イベント・メディア向け情報イベント・メディア向け情報

「難病対策の現状と患者団体の政策提言活動」をテーマに
第25回製薬協 患者団体セミナーを開催

2014 年2月4日、「第25 回製薬協 患者団体セミナー」をメルパルク大阪で開催しました。2013 年10月3日東京での開催に引き続き、「難病対策の現状と患者団体の政策提言活動」をテーマとし、厚生労働省 健康局疾病対策課 課長補佐の西嶋氏および一般社団法人 日本難病・疾病団体協議会(JPA)代表理事の伊藤氏による講演がありました。
セミナー当日は37 の患者団体・患者支援団体から53 名の参加があり、講演後、活発な質疑応答が行われ、交流会では参加者同士による意見交換や情報共有が行われました。

2014/05/12

会場風景
会場風景

 

【講演1】
「難病対策の現状について」
厚生労働省 健康局 疾病対策課 課長補佐
西嶋 康浩 氏

  1964 年(昭和39 年)以降、原因不明の神経障害であるスモンが全国各地で多数発生し、大きな社会問題となっていました。国は研究班を組織し調査研究を進め、発症原因の解明に努めるとともに、スモンによる入院患者に治療研究費の枠から月額1 万円の医療費助成を行いました。これがわが国における難病対策のスタートラインであったといえます。
 1972 年(昭和47 年)には厚生省(当時)による難病対策を検討するプロジェクトチームが設置され、その検討結果が「難病対策要綱」として取りまとめられ、スモンを含む8 疾患に対して難病対策が実施されたことを紹介しました。
 現行の難病対策は研究者への研究費助成のほか、医療費助成対象疾患の患者に医療費の助成を行い患者の負担軽減を行っています。しかし、その受給者数は右肩上がりで増えており、都道府県に大きな超過負担が発生しているなど、制度上の課題が生じています。公平で安定した医療費助成の仕組みを確立させるためにも法制化が必要であり、「難病の患者に対する医療等に関する法律案」として今通常国会に法案を提出しました。
 難病対策の改革は、(1)調査研究(効果的な治療方法の開発と医療の質の向上)、(2)医療費助成(公平・安定的な医療費助成の仕組みの構築)、(3)福祉関連(国民の理解促進と社会参加のための施策の充実)という3つの目線で仕組みを考えています。
調査研究では難病の治療法の開発や診療ガイドラインの作成を行います。また、医療圏ベースでは医療提供体制の構築を、全国ベースでは難病医療支援ネットワーク(仮称)体制の整備を行い地域の医師の支援を行います。
 医療費助成は新たな制度として、自己負担割合を 3 割から 2 割へと引き下げ、所得の階層区分に応じた自己負担限度額等の見直しを行います。
 福祉関連では難病相談・支援センターとハローワークとの連携を推進し難病患者の就労支援を行うなど、難病患者が社会参加するための施策を実施すると説明しました。
 現時点では制度の大枠が決まっているのみで、詳細な制度設計や運用方法、新規疾患の指定などは法案成立後に決まります。新規疾患の指定には十分な準備期間が必要であり、新規疾患すべてについての完全実施は2015 年夏になります。しかし、早い時期から実施が望まれているものもあることから、既存疾患と一部の新規疾患については、2015 年1 月から前倒しで医療費助成を実施する予定であることを説明しました。

 

【講演2】
「国の疾病対策に患者団体が果たす役割と政策提言活動」
一般社団法人 日本難病・疾病団体協議会 代表理事
伊藤 たてお 氏

  わが国の患者会は1940 年代後半に結核やハンセン病の療養所から発生したものが起源となっており、その後、リウマチや心臓病など疾患ごとの患者会が次々と誕生しました。1970 年代に入ると都道府県患者会など地域レベルの患者会へと広がりをみせ、それら地域の団体が交流・連携できるように全国連帯組織が立ち上が ったことを紹介しました。
 病気を正しく知り、病気に負けないように仲間で支え合い、本当の福祉社会の実現に向け社会活動を行うことが患者会の大きな役割であり、交流会などを介した仲間づくりや講演会・相談会による病気の知識習得、メディア等を通じた情報発信など各患者団体で取り組んでいます。また、国や自治体への働きかけとして、請願や陳情といった活動に加え、最近では審議会や検討会などへ参加する機会も増えており、患者団体と行政が共同で法制化の実現を行ったという成果も出ています。
 難病対策として小さなパイを奪い合うのではなく、法制化することでパイそのものを大きくしたい。そして、その先に高齢者も障害者も難病患者も安心して生活が送れるように社会保障の充実を図りたいと述べました。
 病気を治すことは重要ですが、病気と付き合いながら社会活動に参加することも重要であり、病気をもちながらどう生きていくかを考える時代に変わりつつあります。2013 年4 月から難病も障害者総合支援法の対象となり、介護給付、自立支援、就労支援などさまざまな形で国の支援を受けることができるようになりました。「難病患者が生きていくことのできる社会はすべての国民が生きていける社会ともいえます。そのような社会を目指していきたい」と述べ締めくくりました。

 

質疑応答


厚生労働省 健康局 疾病対策課 課長補佐 西嶋 康浩 氏
一般社団法人 日本難病・疾病団体協議会 代表理事 伊藤 たてお 氏
司会:患者団体連携推進委員会 情報提供部会 部会長 喜島 智香子

 質疑応答では、「私たちの病気は難病と認定されるのか」、「具体的にどの病気が対象となるのか」、「患者数が影響を及ぼす希少性の要件とは」など、新制度に対する質問が寄せられました。また、「自己負担が高額かつ長期とは」、「複数の医療機関を受診しているケースの自己負担は」、「生活保護との関係性は」など、新たな医療費助成に関する内容の質問もありました。
 西嶋氏は「現時点でどの病気が対象となるのか決まっていない。法案成立後に対象疾患や重症度分類など第三者委員会で検討されることになる。その際には十分な検討時間を設ける。また、自己負担限度額の設定は、患者さんの声も反映して制度の設計を行った」と回答しました。
 また、伊藤氏は「地域の目が気になり生活保護を受けたくないという人がいるのは事実であり、今後、差別解消法についての勉強も必要」と述べました。
 最後に両氏から、「難病対策だけで完結しない問題もたくさんある。生活保護も含め、日本の社会保障、医療保障として大きな観点で検討していかなくてはならない」とのコメントがありました。

 

最後に

  製薬協の田中徳雄常務理事より、「セミナーの主役はここに参加した皆様です。今回も多数の参加者があり感謝しています。製薬協は新薬の開発を行うことで医療に貢献します。今後も患者さんの意見を聞き、患者団体同士が交流を図れるような機会を設けていきます」と挨拶があり閉幕しました。

 

このページのトップへ

  • キャンペーン
  • 製薬協ニューズレター メールマガジン登録はこちらから
  • くすり研究所
  • 治験について
  • グローバルヘルス
  • Stop AMR 薬剤耐性に対する製薬協の取り組み
  • APAC
  • くすりの情報Q&A
  • 製薬協のテレビCM