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「第24回製薬協 政策セミナー」を開催
革新的医薬品の創出に向けて

2012年10月、有楽町朝日ホールにおいて、「第24回製薬協 政策セミナー」が開催されました。6月に策定された「医療イノベーション5か年戦略」を受けて、今回は「革新的医薬品の創出に向けて」というテーマで開催され、患者団体、国会議員、行政、医療関係者、メディア関係者、会員各社など、300名を超える参加者があり、熱心に耳を傾けました。

2013/01/21

基調講演

 伍藤理事長の挨拶に続いて、基調講演として、内閣官房 医療イノベーション推進室 室長 松本洋一郎氏より、「医療イノベーションによる成長戦略」をテーマとして講演が行われました。松本氏の講演要旨は以下の通りです。
 医療イノベーションは、超高齢化社会に対応し、国民が安心して利用できる最新の医療環境を整備すること、医療関連産業の活性化による経済成長につなげること、日本の医療を世界に展開することを目標としています。そのためには、将来の医療全体のあり方を見据え、医療ニーズに基づいた出口戦略を持ったイノベーションを推進する必要があります。また、抜本的な規制改革とイノベーション推進のための体制整備、人材育成が極めて重要になります。そのことによって、国内の研究開発環境を整備し、医療イノベーションを日本から世界に発信していきたいと考えています。創薬力を強化することにより、がんの新薬など革新的な医薬品の開発や「ものづくり力」を活かした医療機器の開発を、またiPS細胞など世界最高水準の研究による再生医療の実用化や個別ゲノム情報を用いた個別化医療の実用化を実現していきたいと考えています。
 医療イノベーション5か年戦略(以下、5か年戦略)では、基礎研究から実用化まで、弱点を補強し、一貫した支援を実施することにより創薬力を強化したいと考えています。特にがん分野を重点的に支援し、新薬を生み出す創薬基盤を強化したいと考えています。
 また、基礎研究を強くするために、研究資金を重点分野へ集中投入し、米国NIHを参考にして、研究予算の効率的、一体的な運用の仕組みを検討します。研究開発にかかわる税制上の支援も重要になります。応用研究では、医薬基盤研を中心に、理研、産総研等の創薬支援ネットワークを作り、国内の研究成果を実用化につなげるとともに、ベンチャー育成にも力を入れます。臨床試験段階では、ARO機能を併せ持つ臨床研究中核病院を整備していきます。臨床開発コアセンターを設置し、それを核に複数の病院をネットワーク化し、バーチャルな大病院を形成したいと考えています。それにより質の高い臨床試験や難病等の治験が実施できます。審査・承認段階では、迅速に審査できる体制を強化し、またアジアとの連携も実施します。イノベーションの適切な評価も重要と考えています。
 これらのことを実現するには横断的な施策を進めることが必要になります。オールジャパンの研究連携体制を構築すること、情報通信技術の活用による医療サービスの高度化支援、人材育成、国際総合特区の活用、広報活動の強化も重要です。


会場風景

各パネリストによるプレゼンテーション

 基調講演に続いて、3人のパネリストからそれぞれプレゼンテーションが行われました。
 厚生労働省大臣官房技術総括審議官 三浦公嗣氏は、「医療イノベーション5か年戦略の着実な推進」と題して、以下のように述べました。5か年戦略が策定され、日本再生戦略が閣議決定されましたが、これによって医療がどう変わっていくかが重要です。患者を中心とする医療の仕組みを実現しなければなりません。そのエンジンとしての医療イノベーションに期待しています。産官学が一丸となって、医療イノベーションを長く継続させることが重要です。そのためには、産官学で横断的に人材育成をしなければなりません。
 次に、東京大学創薬オープンイノベーションセンター センター長の長野哲雄氏は、「アカデミア創薬推進の提言」と題して、以下のように述べました。アカデミアで行われている学術研究と臨床研究との間には死の谷があり、その原因は、橋渡し研究が不十分であることだといわれています。アカデミア側は、応用研究にまで進めてから企業に持って行く必要があります。そのためには、大学で化合物ライブラリーを持ち、ハイスループットスクリーニング(HTS)を実施することが必要です。米国の例では、国家主導で年間70億円から80億円の予算を付けて、全米で70以上の機関がそれぞれ化合物ライブラリーとスクリーニング基盤を整備しました。日本では東大に初めて化合物ライブラリーとHTSを設置しました。2012年はアカデミア創薬元年だと考えています。さらに革新的な取り組みとしては、企業から化合物をもらって、大学で研究して取得したデータを企業にフィードバックすることも考えられます。
 次に、製薬協 手代木功会長は、「革新的医薬品の創出に向けて」と題して、以下のように述べました。製薬産業はこれまで、新薬を創出することによって健康で安心な社会に、収益を上げることによって経済成長に、研究開発によって科学技術の発展に貢献をしてきました。しかしながら、日本における創薬環境は、今、危機的な状況にあると認識しています。まず、日本のライフサイエンス分野の科学技術予算は絶対額が不足しており、米国の約10分の1しかありませんし、その予算の戦略的・重点的な配分ができていません。さらに、法人所得税が高いうえに、研究開発税制でも諸外国に比べて不利な状況です。日本の製薬企業だけでなくグローバル企業も、日本で研究開発投資できず、拠点を撤退する状況となっています。また、日本ではベンチャーが育っていないという問題もあります。
 5か年戦略の中で強化すべき事項としては、医療イノベーション政策の司令塔機能の強化、ライフサイエンス関連予算の一本化と増強、研究開発を促進する税制の維持・強化、『新薬創出・適応外薬解消等促進加算』の本格導入・恒久化の4つが挙げられます。医療イノベーション推進室を中心に、オールジャパンで取り組んでいく必要があります。また、5か年戦略の主な施策の中では、創薬支援ネットワークによる実用化支援の強化とARO機能を併せ持つ臨床研究中核病院の整備の2つが最も重要だと考えています。


パネル・ディスカッションの様子

パネル・ディスカッション

 その後、江戸川大学 メディアコミュニケーション学部 教授 中村雅美氏をコーディネーターとして、パネル・ディスカッションが行われました。医療イノベーションはオールジャパンで推進する必要があること、それには産官学での人材の交流と育成が極めて重要であることを指摘し、創薬支援ネットワークの課題等について、活発な議論が行われました。

(文:広報委員会 政策PR部会 樋口 敦子)

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