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「未承認薬・適応外薬問題の解消に向けた取り組み」
第19回患者会セミナーを大阪で開催

2月5日、「第19回製薬協患者会セミナー」を、大阪第一ホテルで開催しました。このセミナーは2010年7月10日に東京で開催したセミナー(本誌No.139に掲載)と同じテーマで、前回に引き続き国立がん研究センター中央病院 副院長 藤原康弘先生と製薬協仲谷常務理事が講演しました。今回のセミナーには30の患者会・患者支援団体から56名の参加があり、活発な質疑応答や意見交換が終了後の交流会まで続きました。

2011/03/14

〈講演1〉未承認薬・適応外薬問題の解消に向けて

医薬品の開発には10~20年の期間がかかり、新薬開発の成功確率は1/30,000と年々低くなっています。そのステップには患者さんが一緒に取り組む臨床試験(治験)があり、現在、使用されている薬は、先人の努力や患者さんの協力の賜物と言えます。日本は新薬開発ができる限られた国の一つで、多くの新薬が60カ国以上で使用され世界の医療に貢献しています。
しかし、日本ではドラッグ・ラグと呼ばれる問題があります。欧米で承認されてから日本で承認されるまで約4年の差があり、主に治験着手時期が原因です。解決に向けて行政としての課題と、業界としての課題があり、行政の取り組みとしては、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議により、希少疾病用医薬品の開発を支援する枠組みが作られています。業界としては未承認薬等開発支援センターの設立や、新薬創出・適応外薬解消等促進加算を活用して革新的な新薬創出の加速に取り組んでいます。


日本製薬工業協会
仲谷 博明 常務理事

〈講演2〉未承認薬・適応外薬問題の根本解決には何をすればよいか?-抗がん剤を例に-

最初に、新薬開発の困難さを理解してもらうために話しますが、新聞で「マウスによる実験で新たな治療法発見」のニュースが流れたとしても、データによれば実際に薬になって恩恵を受けられるのは約24年後となっています。
仲谷常務理事の講演にもありましたように、ドラッグ・ラグの主因は治験着手時期の差です。日本で早く治験を開始すればラグは短縮されますが、いくつかの阻害要因があり、国内の臨床研究のインフラ整備と社会制度改革が急務となっています。他の要因として承認審査のマンパワー不足が指摘され増員されていますが、人数だけでなく専門医や生物統計家の割合、経験などの課題もあります。海外の臨床試験が先行することはラグの問題だけでなく、欧米の患者さんは臨床治験のリスクを負うが、日本人は貢献していないとの批判も生みます。
また、臨床現場で一番問題となるのは、ある疾患には承認されていても他の疾患には承認されていない薬の適応外使用です。欧米には、適応外使用を保険診療下で実施しやすい仕組みや、コンパッショネート・ユース制度という未承認薬にアクセスする制度があります。日本においてもこのような仕組みの構築が望まれます。
最後に新薬の価格の問題です。最新のがんワクチンには1コース1千万円にもなるものが登場しており、社会がどのように負担するのかが大きな課題になっています。


独立行政法人国立がん研究センター中央病院
藤原 康弘 副院長

Q&Aセッション

司会 製薬協患者会連携チーム サブリーダー 遠藤 永子
パネリスト 藤原 康弘、仲谷 博明

<質問>
未承認薬の問題を解決するために、患者会や個人でできることはありますか。

<回答>
多くの患者さんと疾病の背景を共有し、意見をまとめて地元の議員さんや学会、医師団体などに声を上げることです。また、企業や研究者が行う臨床試験に参加してください。ただし、お任せではダメです。医療費を補助する民間の基金を作るような寄付による支援もあるかもしれません。(藤原)


<質問>
日本が国際共同治験に入れない理由として、人件費が高いというのは本当でしょうか。また、語学の問題というのもありますか。

<回答>
日本の特徴として、同じ疾患の患者さんが一つの施設で治療されていることはまれで、多くの施設に手続きが必要になります。人件費にもつながりますが、患者さんを集めるための時間がかかり、日本の遅れは他国の申請を遅らせる結果となります。患者さんが集まりにくい原因として、今の治療に満足されていることもあります。(仲谷)
中国や韓国では英語での審査を受け入れていますが、日本では日本語に翻訳する必要があります。企業よりも、病院内での事務やプロトコール(治験実施計画書)審査などで患者さんの対応がむずかしいようです。(藤原)


Q&Aセッションの様子

(文:患者会連携チーム 逢坂 誠俊)

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