イベント・メディア向け情報イベント・メディア向け情報

「第8回患者団体アドバイザリーボード」を開催

7月30日、東京で「国民・患者への臨床研究・治験の普及啓発」をテーマとして第8回患者団体アドバイザリーボードが開催されました。会議には、アドバイザー10名(表1)のうち9名、国立保健医療科学院(以下科学院)より佐藤部長他4名の研究官、患者団体連携推進委員会(以下委員会)および事務局より3名が参加しました。また、オブザーバーとして委員会等から19名が同席しました。
会議は、佐藤部長から「2012年度の調査概略および全体的な将来像」について説明があり、引き続き、各研究官からの調査結果報告の後、意見交換が行われました。

2013/09/20

科学院からの説明

臨床研究・治験に関する情報提供をどのように行うか、各方面の協力を得ながら研究班を主催している佐藤部長をはじめ、国立保健医療科学院 政策技術評価研究部の方々から以下の説明がありました。

■2012年度の調査概略および全体的な将来像について
 国立保健医療科学院 政策技術評価研究部
 佐藤 元 部長

 臨床研究、治験(以下臨床研究等)情報が一般の人にとって使いにくいという意見がありますが、もともと臨床研究等を進めるうえでの整備として、国際的に要請されたことから始まったことも影響しています。研究班では、患者さん個人に加え、国民、医療関係者、製薬企業、研究機関等、それぞれの立場の利用者における臨床研究等情報の利用実態やニーズ、問題点の洗い出しにより、ポータルサイトを再構築することを目指して研究しています。利用実態調査は、各団体・医療機関に合わせて調査項目を設定したアンケート調査および意見交換により整理しました。
  また、国内外の各種情報サイトの設置状況、構成、運営、体制調査を行いました。さらに、患者・市民の方々に複数のウェブサイト評価も行ってもらいました。これらの結果を踏まえて、現状の臨床研究等情報登録を活用し、また医療機関の既存サイトなどと連携して、一般の方に疾患関連情報も含めて提示できるような仕組みを検討したいと思います。

 2013年度は、臨床研究等情報ポータルサイトのプロトタイプ提示、総合的情報検索システムの開発、先端医療研究センター等の医療機関と共同した情報提供システムの構築と評価を行う予定です。

■臨床研究における情報利用とニーズ  ―患者会会員・通院患者への調査から―
 国立保健医療科学院 政策技術評価研究部
 野口 都美 主任研究官

 本調査は、2013年2月に実施され、7つの患者会会員から908件、医療機関通院患者から1,576件の 回答を得ました。
 臨床研究等情報を調べた経験者は半数弱で、内訳では「かかりつけ医師」が最も多く、インターネットは30%程度でした。アクセス経験のあるサイトは、医療機関サイトが最も多く、次いで病気の知識を提供するサイトが多かったので、これらと臨床研究等ポータルサイトをリンクさせると利用が拡大すると考えられます。科学院ポータルサイトの知名度は高くありませんでした。臨床研究等情報については、できるだけわかりやすい用語での情報提供が望まれており、理解を促す解説等が必要です。臨床研究等の
望ましい教育機会の時期は、病院など必要なときが最も多い回答でした。
 一方、患者会会員では患者会経由の情報を重視している傾向が強かったため、今後も会員にとって患者会は臨床研究情報の提供者としての役割が大きいと考えられます。

表1 2013年度「患者団体アドバイザリーボード」メンバーリスト
1 大平 勝 社会福祉法人はばたき福祉事業団 理事長
2 小林 信秋 認定NPO法人難病のこども支援全国ネットワーク 会長
3 髙見 国生 公益社団法人 認知症の人と家族の会 代表理事
4 高本 久 一般社団法人全国パーキンソン病友の会 事務局長
5 田所 裕二 社団法人 日本てんかん協会 事務局長
6 長谷川 三枝子 社団法人 日本リウマチ友の会 会長
7 眞島 喜幸 NPO法人 パンキャンジャパン 事務局長
8 水谷 幸司 一般社団法人 日本難病・疾病団体協議会 事務局長
9 宮本 髙宏 社団法人 全国腎臓病協議会
10 渡辺 孝 日本肝臓病患者団体協議会  代表幹事


■一般住民と通院患者、患者会所属患者の情報源に関する研究

 国立保健医療科学院 政策技術評価研究部
 藤井 仁 主任研究官

 一般住民、通院患者、患者会所属患者の3群に分け情報源について検証を行いました。対象は、一般住民600名(うち42.6%回答)、通院患者2,400名(回収率65.7%)、患者会所属患者2,324名( 回収率 39.1%)。
 結論として、一般住民は看護師・薬剤師を情報源としていることが多く、地方自治体の相談窓口は活用されていません。患者はインターネットを通じて能動的に情報収集していました。


■既存の国内外の臨床研究等情報ウェブサイトの運営上の問題と評価

 国立保健医療科学院 政策技術評価研究部
 荻野 大助 主任研究官

 研究者向けの臨床研究等情報サイトや検索サイトを見る方が多くなっています。科学院の臨床研究(試験)情報検索ポータルサイトは、検索が容易でない点、見づらくわかりづらい点などが指摘されています。サイトの冒頭で医療者向け、一般向けを仕分けする、評価・フィードバックを受ける仕組みを作るなど、工夫してポータルサイトを構築していく必要性を再認識しました。


