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「第9回患者団体アドバイザリーボード」を開催
~患者団体の現状、そして今後の取り組み~

2013年10月8日、東京の製薬協会議室で第9回患者団体アドバイザリーボードが開催されました。今回は、「今後の患者会活動を考える ~各団体の活動と課題を通じて~」をテーマに、アドバイザー10名(表1)中9名のほか、オブザーバーとして患者団体連携推進委員会および製薬協事務局から24名が同席しました。会議では、社団法人全国腎臓病協議会の宮本髙宏氏から基調報告があり、その後、宮本氏の進行のもと、各団体の現状や課題、今後の取り組みなどに関する意見交換が行われました。

2014/01/15

【基調報告】
今後の患者会活動を考える -各団体の活動と課題を通じて-
社団法人全国腎臓病協議会
宮本 髙宏 氏

 本日は、①改めて各会の現状や活動を共有すること ②製薬協ならびに製薬企業に各会の取り組みや抱える課題について考えるキッカケとしてもらうこと③患者会として一致協力できる取り組みを見出す契機とすることを目的に進めたいと考えています。そこで、まず今後の患者会活動を考えるうえでの大前提となる基本認識について再確認したいと思います。
  患者会とは、「当事者が主として自助・共助のために集まったコミュニティのことであり、狭義の患者会は、団体として構成員をもつ当事者団体のことを指す」とされています。ただし、当事者という言葉の捉え方については、患者本人だけでなく、その家族や活動に賛同する方も含めて構成員とする会が増えてきていますので、単に“当事者=患者”とするのが適切かどうかは議論のあるところです。日本には2004年時点で1,400程度、さらに現在はオンラインでの交流が中心のものなどを含めると3,000程度の患者会が存在すると推測されています。SNSコミュニティを含め、複数の患者に所属認識がある場も患者会であるといった指摘もあり、患者同士のつながりという意味でのハードルは低くなってきていますが、その一方で、会費や入会手続きを要する、いわゆる伝統的な患者会は会員が減少し存続が危ぶまれるところも増えてきているといわれています。患者会の体を成し、組織として存続していくためには、組織の根幹である会員がどれだけ存在しているのかが大きな課題で、現在のようにインターネット等を介して容易に情報が入手できる環境にあるということも、これからの患者会を考えていくうえでの重要なポイントです。日本の患者運動の先駆者である長 宏氏はその著書『患者運動』の中で、患者会の役割を次のように述べています。

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●病気の科学的な把握 -病気の自覚-
●病気と闘う気概 -病気の社会性の認識-
●病気と闘う条件整備 -療養条件の改善整備-
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 病気をあくまでも科学的に認識し受け入れること、生きるために病気を克服する精神的な支えとなること、病気と上手く付き合い、ともに生きていくための条件整備を図ることは、今も昔も変わらない患者会の役割ですが、SNSなどインタ-ネットの活用と情報によって患者会も変化してきています。また、要望の実現に向けた取り組みについても、議論の場に私たちが当事者として参画する時代となってきています。こうした状況に対応すべく、各々の組織形態や組織構成を踏まえて自己変革していかなければならないこともあります。これからは、患者も患者会も社会を構成する一員としての、より広い見地からの活動がますます重要になります。

表1 2013年度「患者団体アドバイザリーボード」メンバーリスト
1 大平 勝 社会福祉法人はばたき福祉事業団 理事長
2 小林 信秋 認定NPO法人難病のこども支援全国ネットワーク 会長
3 髙見 国生 公益社団法人 認知症の人と家族の会 代表理事
4 高本 久 一般社団法人全国パーキンソン病友の会 事務局長
5 田所 裕二 社団法人 日本てんかん協会 事務局長
6 長谷川 三枝子 社団法人 日本リウマチ友の会 会長
7 眞島 喜幸 NPO法人 パンキャンジャパン 事務局長
8 水谷 幸司 一般社団法人 日本難病・疾病団体協議会 事務局長
9 宮本 髙宏 社団法人 全国腎臓病協議会
10 渡辺 孝 日本肝臓病患者団体協議会  代表幹事

