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「第17回広報セミナー」開催される
新薬価制度と製薬産業

製薬協広報委員会主催の第17回広報セミナーが、2010年6月15日、東京・大手町サンケイプラザにて開催されました。今回は「新薬価制度と製薬産業」をテーマに医薬品証券アナリストの視点から山口秀丸氏、また、厚生労働省からは福本浩樹経済課長に講演していただきました。120名の会員会社広報部門関係者は熱心に聴講しました。

2010/09/13

製薬協広報委員会では、委員および会員会社の広報担当者を対象に、年2回の研修会を開催しています。研修会は今回の「広報セミナー」と10月に開催される「広報研究会」から構成され、前者は製薬産業に携わる者として共通認識を深めるために必要なテーマを取り上げ、後者は、企業の広報やIR、リスクマネジメントといった、広報担当者が日々の業務で直接係わるテーマを取り上げています。今回は、医薬品証券アナリストとして経済誌などで常に上位にランクされるシティグループ証券の山口秀丸氏より「新薬価制度と製薬産業~医薬品アナリストの視点から~」、また、厚生労働省医政局経済課長の福本浩樹氏より「新薬価制度と医薬品産業」について講演していただきました。


セミナー風景

[講演1]新薬価制度と製薬産業~医薬品アナリストの視点から~

山口 秀丸氏
シティグループ証券株式会社
調査本部株式調査部マネジングディレクター
医薬品業界担当アナリスト


山口秀丸氏

冒頭、医薬品産業について、「私は長年にわたり医薬品証券アナリストをやっているが、大変エキサイティングな市場であり、成長が残されている産業だ」と述べました。業界環境については、「プラス面として、今回の新薬創出・適応外薬解消等促進加算(以下、新薬創出加算)や中国のようなエマージング市場の成長があるが、マイナス面で、米国医療制度改革負担増、後発品数量促進策、円高といったものがあり、特に近年、ブロックバスターが消滅しつつあり、特許切れのスピードに研究開発が追いつかなくなっている」と指摘しました。医薬品産業の業績について、山口氏は「当社では2010年の成長率を5%と見ているが、今後5年間の成長率は日米欧とも鈍化が続き、自身では3%程度と予想している。短期的には国内においては新薬創出加算のフォローの風が吹くため、国内外製薬企業にとっては日本の市場が大事になってくるのではないか」と述べました。
また、今後の医薬品産業については、「特許問題への対応を早期に冷静に対処する必要があり、コストの削減や、OTC医薬品、医療機器、ワクチンといった薬価改定に影響されない事業開発が必要となってくるのではないかと思う。これまでは特許切れを画期的な新薬で補うことができたが、これからは大きな成果を見込めない産業になってきている。国内においては、新薬価制度を見据えた戦略の転換も必要であり、価格戦略、未承認薬、適応外薬への取り組みも重要となってくる。長期収載品とジェネリックの垣根も低下するため、日本版ジェネリックのビジネスモデルが構築されるかもしれない。基本的にはコストを下げて利益を確保していくことが重要ではないか」と述べました。
最後に山口氏は「これまで医薬品は、人口増加、生活習慣病の増加、高齢化といった市場のニーズがあり、次々と新薬が上市されてきた。しかしながら、これからの各社のパイプラインを見ると、画期性のある新薬は見当たらず、2011年~2013年にかけては医薬品企業の業績は厳しいと思う」と見解を述べ、講演を終了しました。

[講演2]新薬価制度と医薬品産業

福本 浩樹氏
厚生労働省医政局経済課課長


福本浩樹氏

最初に医薬品産業について、「知識集約型かつ付加価値創出型の産業である」と自らの見解を示し、新薬価制度、新経済成長戦略、医薬品産業を取り巻く状況、医薬品産業政策の課題と対応について講演しました。新薬価制度について、「新しい薬価制度は、特許期間中にある新薬の薬価を維持し、新薬の特許満了後は薬価を大きく引き下げ、後発品使用によって代替を図るものであり、企業はこの特許期間中に研究開発費を回収し、次の新薬開発を目指すものである」と説明しました。また、「新薬価制度は平成22年度限りの措置として試行的に導入するものであり、今後、財政への影響や適応外薬等の開発・上市状況、後発医薬品の使用状況などの検証を行っていく」と述べました。制度の目的である新薬開発については、「すぐに効果が現れるものではないが、制度を恒久化するために流通改善への取り組みを求めていく。また、未承認薬や適応外薬の開発に対しても製薬企業に積極的な対応を求めていく」と述べました。
次に政府の新経済成長戦略について説明しました。医薬品産業に関するところでは、「経済成長を担う産業として、日本発の革新的な医薬品の研究開発を推進できるように産官学が一体となって取り組み、その障害になっているドラッグ・ラグ解消のために、治験環境整備、承認審査の迅速化を進める」と述べました。続いて医薬品産業を取り巻く課題に触れ、グローバル化して医薬品産業の世界市場が拡大する中で相対的に縮小している日本市場について、「世界と調和した市場の整備と海外進出を促進していく。また、新薬創出の環境を整えるため研究資金の重点的な投入や、臨床研究・治験環境の整備、審査体制の整備、イノベーションの評価を行っていく」と述べました。
最後に医薬品産業政策の課題と対応について、「研究資金については欧米に比べ、ライフサイエンス分野に投入される予算が少なく、臨床研究・治験に対する資金配分も少ないが、これらに対処していく。臨床研究・治験に対する社会環境についても時間がかかり、アジア諸国に比べてコストも高い。最先端領域の医薬品候補に対する臨床試験ができなかったり、国際共同治験から日本が外れドラッグ・ラグが発生している課題もある。これら臨床研究・治験に対する環境整備を行い、新薬審査の期間短縮にも引き続き取り組んでいく。また、アジアにおける共同治験や承認を日本がリードできるよう戦略的に体制を整備していく」と述べました。研究資金の投入や治験環境の整備、審査の迅速化・質の向上、イノベーションの適切な評価といった、これまでの医薬品産業政策については、「製薬企業のニーズに合っているのか、意図した効果を上げてきているのかなどを検証し、国民の望む方向にあるのかどうかなども踏まえ、製薬協の皆さんとも協議して従来の政策を見直し、政府全体としての成長戦略を整備し、国民に早く新薬を提供できるよう政策を考えていきたい」と述べ、締めくくりました。

(広報委員会コミュニケーションツール部会 中村準希)

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