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「震災から学ぶ、患者支援の取り組み~東日本大震災から3ヵ月を経て~」をテーマに第20回製薬協患者会セミナーを開催

2011年6月25日、東京国際フォーラムにて、第20回製薬協患者会セミナー「震災から学ぶ、患者支援の取り組み~東日本大震災から3ヵ月を経て~」を開催しました。患者会セミナーは、患者会の方々への情報提供と情報交換・ネットワーキングの場として、製薬協患者会連携チームにて企画・運営しています。今回のセミナーには、患者会から約60名、メディアから3名が参加されました。講師としてお招きした東北福祉大学教授、財団法人仙台市障害者福祉協会会長および被災障害者を支援するみやぎの会代表を努める阿部一彦先生から、被災地域の医療対応に関して、患者・障害者の視点からのさまざまな話がありました。

2011/09/08

今回のセミナーの目的

このセミナーの目的は、今回、震災を経験した阿部先生のお話を聞き、震災後、どのような対策をとり、また、どのような問題があるのかを知ることや、将来、同様の事態が起きた際に最適に対応するため、あらかじめの備えとして、患者会がどのような体制を構築しておくべきかを学ぶとともに、参加者からの質疑応答により、活発な議論を展開することにありました。参加者から得られたアンケート50件のうち90%にあたる45件から、このセミナーが「とてもためになった」、「ためになった」とポジティブな回答が得られたことは、このセミナーの目的の達成を裏づけています。
しかし、本セミナー開催時の震災後約3ヵ月では復興までにほど遠く、引き続き被災者のニーズに対応する支援が必要であるほか、今後の対応を含めて医薬品のみならず、今回の医療全般の対応を包括的に検証する機会を持つべきとの提言もありました。

講演1:製薬協の取り組み~震災時のくすりの提供について~


伍藤忠春理事長

製薬協の役割は必須医薬品を迅速にリストアップし確保すること
講演1として製薬協伍藤忠春理事長より、震災時の医薬品提供の取り組みについて紹介がありました。
製薬協では、地震発生後ただちに災害対策本部を設置し、加盟製薬企業各社と連携しながら、被災地に必須となる医薬品をリストアップし、集積を迅速に行いました。そして、米軍輸送機を手配した日本医師会の要請に応じ、まず3月19日、約10トンの医薬品を岩手県、宮城県の被災地に提供しました。被災地に支援医薬品をいかに迅速に提供するかという重要な課題に直面して、氾濫する情報を整理し、いつ、どこに、何を、どのように届けるべきかを判断するかが重要であったそうです。
物流・調剤など含めて供給体制の確立のためには、病院、医師・薬剤師会等との緩やかな連携と協力が不可欠
それでも、予期しないガソリン不足、交通の寸断などにより輸送手段が見つからず、支援医薬品の提供開始まで1週間かかっています。災害発生時の当座をしのぐためには、患者会、病院、医師会、薬剤師会、地域コミュニティ、患者個人が複層的に常に備えておくことが、今後のリスク対応体制を考慮する際に重要であるとして、講演を終えました。

講演2:特別なニーズを持つ被災者への支援


阿部一彦先生

被災地域で特別なニーズを持つ被災者(患者・障害者など)への支援にあたった阿部一彦先生からは、被災地において患者・障害者がどのような状況にあるかについてお話がありました。常々、地震の多い宮城県/仙台市エリアでは、大学ボランティアセンターの呼びかけなどにより、障害種別の異なるさまざまな団体が、個々に支援の必要性や災害時の対応について検討する機会を持ち、「減災」というコンセプトのもと構築してきた災害時の対応体制が、功を奏した一面が紹介されました。しかしながら、今回の地震・津波は、こうした備えで想定してきたレベルをはるかに越えるものであったことが、直面した苦境を避けられないものにした主要因であるとの説明もありました。
 被災者支援の中で、特別なニーズを持つ患者・障害者への対応に関連して認められた厳しい現況
「障害者は指定避難所でほとんど見かけることはありません。なぜなら、こうした人々が避難先で生活を続けるには、身体的・精神的に負担が大きすぎるからです。しかし、福祉避難所が障害者に提供できる支援には、機能の面からもキャパシティの面からも限界があり、多くは生活の苦難を覚悟して自宅などに戻っています」という状態で、医薬品の供給に限らず慢性疾患への医療対応が十分とはいえない現状が語られました。
被災者を支援するうえで重要なことのひとつとして個人情報保護の観点から、行政側からの情報が出されず、安否確認が必要な障害者の特定ができないことが指摘されました。連絡先もわからず、安否すら確認できなければ、特別なニーズを持つ被災者の状況および支援ニーズを把握できないという状況に直面したことが明らかにされました。
今後は各地で、あらかじめこうした緊急の場合に限ってはより柔軟に個人情報を取り扱えるよう、運用について当事者団体などが検討してコンセンサスを図っておくべきと提言されました。
一方で、現在も引き続き行われている全般的な被災者支援の活動の中で、障害者団体・患者団体の活動との連携の重要性が際立つことが説明されました。団体に所属する人々の個人レベルも含めたネットワーク、各種の支援者・医療関係者(団体も含む)との連携体制を構築して情報不足を補い、必要なものを必要としている人になるべく的確に届けることに大きく寄与していることが紹介されました。

その他のトピックス
ほかにも以下のようなトピックスが紹介されました。

  • 避難生活の困難さ:慢性疾患のある人、集団の中でのストレス、薬の不足、不十分な医療対応について。
  • 要支援者情報登録の不備:身体障害者の87.5%は要支援者情報登録を申し込んでおらず、その理由の88.5%が制度を知らなかったことによると回答があったことについて。

最後に、震災の経験から、「絆」、「つながり」、「支え合い」が大切にされ、障害者を含めたさまざまな人が「暮らしやすい成熟した社会」を、こうした苦難を乗り切ったうえで実現するべきだということが、阿部先生の結語としてまとめられました。


会場風景

(文:患者会連携チーム 原田 憲成)

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