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第13回患者会セミナーの報告

第13回患者会セミナー開催される

製薬協広報委員会は、1月28日、ホテルグランヴィア大阪において、第13回患者会セミナーを開催しました。「生命(いのち)輝かそう21世紀の日本人」というテーマで兵庫県赤穂市民病院院長邉見公雄先生が講演を行い、会場には主に関西地区の患者会から36名の方々が参加しました。
昨今、医療現場における医療崩壊の厳しい実態が浮き彫りにされている状況下ではありますが、邉見先生のユーモアあふれる話術に込められた、「良い医療を効率的に、地域住民と共に」というキーメッセージに共感する輪が会場内に広がりました。昨年8月東京にて開催され、好評を博した講演内容と基本的に同じですが、少し角度を変えて、以下に改めて紹介します。

2008/02/12

みんなで楽しい病院作り

「生命(いのち)輝かそう」という言葉は、患者・家族だけではなく、医療に従事する各専門職、そして地域住民の皆さんの理解、協力そして支えがあってこそ、初めて生きてくる言葉、とのお話がありました。

邉見先生は、「皆さんは生まれた時からエリートなんですよ」と、参加者に強く訴えました。また、その後続いて、「なぜなら、我々は皆、いろいろな奇跡的な偶然が重なって何千億分の1の確率でこの世に生まれてきたのです。だからこそ、自分自身は生かされているんだ、ということを意識することが重要です」との説明もありました。

赤穂市民病院には、さまざまな活動をしている地域登録ボランティア180人と「押しかけ」(登録外)ボランティア20~30人がいます。このボランティアの役割は、癒しの提供、良好な診療・療養環境作りの手助けはもちろんのこと、病院と患者・家族、そして病院と地域との架け橋であり、病院職員もボランティアの存在により、モラルがあがっていると言います。患者さんのQOLと共に、病院スタッフのQOLをも向上させ、閉鎖性のない開かれた病院作りには、住民の参加が必要だと、先生は語りました。

なぜ、医療崩壊?

人間は楽な方、楽な方に進みたがるもの……これが「医療崩壊」に繋がる1つ、だとも先生は言います。

30代半ばの病院勤務医が開業する時代(立ち去り型サボタージュと呼ぶ)、病院に引き止めることは難しい、と訴えます。その人にとっての幸せを奪えないからだそうです。病院勤務医の一般的な問題として、自分の時間がない、給料が安い、労働がきつい、電子カルテ等の煩雑なIT対応、多種にわたる事務手続き等々が挙げられると、先生は考えています。挙句に、患者からは「先生は、パソコンの画面ばかり見ている」との苦情もあると言います。

看護師、薬剤師も同様な問題があります。日本の場合、医師、看護師、薬剤師に仕事が集中し過ぎている、とも先生は指摘しました。

医から理想の医

赤穂市民病院においては、チーム医療を導入し、幅広いさまざまな技量を持つ20種以上の専門医療スタッフがチームとなって患者の治療に携わっています。また、地元の医師会と協力して2人の主治医制度をつくるという試みもしています。このように、病院がチーム医療に取り組むことにより、患者自身の力で医療に参加する姿勢に変わったのではないか、と先生は言います。

すなわち、従来の「医」(矢を囲む3本線は、医師、看護師、薬剤師)から、今後の医療は理想の医(矢を囲むのは一丸となったチーム、一部線が切れている部分は、患者・家族あるいは神仏などの患者個人に委ねられるところ)になっていかなければならない、と強調されました。

医療の不確実性

医療の不確実性について、多くの人がもっと理解することが必要であることも、先生は訴えました。赤穂市民病院の取り組みの1つとして、楽しく意識を高めるために、スタッフ全員参加により「医療安全いろはカルタ」をつくり、医療従事者の研修に利用しています。医療ミスに繋がる要因等について、皆が今一度、医療安全面で忘れてはいけないことを徹底する良い機会となっています。

このカルタを通じて、医療従事者のみならず、多くの人が娯楽性、教訓性そして適時性をもってスキンシップを図り、ネガティブヒーロー(被害者が矢面に立たなければならない状況)は、もうこれ以上作ってはならない、と先生は訴えます。

カルタは、赤穂市民病院総務課FAX(0791-43-0351)に連絡すると、実費価格3000円(郵送料込)にて入手できます。

日本の医療

日本の医療システム、特に、国民誰もが平等で医療を受けられる国民皆保険制度は、「世界文化遺産」とも言えるものであり、他国にない、すばらしい制度であるが、「医療は所得に応じて差別化されるものであってはならない」と先生は明言します。

また、邉見先生は、日本の医療費増加の3大要因は、1)老齢化、2)医学の進歩(高度な治療は高価)、3)利用者の増える期待に対応することによるコスト上昇と考えていますが、これらを過度に抑制する国の施策は、医療の質の低下を招くおそれがある、と先生は懸念しています。

さらに、今の日本の医療は、財務省中心に動いていると指摘し、その次に厚生労働省、病院・診療所、そして最後に患者に視点を置いた構造となっているが、今後は、全て逆から、すなわち患者視点から考えていかなければならない、と強調しました。

よい医療を効率的に地域住民と共に

国民が医療について正しい理解を深め、またどのような医療が必要なのか自覚をすることが大切、と先生は言います。

良い病院とは、かかりたい病院であり、かかってよかった病院、働きたい病院、働いてよかった病院、そして、地域にあって欲しかった病院、地域にあってよかったといわれる病院であり、邉見先生は、医療スタッフ、患者、地域社会と協力しながら「よい医療を効率的に地域住民と共に!」を今後とも、より深く目指します。

(文:広報委員会ペーシェントグループ部会 遠藤永子)

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