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「第19回広報セミナー」を開催 これからの製薬産業を考える

製薬協広報委員会主催の第19回広報セミナーが、2011年10月20日、東京會館LEVEL21(東京都千代田区)で開催されました。今回は「これからの製薬産業を考える」をテーマに製薬協の手代木会長と欧州製薬団体連合会(EFPIA Japan)の加藤会長より講演があり、90名を超える会員会社の参加者は熱心に聴講しました。

2011/12/28

製薬協広報委員会では広報委員会委員および会員会社の広報担当者を対象に、製薬産業に携わる者として共通認識を深めるために広報セミナーを開催しています。今回は製薬協の手代木会長から「日本の医薬品市場の課題~広報委員会に期待すること~」、欧州製薬団体連合会(EFPIA Japan)の加藤会長から「欧州の製薬企業の現状と将来」について講演がありました。以下に講演内容を紹介します。

講演1 日本の医薬品市場の課題~広報委員会に期待すること~

日本製薬工業協会
手代木功会長


手代木功会長

初めに、日本の財政状態は著しく悪化していることが示されました。他の主要先進国は着実に財政の健全化を進めた結果、債務残高は横ばいまたは減少する傾向にありますが、日本の債務残高は増加の一途をたどり、主要先進国中最悪の水準という極めて深刻な状態にあります。債務残高悪化の背景として、社会保障費の増加が国の財政を苦しめており、国民医療費は国民所得、国民総生産を上回る毎年1兆円強の増加が推測され、このままの財政状況が進めば、日本が崩壊すると言っても過言ではないと述べました。
次に、国民皆保険の堅持のために、国民負担に関する十分な議論が必要であることが示されました。主要欧米4カ国と健康達成度を比較しますと、医療費の水準は低い中、健康達成度、健康寿命、平均寿命ともに第1位であり、これにはいつでもどの医療機関にも受診できるフリーアクセスとともに、それを支える国民皆保険制度が大きく貢献していると述べました。国民負担率を国際比較すると、同程度の給付水準であるイギリス、ドイツ、フランスと比較しても大きく下回っています。この世界に誇る国民皆保険を堅持するためには、日本の財政健全化が必要不可欠であり、税負担に関する議論をはじめ、国民負担に関する幅広い十分な議論が必要であると述べました。
続いて、医薬品産業の成長のためには、さらなる研究開発投資が必要であることが示されました。医薬品産業は日本経済を牽引する知的集約型産業として期待されているところです。現時点では日本は世界第3位の創出国であり、アジアで新薬を創出できる唯一の国であると認識しています。しかし、これまで新薬を創出できていない国々においては、創薬環境整備を国家戦略として着々と進めつつあり、相対的に日本のプレゼンスを維持、発展させていくために課題が山積しています。製薬産業をますます成長産業に発展させていくうえで、イノベーションを推進させるための環境整備が重要であり、さらなる研究開発投資を実施し、より革新的な医薬品を、より早く創出することにより、国民・患者の皆様の健康に貢献するとともに、日本の経済成長を牽引していかなければなりません。そのためには医療イノベーション推進室の設置、研究開発環境の基盤整備、新薬創出・適応外薬解消等促進加算の恒久化をはじめとした施策の推進を進めていくとともに、研究開発の上流から下流および承認販売後まで、すべてのフェーズで、効率化できる部分は効率化し、研究開発へのさらなる投資を行っていかなければならないと述べました。
最後に、広報委員会に期待することが示されました。広報委員会に対しては、何を目的に、誰に対して、何をPRすべきかしっかり考えてほしい。これまでの方法が目的に合致した最適な方法か、慣れや延長で取り組んでいないかを検証し行動してもらいたいと述べました。また、そのためには、他の委員会やプロジェクトと連携し、十分なタイアップ活動をしたうえで、各委員会の取り組みをPRに反映させていく必要があると述べました。
日本の医薬品産業に対する正しい理解を得ることが、日本の医薬品産業の健全な成長につながるものと確信しており、そのためにも広報委員会の活動が必要不可欠であり、さらに推進してもらいたいと述べ、講演を締めくくりました。

講演2 欧州の製薬企業の現状と将来

欧州製薬団体連合会(EFPIA Japan)
加藤益弘会長


加藤益弘会長

初めに、世界の医療の動向、課題について、世界の人口動態と疾病の変化が示されました。世界の人口は急激に増加しており、さらに少子高齢化は世界共通の問題になります。世界の疾病の動向は、1980年代はHIV/AIDSの蔓延とその対策、1990年代は貧困国でのNeglected Disease(寄生虫、ウイルス)問題、2010年以降は発展途上国の新興国化、人口の増加、ライフスタイルのグローバル化が進み、いわゆるNon Communicable Diseases(NCDs)が問題になってきていると述べました。NCDsは循環器系、糖尿病、がん、慢性呼吸器疾患に代表される疾患群で、NCDsは死因のうち最大であり、将来にわたり増加することが示されました。
医療費の増大と薬剤費抑制の動きに関しては、先進国の薬剤費の伸びはGDPの伸長に比例する傾向にあり、国ごとに大きく異なる制度を導入していますが、製薬企業(薬価)が薬剤費抑制の最大のターゲットになっています。政府と企業は、医薬品のもたらすベネフィットに応じた薬価、すなわち保険償還の方法や条件の合意を模索しています。政府は医薬品の価値を評価するHTA(Health Technology Assessment、医療技術評価)の結果をますます重視し、特に英国NICE(National Institute for Health and ClinicalExcellence、国立医療技術評価機構)は欧州で最も重視され影響力がある医薬品の価値を評価する組織であり、企業にとっても欧州市場の薬価政策に重要なターゲットであることが示されました。
次に、グローバル製薬企業はどのように課題にチャレンジしているか、企業の社会的責任、アクセス問題について、グローバル製薬企業CEOメッセージが紹介されました。また、医薬品の価値の提示(Value Proposition)とHTAに対する業界の見解が示され、製薬業界は最も効率的な医療制度の構築に社会的な責務を持っており、健康を促進するための専門性と資源・手段を構築しつつあるとの見解を述べました。HTAは患者さんの異なるニーズや好みを反映する形で設計し、医師が可能な限り最善のエビデンスをもとに患者ごとに治療内容を個別対応できるようにすべきであるとの見解を述べました。
最後に、まとめとしてグローバル製薬企業は「世界の医療問題について強い関心を持ち、その解決を企業の目標や義務の一つとして認識していること」、「新興国の可能性は非常に大きく、戦略的に事業の拡大を図っていること」、「先進国の医療費抑制策に対抗し、製品のValue Propositionを行うことでイノベーションの評価を受けることを目指していること」、「先進国の保険償還について、患者さんのメリットという視点に立った新しい仕組み作りを当局と探り始めていること」、「研究開発の効率化、継続的な革新的新薬の提供のみが生き残る道であるとの認識があること」、「ビジネスの遂行に対し、どの企業も誠実さを最優先する施策を講じていること」を示し、講演を締めくくりました。


会場風景

(文:広報部)

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