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「難病対策から学ぶ患者団体の政策提言活動」をテーマに製薬協 患者団体セミナーを開催

2013年10月3日、第24回 製薬協 患者団体セミナー「難病対策から学ぶ患者団体の政策提言活動」(東京・大手町サンケイプラザ)を開催し、103名の参加がありました。同セミナーは、患者団体との積極的な対話・連携を目指した活動の一環として毎年開催しています。今回は、厚生労働省健康局疾病対策課 西嶋課長補佐および一般社団法人日本難病・疾病団体協議会(JPA) 伊藤代表理事より、難病対策の検討状況、患者団体の役割や政策提言活動について講演があり、質疑応答からは疾病対策課 田原課長も参加しました。

2013/11/08

〈講演1〉
難病対策の展望
厚生労働省健康局疾病対策課 西嶋 康浩 課長補佐

 冒頭、国が難病対策を進める1つのきっかけとなった、スモン発生(1964年)について触れ、スモン解明のため大型研究班による調査研究が行われたこと、入院患者に対して1971年より治療研究費の枠から月額1万円が支給されるようになったこと、これらの取り組みの成功により、他の難病研究にも同じ方式が適用できるのではないかとの期待が寄せられ、1972年に難病プロジェクトチームが設置され「難病対策要綱」が発表されたことを紹介しました。
  また現在、特定疾患治療研究事業として56疾患に対し医療費助成を行っていること、難治性疾患克服研究事業として2009年度に研究奨励分野の予算を4倍の100億円に引き上げたこと、希少・難治性の疾患についても、遺伝子解析などの大規模な研究ができるようになったことなどを説明しました。
  約78万人(2011年度末時点)の難病患者が医療費助成を受けていますが、その数は右肩上がりに増加しています。現在の課題として(1)医療費助成の対象疾患に不公平感があること、(2)医療費助成について都道府県の超過負担が続いていること、(3)将来にわたって公平・安定的な仕組みにする必要があること、(4)医療体制の整備、福祉サービスの充実など総合的な施策が求められることがあり、抜本的な改革に向けて、2013年1月に3大臣(総務・財務・厚労)間で、2014年度に向けての法制化、その他必要な措置について調整を進めることが合意された、と説明しました。
  難病対策の改革の3つの柱として「効果的な治療方法の開発と医療の質の向上」、「公平・安定的な医療費助成の仕組みの構築」、「国民の理解の促進と社会参加のための施策の充実」を挙げ、「難病対策にきちっと魂を入れていきたい。患者さん一人一人の思いがあって実現すると考えています」と厚生労働省の取り組みに、理解と協力を求めました。

〈講演2〉
国の疾病対策に患者団体が果たす役割と政策提言活動
一般社団法人日本難病・疾病団体協議会 伊藤 たてお 代表理事

 まず、日本の患者会の歴史について、第二次世界大戦後に、結核やハンセン病の療養所の中から新しい治療薬を求める声などが挙がり、1948年に日本国立私立療養所患者同盟が生まれ、その後次々と患者会が発足したことを振り返りました。
  1972年、厚生省(当時)がスモンなど4疾患を対象に「難病対策要綱」を発表しました。自分の住んでいる地域で専門的な医療を受けたい、他の患者がどうしているか知りたいなどの声が広がり、難病医療連絡協議会(難病連)が都道府県で立ち上がり、富山県で最初の連絡協議会が設立し、相次いで他の都道府県でも誕生するとともに、地域の団体が交流できるよう、全国難病団体連絡協議会(全難連)が発足しました。1986年には、日本患者・家族団体協議会(JPC)が誕生し、2005年、全難連とJPCが合流し、現在のJPAに至った経緯を説明しました。
  現在の活動として、「日本患者運動史」への協力、ウェブサイトを通じた「情報提供」、「国会請願署名・募金活動」や、「難病・慢性疾患全国フォーラム」の共催などを紹介しました。患者会の役割は、「病気を正しく知ること(病気を科学的に把握する)」「病気に負けないように(仲間同士で支え合う)」「本当の福祉社会をつくるために(社会活動)」の3つに尽きるとの見解を述べました。
  国への提言・提案の中でも特に大きな動きとして、2009年5月の総会で「新たな難病対策・特定疾患対策を提案する」を採択し、2013年4月から、難病が障害者総合支援法の対象となったことに触れ、取り組みの成果を強調しました。
  伊藤氏は、「難病があっても、人としての尊厳を持って生きていかれる社会にしていく必要がある。患者会活動は、楽しく明るくやりたい。基本はフェース・トゥー・フェース。一緒に力を合わせて、いい制度をつくっていきたい」と締めくくりました。

質疑応答
厚生労働省健康局疾病対策課 田原 克志 課長
厚生労働省健康局疾病対策課 西嶋 康浩 課長補佐
一般社団法人日本難病・疾病団体協議会 伊藤 たてお 代表理事
司会
患者団体連携推進委員会 情報提供部会 喜島 智香子 部会長

 続く質疑応答では、「難病患者データを集める際には、患者自身のモチベーションを上げる施策をお願いしたい」、「難病対策の抜本改革に、医療従事者に対する教育プログラムを盛り込んでほしい」など、国の難病対策への関心の高さから、矢継ぎ早に質問や要望が寄せられました。適応拡大に対する要望について西嶋氏は、「適応拡大も含めた、疾患の創薬に取り組んでいきたい」と回答しました。また難病対策の法案について進捗を問われると、田原氏は「一歩一歩進めているところです。今回のセミナー以外にも、患者さんから声を聴く機会を設ける予定です。その中で、互いに向き合って詳細を詰めていきたい」と述べました。
  「一番大変な人(患者)は動くことができません。動ける人の少なさを感じます」との問いかけに、伊藤氏は「どんなに大変でも、患者会が声を出さなければ届きません。いろいろな団体が手をつないで、全体でどう一緒にやっていくかだと思います。ぜひ外部の力を頼ってください」と期待を込めて答えました。

最後に

 製薬協の田中徳雄 常務理事が「難病対策への興味の深さ、関心の高さを知ることができました。有効な治療法がない患者様にとって、お役に立てるような活動を行ってまいります」と挨拶し幕を閉じました。
  2014年の年明けには、大阪でも患者団体セミナーの開催を予定しています。

会場風景
会場風景

(文:患者団体連携推進委員会 情報提供部会 瀧田 紀子)

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