとなりました。

 

(文:広報部)

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