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「第7回患者団体アドバイザリーボード」を開催

2013年1月29日、製薬協内会議室において、「臨床研究・治験活性化に向けた取り組みについて」をテーマとして第7回患者団体アドバイザリーボードが開催されました。アドバイザー10名(表1)のうち7名、国立保健医療科学院(以下科学院)から佐藤部長他3名の研究官、患者団体連携推進委員会(以下委員会)および製薬協から6名が参加しました。また、オブザーバーとして委員会から18名が同席しました。
はじめに、製薬協の仲谷専務理事より「製薬企業の治験情報に関する開示の状況について」と題して説明があり、引き続き佐藤部長から「国民・患者への臨床研究・治験の普及啓発 に関する研究」と題して説明があり、その後、高橋研究官進行のもと情報検索サイトに関する意見交換が行われました。

2013/03/08

製薬企業の治験情報に関する 開示の状況について

製薬企業の治験情報に関する 開示の状況について 日本製薬工業協会 専務理事 仲谷 博明  国内では、(1)被験者募集、(2)希望者への情報提供、(3)情報公開の3つを目的とした治験情報開示があります。(1)に該当するのは、治験を実施する医療機関が機関内で実施している情報をDVD等で開示し被験者募集を行う場合および企業がメディア等を利用し被験者募集を行う場合です。ただし、医療機関内の被験者募集については、すべての機関で行っているわけではありません。(2)に該当するのが、厚生労働省令(GCP)に基づき、治験を実施する医療機関が治験審査委員会の審査結果を公表することで治験の情報を開示するものです。この情報は、治験実施を検討した医療機関の施設内またはホームページ等で得ることができますが、あくまで、治験計画書等を治験審査委員会が審査した結果です。(3)に該当するのが、JAPIC、UMIN、JMACCT 注1)による情報開示です。
開示項目はWHOの基準をベースとして決められています。製薬企業の治験情報は自発的登録のもとJAPICに開示されていますが、開示項目は国際製薬団体連合会(IFPMA)が作成した共同指針をもとに決めています。この3つのサイトの情報は「情報公開が主目的」ですが、記載されている問い合わせ先に確認することで開示以上の情報が得られる形になっています。また、科学院の検索サイトにはこの3つを統合した情報が掲載されています。患者さんにとっては、疾患をもとにどのような治験が行われているか、行われようとしているか、どこに行けば参加できるか等の情報が必要と考えられますが、日本の治験情報公開の現状は必ずしも患者さんにとって利用しやすい状況ではありません。本会で率直な意見を伺い、患者さんにとって検索しやすいサイトの構築に協力していきたいと考えます。

注1) JAPIC:(財)日本医薬情報センター、 UMIN:大学病院医療情報ネットワーク、 JMACCT:(社)日本医師会治験促進センター

表1 2012年度「 患者団体アドバイザリーボード」メンバーリスト
1 大平 勝 社会福祉法人はばたき福祉事業団 理事長
2 小林 信秋 認定NPO法人難病のこども支援全国ネットワーク 専務理事
3 髙見 国生 公益社団法人 認知症の人と家族の会 代表理事
4 高本 久 一般社団法人全国パーキンソン病友の会 事務局長
5 田所 裕二 社団法人 日本てんかん協会 事務局長
6 長谷川 三枝子 社団法人 日本リウマチ友の会 会長
7 眞島 喜幸 NPO法人 パンキャンジャパン 事務局長
8 水谷 幸司 一般社団法人 日本難病・疾病団体協議会 事務局長
9 宮本 髙宏 社団法人 全国腎臓病協議会 会長
10 渡辺 孝 日本肝臓病患者団体協議会  代表幹事

国民・患者への臨床研究・治験の 普及啓発に関する研究
国立保健医療科学院 政策技術評価研究部 部長
佐藤 元氏


佐藤 元

 厚生労働省・文部科学省は「臨 床研究・治験活性化5か年計画 2012」を策定し実施しています。その中に、「国は、医薬品について、学校教育や患者さんに対する教育・情報提供の中で、ベネフィットとリスクを適正に伝えていく教育を、発達段階やそれぞれの立場を踏まえて行う」、「臨床研究・治験の情報提供については、科学院のポータルサイトで実施しているが、国民・患者が求めている情報を調査・検討し、利用しやすいものにする」と記載されています。また、科学院は、WHO primary registerとして認定され、国内の臨床研究・治験の情報を収集しWHOに定期的に報告しています。科学院のポータルサイトを利用しやすいものにするため、利用者側の立場として「臨床研究・治験に関するコミュニケーション活動・情報に関する利用実態、ニーズ・要望についての調査」、提供者側の立場として「国内外の臨床研究・治験に関するポータルサイトの比較調査」を行うことにしました。調査は「コミュニケーションの目的からの分析」、「関係者の関心・視点からの分析」、「関係者のコミュニケーション活動・情報フローの分析」を行います。期待される成果として「求められるコミュニケーション・情報を明らかにし、コミュニケーションを戦略的に企画・実施・評価するための評価軸・手法の提示」、「現行の問題点、成功・失敗事例を提示し、望ましいあり方、改善方法の提示」、「望ましいあり方を徐々に実現する」を考えています。現在の治験情報の開示は、治験利用者の視点に立った情報開示とはなっていません。患者さんの病を治したい気持ちにどのようにアプローチすればよいのかを考えなければなりません。臨床研究・治験に関してのみではなく、医療に関する情報の提供・利用との関係・つながりを意識したニーズを把握し、種々の情報メディア、情報管理の可能性の特性を整理したうえで、Webによる情報システムの具体的構築を検討していく必要があります。アメリカには、治験検索サイトとしてClinical Trials. gov があり、がん専門の情報検索サイトとしては National Cancer Institute などがあります。日本でも望ましいコミュニケーション・情報提供システムを構築し、患者視点・国民視点で臨床研究・治験の普及啓発に関する研究を進めていきます。

