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「製薬協プレスツアー」を開催

政府が掲げる新成長戦略基本方針のひとつの大きな柱は、「ライフイノベーションによる健康大国戦略」であり、日本発の革新的な医薬品、医療・介護技術の研究開発推進を目指す中で、製薬産業は国民の生活改善や向上に大きく貢献する使命および責任を担っています。製薬協広報委員会では、報道関係者とのコミュニケーションを深めお互いに見聞を広げるため、最新の医療関連施設を訪問し、業界における科学技術の進歩を肌で感じるプレ スツアーを毎年実施しています。
3月7日、総勢28名の記者および製薬協関係者は「京都大学における革新的医療機器開発と最先端医療の現状」をテーマとして、京都大学医学部附属病院先端医療機器開発・臨床研究センター、がんセンター、およびPET(ポジトロン断層撮影)センターを訪問し、取材しました。

2012/05/10

京都大学先端医療開発特区について

革新的技術の開発を阻害している要因を克服するため、研究資金の特例や規制を担当する部局との並列協議などを試行的に行う「先端医療開発特区」は「スーパー特区」と呼ばれ、従来の行政区域単位の特区ではなく、テーマ重視特区(複数拠点の研究者をネットワークで結んだ複合体)であることなどが特徴です。この「スーパー特区」は内閣府を中心に全国で24課題が選択され、京都大学主体で実施する課題は3件(難病創薬スーパー特区、医療機器開発スーパー特区、iPS細胞スーパー特区)が採択されています。
その中の医療機器開発スーパー特区の拠点として京都大学先端医療機器開発・臨床研究センターがあります。同施設は、2011年6月に竣工されたばかりで、医療機器の臨床研究から薬事申請までの一連の流れを迅速かつ適正に実施し、日本における医療機器開発のボトルネックである臨床研究に重点的に取り組む本格的な産官学連携拠点となるもので、経済産業省の補助金とキヤノン株式会社からの寄附により建設されました。今回のプレスツアーでは同施設の概要説明の聴講、施設見学および臨床研究でかかわるがんセンター、PETセンターを視察しました。


先端医療機器開発・臨床研究センター外観

京都大学先端医療機器開発・臨床研究センターでのレクチャーと見学

同センターは、未来の医療を実現するために「イメージング技術」をキーワードに、社会的ニーズに合致した革新性・新規性を有する医療機器の開発を推進し、実用化へ向けて薬事申請を目指しています。
日本発の世界が認める画期的医療機器開発のためには、京都大学を研究拠点とし、探索医療センター、臨床研究センター、産学連携機構などの整備されたインフラを活用し、イメージング技術を先導する全国の研究機関(研究者)を網羅した研究複合体(オールジャパン体制)を形成することが必要であり、強固なプラットフォームを構築しています。
また、スムーズに連携した臨床研究により、医療機器の高度化・実用化を加速することが重要です。
最先端の医療機器開発のための臨床研究が医療の次の時代へ導くことを目指しています。上記の研究複合体をフルに活用することにより、国民のニーズが高く、革新性・新規性に秀でており、しかも2012年度までに薬事申請が行える基盤技術と実績を有するような医療機器システムの開発を進めています。
見学会は、センター5階のカンファレンスルームに て開始され、研究代表者である平岡眞寛氏(京都大学大学院医学研究科研究科長補佐、放射線腫瘍学・画像応用治療学教授)による医療機器開発スーパー特区概要の説明、先端医工学研究ユニット長の伊藤紳三郎氏(京都大学大学院工学研究科 高分子化学専攻教授)による医工連携プロジェクト概要の説明、および柳原一広氏(京都大学大学院医学研究科 探索臨床腫瘍学講座准教授)による抗がん薬の最新のトピックス等に関する講演を聴講し、参加記者との積極的な質疑応答がなされました。
平岡教授からは、社会的ニーズに合った革新的医療機器(診断機器や治療機器)の開発として、光イメージングシステム、PETシステムを活用しての超早期診断や画像誘導型放射線治療システムを活用してのがん治療の説明がありました。医療機器を最適化する臨床研究を常にリンクさせながら、臨床研究から薬事申請までを迅速に行う日本初の拠点として、期待を述べました。
伊藤教授からは、2006年度の文科省科学技術振興調整費の支援を受けて発足した「高次生体イメージング先端テクノハブ」として、キヤノンとの共同プロジェクト(CKプロジェクト)での画像診断機器などの開発に関する説明があり、具体的な取り組み例として、眼底カメラによる光干渉断層撮像装置(OCT)や腫瘍の血流イメージを表出する光超音波イメージングなどの開発状況の紹介がありました。
柳原准教授からは、「抗がん薬による効力をどう判定するのか?」の観点より、新薬の承認を目的に施行される臨床試験の解説から、RECIST(Response Evaluation Criteria In Solid Tumors: 固形がんの治療効果判定のためのガイドライン)version1.1のポイント説明、新規薬剤の治験(主に第Ⅱ相治験)に関する早期の評価方法、および抗がん薬の最新のトピックスを非小細胞肺がん中心に講演され、参加記者からは最近の新薬(抗がん薬)の臨床評価への関心が高く、多くの質問がありました。
その後、休憩を挟み副センター長の小川修氏(京都大学大学院医学研究科 泌尿器科学教室教授)の挨拶の後、施設内見学会が実施されました。見学ははじめにがんセンター、PETセンターを視察し、先端医療機器開発・臨床研究センターへ戻り、センター内の各フロアー内を視察しました。
センター内フロアーでは、島津製作所が開発し2011年10月より施設内にて稼働中の次世代質量分析装置や質量分析顕微鏡の見学を行い、当該システムを用いた新たな診断・治療手法の確立に向けて、バイオマーカーの発見やがん創薬のための標的分子候補の発見への将来的プロセスの説明を受けました。数十万種類の超微細なタンパク質を選択的、高感度に計測を行う可能性を強く感じるとともに、病気の早期診断や新しい治療法、新薬開発に大きく貢献できる期待を感じました。


見学風景

がんセンターおよびPETセンターの見学

がんセンターでは、外来がん診療を中心に見学を行い、外来化学療法のベッドサイド、患者さんへの専門スタッフ連携システムおよび薬剤調整室等を見学しました。がんセンター外来は明るい色合いの内装で心地よい雰囲気に包まれ、化学療法の待合室には患者さんのがん治療への知識レベルアップのため、豊富な図書と資材が準備されており、患者さんのニーズを非常に考慮した設計となっていました。
PETセンターでは、全身撮影を目的とした巨大PETによる診断風景、および先端医療機器開発・臨床研究センターの共同研究開発テーマのひとつであり、乳がんの早期診断を目的とし、乳房のみに特化して精密なPET診断を行う機器開発途上でのプロトタイプ機を見学しました。この機器は早期診断とともに従来のマンモグラフィーによる女性への負担を軽減したもので、すでにプロトタイプ機も座位型PET機(C型検出器)から、伏臥位型PET機(O型検出機)に発展的に改良、臨床応用されていて、世界へ挑む最先端機器の実現へ向けて確かな手応えを感じました。

最後に

一連の見学終了後、センター5階のカンファレンスルームに参加者の皆さんが再度集合し、視察に関する質疑応答を行った後、参加者全員が深い感銘を語り合いながら、施設への御礼を述べ、解散しました。
この場をお借りして、京都大学関連施設での取材にご協力いただき、大変お世話になった多くの皆様に御礼申し上げます。

(文:広報委員会 コミュニケーション推進部会 中川 二郎)

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