■医療情報サイト横断検索コンセプトの紹介

 国立保健医療科学院 政策技術評価研究部
 高橋 邦彦 主任研究官

 科学院の臨床研究等情報ポータルサイトについて、ワンストップのサイトとして、疾患について調べたいなど医療情報に関するニーズについても現システムと同じサーバー上に設ける新ポータルサイトで検索でき、外部情報サイトなどの情報を適切に整形して提示できる姿を目指します。
 今後は、情報源との連携、患者会や製薬協の情報とのリンクなどを検討し、研究の進展をはかります。

各立場の役割についての意見交換
国立保健医療科学院 政策技術評価研究部
高橋 邦彦 主任研究官

 佐藤部長より「第一に医療機関の臨床研究等検索エンジンを、自施設で行っている情報のみから、地域横断的、あるいは限定的にニーズに応じて検索できるような検索エンジンへの機能改善。第二に、臨床研究等の進行状況、登録の中間結果などに関する情報提供。第三に、自分が臨床研究等に参加可能かどうか、ある程度自己判定できるような情報提供。第四に、患者会の紹介や外部の情報窓口への適切な誘導の検討が必要。これらの実現可能性を探りながらシステム設計を進めているが、一気に問題解決は難しい。患者会が情報基盤の中核組織として、活動していただくことを期待している」という話があり、引き続き意見交換を行いました。アドバイザーからの主な意見は次の通りです。

  • 臨床研究等の普及啓発が滞っている原因は何かを 把握し対応することが重要。当患者会は高齢者が 多く、インターネットの使用割合は10%程度。事 務局長が臨床研究等に関する情報をまとめて会報 等で提供している。高齢者がインターネットを使 用しないことも考慮する必要がある。
  • 一部の医療者はこれ以上ポータルサイトなどで臨 床研究情報を提供する必要がないと考えている。一 方、米国のclinicaltrials.comになぜ登録するかと いうと、論文を書くためにはそこに登録されてい ないといけないためである。ポータルサイトのあ るべき姿と、臨床研究等登録の実態の問題は分け て議論する必要がある。
  • 患者会としても、情報入手ソースとして、広範な 情報を網羅しているサイトがあるというのは重要 なことである。
  • 患者にとって、医療情報は信頼できることが重要 である。公の役割をしっかりと考えて、もっと一 般の人に向けて情報発信してほしい。また、市販 後調査がしっかり実施され、その情報を患者が入 手できる状況であることも重要である。
  • どんな臨床研究等が進行しているのかを知ること は、患者にとってある種の期待感を持った情報入 手につながる。患者のためになるということであれば、いろいろなホームページを利用して、科学院 とうまく連携・協力できないかと考えている。科学 院のポータルサイト再構築に非常に期待している。
  • 患者自身が自分の疾患や臨床研究等の情報について 知ることで、医療関係者に患者自身が自分の病気に ついて情報をフィードバックすることができるよう になり、治療効果が高まり、患者のQOL向上につ ながる。患者自身が意識的にどれだけ情報を収集し て自分の治療に反映させるかということが大事だと 思う。情報があふれている中で、整理されたポータ ルサイトがあると有意義だと思う。
  • 科学院の知名度を上げることが重要で、このため のいっそうの工夫が望まれる。ポータルサイト構 築において、ぜひ子どもの病気に対する臨床研究 等の情報提供を忘れないでいただきたい。
  • 治験が普及啓発されていない「問題」と「課題」は分 けて議論する必要がある。そのうえで、治験のあ るべき姿のため、患者会、医療関係者、製薬企業 がどのように協働していくか検討することが大切 である。
  • 科学院ポータルサイトに患者会のリンクを貼る場 合、どのように患者会を選ぶのかということも難 しい問題である。
  • データベースから必要なものだけを取り出し、付 加価値をつけて患者に提供するような取り組みが 重要である。既存の素晴らしいリソースをもっと 活用するために、このポータルサイトは使えると 思う。
  • 臨床研究等の状況が知りたい場合、ウェブサイト よりも、電話での相談窓口を設置し対応すること が重要ではないか。
  • 治療や薬の進歩を知ることは患者の希望につなが るので大事である。患者会に参加して情報を得る こと、臨床研究等の情報を得ること、生活をサポー トするような制度の知識を得ることなど、自分を 取り巻く全体的な知識を得ることで生きる勇気が わいてくることがある。
  •  アドバイザーからの意見を受け、佐藤部長より「ポータルサイト構築にあたっては、臨床研究等は誰のために行われるのか、どうあるべきかについて考えないと、どの情報項目を組み入れるか検討することが難しくなる。今回プロトタイプとしてポータルサイトを紹介したが、患者会ウェブサイトとの連携も考えて今後精査したい」という話がありました。
     最後に、伍藤理事長より「製薬協会員会社の、治験のかかわり方と透明性ガイドラインの取り組みに向けて」の説明があり閉会しました。

会場風景
会場風景

(文:患者団体連携推進委員会 連携企画部会 高山 千弘)

このページのトップへ

  • キャンペーン
  • 製薬協ニューズレター メールマガジン登録はこちらから
  • くすり研究所
  • 治験について
  • グローバルヘルス
  • Stop AMR 薬剤耐性に対する製薬協の取り組み
  • APAC
  • くすりの情報Q&A
  • 製薬協のテレビCM