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「第21回製薬協政策セミナー」開催される
わが国の創薬基盤を考える ~治験・臨床研究の活性化に向けて~

2010年3月、大手町サンケイプラザにおいて、「第21回製薬協政策セミナー」が開催されました。今回は「わが国の創薬基盤を考える~治験・臨床研究の活性化に向けて~」のテーマで開催され、患者団体、政治家、行政、医療関係者、メディア関係者、会員各社などから、300名を越える聴衆が集まり、熱心に耳を傾けました。

2010/05/11

基調講演

庄田会長の開会挨拶に続いて基調講演として、「新たな治験活性化5カ年計画の中間見直しに関する検討会」座長である、独立行政法人国立病院機構大阪医療センター院長楠岡英雄氏により、「なぜ治験・臨床研究を活性化しなければならないか」という内容を中心に講演が行われました。楠岡氏の講演要旨は次の通りです。
厚生労働省が2002年8月に発表した「医薬品産業ビジョン」の中で日本の治験の問題点として、(1)遅い(国民皆保険制度の下、患者さんが集まりにくい=低い症例集積性)、(2)質が低い、(3)費用も高い、と指摘されています。これに対して、2007年から新たな治験活性化5ヵ年計画が策定され、その中間年として今回見直しを行いました。引き続き、日本の医療水準の向上、すなわち患者さんに世界最高レベルの医療が提供される体制の実現、そして医薬品産業の国際競争力の基礎となる日本発のイノベーション創出とそのエビデンスの世界への発信に取り組むとともに、今回の中間見直しでは、医薬品・医療機器の自立的な開発により、外国に頼ることなくわが国における恒常的な安全の確立につなげることが付け加えられました。創薬力を向上させ、医薬品産業を育成することは、日本の産業全体にとっても重要なことです。
今後、加速かつ強化すべき課題としては、関連医療機関のネットワークを形成して症例集積性を向上させること、日本では基礎研究と比べて臨床研究が弱い現状をふまえて、治験・臨床研究に取り組む研究者を育成することなどが挙げられます。さらに基礎的な研究から臨床的な研究へのつなぎとしてのトランスレーショナル・リサーチ、そして研究成果に臨床的な意味があるかどうかPOC(Proof of Concept)試験を目利きできる研究者の育成も重要になってきます。
また、日本では国際共同治験への実施施設数が諸外国に比べて著しく少なく、アジア試験や国際共同治験により日本での治験空洞化問題が再燃しないように留意しながら、改善していく必要があります。
治験・臨床研究の活性化の意義、必要性、仕組みなどについて情報公開に積極的に取り組み、正しく理解し、納得と協力を得ることが患者さんにとって一番重要であり、これからの大きな課題であると考えます。

各ステークホルダーによるプレゼンテーション

楠岡氏の基調講演に続き、治験・臨床研究に関係するさまざまな立場のステークホルダーから現状認識と意見提起が行われました。
まず浜松医科大学医学部臨床薬理学講座・臨床薬理内科学教授渡邉裕司氏は、治験活性化の目的を、新しい医薬品や医療機器を患者さんに届けるためであり、同時に医薬品産業の育成、そして国民の利益につながるものであり、そのためには臨床試験が不可欠である、と述べました。そして現在使用されている医薬品は「過去の治験の産物である」と意識して、次世代のために治験・臨床研究を通じて新しい医療を創り、伝える責務を負うことを強調しました。また世界中の人と同じタイミングで薬の効果を検証するためだけでなく、日本人に効果のある薬物を見逃さないためにも、国際共同治験に積極的に参加する必要があると指摘しました。
続いて厚生労働省医政局研究開発振興課治験推進室長佐藤岳幸氏は、行政のミッションは、世界最高水準の医薬品・医療機器を国民に提供し、また医薬品・医療機器産業を日本の成長牽引役にすることであり、治験活性化5ヵ年計画の中間見直しにおいて、これまでフォーカスしていた開発後期の治験の実施体制整備から、早期段階の治験、POC試験等やエビデンス創出につながる臨床研究体制整備にシフトしていく考えを示しました。
一方、NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長辻本好子氏は、自ら乳がん治療薬の忍容性試験に参加した経験に基づき、治験においては患者が医療者と十分なコミュニケーションを通じて、コンコーダンス(調和・一致、患者との協力関係に基づく処方と使用のプロセス)の関係を築くことにより、患者が十分な知識を持ち、納得することが重要だと述べました。
最後に企業の開発力向上の観点から、武田薬品工業株式会社医薬開発本部日本開発センター所長の中岡一郎氏が、従来の日本独自開発、ブリッジング戦略・国際共同治験、日本主導のアジア治験活用について、スピード、コスト、データサイズ、日本人データの4点からメリット・デメリットを比較したうえで、日本主導のアジア国際共同治験を各国の産官学が連携して進めていくことにより、日本での世界最速承認も可能である、との見解を述べました。


会場風景

パネルディスカッション

その後、楠岡氏をコーディネーターとして、パネ ルディスカッションが行われ、臨床試験・治験につ いて一般に広く周知徹底していくことの重要性など について活発に議論されました。最後に、楠岡氏が、 なぜ、治験・臨床試験を活性化することが必要なの かをすべてのステークホルダーが常に意識すること が必要である、とまとめました。


パネルディスカッションの様子

(文:広報委員会メディア・オピニオンリーダー部会 増田聖三)

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