 

会場風景
会場風景


【意見交換】
患者会の役割と課題、今後の取り組みについて
進行:社団法人全国腎臓病協議会
宮本 髙宏 氏

 各会の変遷、組織の形態・会員数・会費等を相互に確認したうえで、『患者会の役割と課題』について意見交換が行われ、患者会の役割に関する基本認識や共通する課題をメンバー間で共有しました。

● 医師の講演会や会報を通じた正確な疾患情報の周知、実行主体である都道府県組織の意向を考慮した運営を行うなど工夫している。療養条件の改善整備に関しては、従来の疾病対策の法制化に加え、「治療法開発への協力」「療養・介護負担軽減施策の実現」に注力している。
● 患者だけでなく、家族にとっても3つの役割認識は一致する。生活障害を伴う疾患では、家族が患者と一緒に生きていくために、患者とその家族をセットで支えることが求められる。また、自助には限界があるため、社会的関心を高めることで公的支援を増やしていくような取り組みが重要と考える。
● 患者会に入会しなくてもインターネットや電話相談などを通じて情報が入手できる中で、どのように入会メリットを理解してもらうか苦慮している。
● 患者会組織・家族会組織の役割には、教育の要素もあるのではないか。病気を単に患者とその家族だけのものとするのではなく、社会的な問題と捉えて必要な取り組みや施策を考え、実践できる人材の育成が不可欠である。
● 最近は、地域的な家族会がたくさんできてきているが、そういった組織との連携がなかなか上手くいかない。また、患者会の役員や世話人が高齢化しており、後進の育成が急務となっている。
● 以前、患者会の運営について整理したことがある。“入会すると負担が増える”“役員の入れ替わりがなく、意見を聞いてもらえない”といった理由から、情報だけ取って入会しない人や、入会しても実際の活動には参画しない人が多い。
● 財政面では、会員数の減少や活動の多様化により、会費収入のみに頼る組織運営は難しい状況にある。役員のリーダーシップと財政力の強化、地方患者会との連携が大きな課題である。引き続き、共有した課題認識を踏まえ、『今後の取り組みについて』の意見交換が行われました。アドバイザーからの主な意見は次のとおりです。
● 当事者が一定数集まれば社会に影響を与えられるという点を訴えていくことが重要である。実際、会員にアンケート調査を行ったところ、“社会にものをいっている”ことを評価する回答が多かった。
● 治りたい、治したいという気持ちが大切であり、患者同士のFace to Faceの活動を通じてその価値を自分自身で見出してもらうしかない。そういった機会を継続的に提供していきたい。
● 患者会への入会メリットとして挙げられるのは、「患者自身が賢くなること」だと思う。医師や病院任せではなく、自分自身が賢い患者になる、そのために患者会に入ろう!といったメッセージの発信が必要である。
● 疾患に精通した専門医師等の育成・支援を提案することで、財政的にもより効率的な活動が可能になるのではないかと考え取り組んでいる。そういった活動にシフトしていくことも、今後の患者会のあり方のひとつだと思う。
● 近年、ゲノム創薬などの分野は革新的に進歩しているが、承認・審査をはじめとした日本の体制は遅れている。患者会連合のような組織を構築し、治験ならびに承認審査体制などの改善を目指していく必要がある。
● 製薬企業の冊子等で“患者会との協働”という文言を見かける。製薬企業は、患者会とどのようにかかわっていこうと考えているのか、どういった協力ならできるのかをぜひ示してもらいたい。
● 財政基盤確立に向けては、広告協賛や法人会員の募集、支部組織による都道府県委託業務への対応、民間助成団体との連携などが挙げられる。

 最後に進行を務めた宮本氏より、「今回のアドバイザリーボードを通じて、改めて各会の現状が共有でき、製薬企業の方々にも実態を知ってもらうことができた。私たち患者会も医療の主体者として、ひとりひとりの患者の安心と、将来にわたって積極的に社会参加できる環境をつくるための活動を展開できればと思う」との総括があり、閉会となりました。

(文:患者団体連携推進委員会 連携企画部会 松下田 幸治)

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