イベント・メディア向け情報イベント・メディア向け情報

「第18回広報セミナー」を開催
製薬企業の社会的責任(CSR)を考える

製薬協広報委員会主催の第18回広報セミナーが、2011年6月16日、東京・野村コンファレンスプラザ日本橋にて開催されました。今回は「製薬企業の社会的責任(CSR)を考える」とのテーマのもとにパネルディスカッションを開催し、コーディネーターに、武田薬品工業のコーポレートコミュニケーション部シニアマネジャー(CSR)金田晃一氏を、また、パネリストに、エーザイの知創部部長高山千弘氏と、グラクソ・スミスクラインの広報部部長小松義明氏の2名を迎えました。約100名の会員会社参加者は熱心に聴講しました。

2011/09/08

パネルディスカッション開始の前に、大槻広報委員長から冒頭挨拶があり、「CSRは今まで事業活動との“両輪”として、事業とは別の活動として取り組まれているが、今後、事業と一体の“企業市民としての当たり前の活動”と考えられていくのではないか」との認識が示され、本セミナーで、日本のCSR先進企業であるエーザイ、および、全世界でのCSR活動に大きな実績をもつグラクソ・スミスクラインの取り組みを聞けることに期待感が高まりました。
次に、パネルディスカッションに入り前半では、パネリストの2人から、(1)各社の製薬企業としてのCSRの取り組み、(2)東日本大震災での対応について、それぞれ20~30分程度のプレゼンテーションがありました。後半では、コーディネーターからいくつかのテーマを提示しつつ、壇上で質疑と議論が行われました。

プレゼンテーション

エーザイ社のCSR活動ご紹介

高山千弘氏
エーザイ株式会社
理事 知創部 部長


高山氏

まず、東日本大震災に関する対応・活動について、対策本部設置、義援金、支援物資提供等のほかに、エーザイの基本理念「hhc(human health care)」に基づく被災地での活動として、自転車での訪問(医療機関、代理店に加えてグループホームに対して)や、「まち」に対する「希望新聞」の発行(10万部)が紹介されました。
次に、1988年に導入し取り組んできている「hhc」の理念に基づき、製薬企業からヒューマンヘルス企業として、社会的価値を創造し、その結果として経済的価値を得る活動を展開していると、詳細に紹介しました。
「hhc」は、製薬産業の環境変化に対して企業が生まれ変わって成長するためにイノベーションを起こすことを目的に導入され、社員1人1人が、「主役である患者様」と直に接する体験を積んで患者さんの喜怒哀楽を知ること(「共同化」と呼んでいます)によって「知の創造」をなし、革新を起こしていこうとするもので、「情動から生まれるイノベーション」を標榜しています。
「hhc」活動(共同化を通じた知識創造活動)の具体例として以下が紹介されました。

  • 認知症の人と時を過ごす病棟介護体験
  • 老人ホームでの現場体験(高齢者擬似体験含む)
  • 小児がんの子どもたちとの対話
  • 患者とそのご家族のための工場・研究所見学会
  • 患者訪問に基づくカップ型ゼリー製剤の開発
  • ケアマニュアル「Caring to Help Others」作成(米国)
  • スクリーニング・キャンプ(出張検診)(インド)
  • 患者と医療従事者の対話場(タイ)
  • 患者ご家庭訪問(インドネシア)
  • 『てんかんと共に生きる』共同執筆&「てんかんデー」実施
  • 認知症に関する各種活動(タウンミーティング、検診の実現、医師の診断技術研修、MRI診断ソフト等)
  • リンパ系フィラリア症治療薬をWHO(世界保健機関)に無償提供

グラクソ・スミスクライン社のCSR活動ご紹介

小松義明氏
グラクソ・スミスクライン株式会社
広報部 部長


小松氏

グラクソ・スミスクライン(GSK)は、「患者中心」を同社の強い価値の一つとし、現最高経営責任者の強力なリーダーシップのもと、住んでいる場所や支払能力の違いによって良い医療が受けられたり、受けられなかったりする格差を改善する「医薬品アクセス向上」を展開しており、それがGSKの製薬企業としてのCSR活動の柱になっています。
具体的には、後発開発途上国(LDC)や新興市場において柔軟な価格上限政策をとって富裕層以外へ対象を拡大し、結果的に事業の成功につながっていることが紹介され、最近では、LDCで得た利益の20%をその国の医療制度改善のために投資している、ということです。また、今まで顧みられていなかった熱帯地方の疾患への取り組みとして、マラリアワクチンの開発と柔軟な価格設定での提供および利益の途上国特有疾患対策への再投資や、GAVI(ワクチンと予防接種のための世界同盟)との連携により、世界で最も貧しい国の子どもたちにロタウイルス胃腸炎ワクチンを今後5年間にわたり先進国の価格の95%引きで提供する活動などが紹介されました。また、東日本大震災への対応については、義援金、医薬品提供、支援物資提供のほかに、「チームオレンジ」と銘打った社員ボランティアの被災地訪問支援活動を行っていること、および、活動内容および社内外からのメッセージを社内に繰り返し広報したことが紹介されました。

パネルディスカッション


金田氏

コーディネーターが以下のテーマについてパネリスト2人のコメントを求める形で進行しました。また、会場から質問があがるなど、活発な議論の場となりました。
(1)本業と社会貢献活動の関連性(違い、境い目)
パネリストの2社ともに文化・芸術への支援は行っておらず、各社の特性を発揮しうる本業を通じた患者さんへの貢献を中心に据えています。
(2)本社とグループ会社の関係(連結経営)
海外社員のほうが日本社員よりもCSRへの取り組みに対して意識・関心が高く、活動への信念も強いと感じられ、社員全員に社会貢献活動などへの意識を浸透していくためにはまだまだ啓発していく必要があるとのコメントがありました。
(3)社員1人1人への浸透(ボランティア活動等)
社員のボランティアは会社のCSR活動とは区別され、会社としては休暇制度を設けたり、ボランティアプログラムやニーズなどを紹介することで社員個人を支援しています。また課題として、CSR活動から経済的価値を生み出すには、長期間にわたる試行錯誤を繰り返していかなければならないことがあげられました。さらに、社員や世の中にはまだ、「CSR活動はきれいごと」といった認識が少なからずあるので、過去にCSRの考え方が不足していたことの反省を生かしたうえでの活動であることを、啓発していくことが必要との意見がありました。
(4)CSR活動を広報するポイント
地道に自社の活動を繰り返し誠実に伝えるほかない、という認識が示されました。なお、現在はインターネットが普及しており、市民1人1人がメッセージを発信しているが、企業が1件1件に対応はできないので、企業の業務上の情報開示(たとえば、臨床試験結果や医療機関への支払等)を高めて対処することが考えられるのではないか、とのコメントがありました。また、コミュニティーとの相互的な意見交換が必要であり、求めている方々のために企業努力をし、存在意義を見出していくのが広報の役割ではないかとの意見が提示されました。


セミナー会場風景

最後に

今回、パネリスト、コーディネーターともに壇上からとても情熱的に語ってくださり、その興味深い内容に会場の聴衆が引き込まれていました。次回は、10月20日開催を予定しており、今後も広報委員1人1人が向上できるようなセミナーになるよう取り組んでいきます。

(文:広報委員会 奥田 英成)

このページのトップへ

  • キャンペーン
  • 製薬協ニューズレター メールマガジン登録はこちらから
  • くすり研究所
  • 治験について
  • グローバルヘルス
  • Stop AMR 薬剤耐性に対する製薬協の取り組み
  • APAC
  • くすりの情報Q&A
  • 製薬協のテレビCM