「患者さんが必要とする臨床研究・治験の情報開示について」の意見交換
進行:国立保健医療科学院 政策技術評価研究部 主任研究官
高橋 邦彦氏

 冒頭、荻野研究官より「科学院のポータルサイトでは3つの機関(UMIN・JMACCT・JAPIC)から集約情報検索が可能で、年間登録数等もわかり、また、国外治験に関しても開示している。がんで検索すると4,489件情報が得られる」という説明のあと、このサイトに関する意見を求められ、アドバイザーより以下の意見がありました。

  • 文字が小さくて内容も難しい。パーキンソン関連を調べた結果だが、すでに終了した情報、募集中の情報等が入り混じって掲載されている。患者団体としては、患者さんに参加できる治験情報として紹介可能な情報が知りたい。そのようであればサイトの内容を事務局で定期的に確認し会員向けに発信することが可能かもしれない。
  • 患者団体が被験者募集の窓口になる場合もあるが、この場合、患者団体がどうかかわればよいか病院と相談する。医師、研究者、患者団体とともに情報公開を進めていく必要がある。
  • 患者さんは一日でも早く治りたいと思っているので、開示情報に治験担当医師の治したいという熱意が画面上に出るように工夫してもらえれば、患者さんがより参加するようになると思う。
  • てんかんの全国組織は当会のみで学会も1つということもあり、てんかん関係で当協会が知らないことはほとんどない。日本医師会の協力のもとで医療機関にアンケートを実施し、その結果をホームページに医療機関紹介サイトとして掲載したが、患者さんから「てんかんとは何か」が書いてないと苦情があった。やはりサイトには基本的事項は必ず記載する必要があると感じた。患者さんから見て治験に関する情報としては(1)今アクセスできる治験情報、(2)治験とは何か、治験参加するとはどうJPMA News Letter No.154(2013/03) 「第7回患者団体アドバイザリーボード」を開催12いうことか、の2つがわかれば十分だ。なお、他の団体と少し違うかもしれないが、学会、医療機関、製薬企業から治験に関する情報の提供がある。
  • 治験登録センターが3つに分かれているのは初めて知ったが、肝臓病の患者さんの場合70~80歳台の年齢が多いこともあり、パソコン操作ができる患者は1割程度で、患者さんは常に蚊帳の外という感じがする。患者目線で考えて欲しい。治験情報は市民公開講座の医師から得ている。治験情報は患者重視でシンプルにお願いしたい。
  • 患者さんは死にたくない、治りたいが第一希望です。製薬企業の皆さんにとって顧客は医師か、患者さんかといえば患者さんではないか。治験に参加したいが僻地では難しい。手を挙げればどこでもできる状態になると良い。
  • パンキャンジャパンは膵癌の団体で、本部はロサンゼルスにあり、本部の第一の事業はがん研究支援だが、患者情報、医療機関情報をDBとして持っており、患者さんからの問い合わせに対応している。個々の患者さんの理解度には幅があり、いろいろな知識レベルの方にわかる内容を設定することは難しい。勉強熱心な患者さんの家族が検索できるレベルを第一目標として、その情報を患者さんに伝えられるインターフェイスを設置しておくことが重要でないか。日本支部は海外の学会などに参加し情報を収集して会員に提供したり、ドラッグ・ラグ解消のための情報としている。治験はリクルートされる患者数の問題もあり公開が難しいという点もある。
  • 情報が患者さんにとってどれほどのメリットがあるのかを明確にする必要がある。そのためには啓発・教育プログラムをポータルサイトに取り入れることも必要があると思う。
  • ポータルサイトはどれもマニアックで研究指向となっているが、患者さん向けのシンプルな内容であることが必要だ。治験情報は常に医療者から一方的で、患者団体からはこれを受け「~の治験が始まります」といった情報提供だけになり、治験を促進できる感じではない。患者さんはユーザーから外されており、現在のポータルサイトを見てもその感がある。患者さんが選択できる環境作りが必要だ。患者さんはよい治療を実施する医療機関に行くが、その背景を反映したポータルサイト作りをお願いしたい。

 アドバイザーからの意見を受け、佐藤部長より「現在のポータルサイトについて、作った本人も含めて誰もこれで十分だとは思っていない。理由は、どのようなサイトが良いのか誰もわかっていないからである。いろいろなサイトを見比べ、要望、良かった点、悪かった点を集めて検討していきたい。個人の多様な要求に応えるコンシェルジュサービスを医療者が提供できたらよいが、実際にはできておらず、また代わるものがない状態が続いており患者団体がその機能を担えないかと思っている。本日は、皆さんが治験に参加できる情報サイトを希望されており、またそのためには何が必要なのかを聞けて大変よかった」と話がありました。
  最後に、製薬協の伍藤理事長より「患者さんに治験情報が届かなければ意味がなく、それに向けた役割を果たしたい」と挨拶があり閉会しました。

会場風景
意見交換会の様子

(文:患者団体連携推進委員会 連携企画部会 関 康宏)

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