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「企業広報と報道」をテーマに、第20回広報研究会開催される

製薬協広報委員会主催の第20回広報研究会が、2008年10月10日、東京のロイヤルパークホテルにて開催されました。今回は「企業広報と報道」をテーマに、第1部は医療ジャーナリスト大谷克弥氏による講演、そして第2部では媒体の違う新聞社、通信社、テレビ局の各社会部次長によるパネルディスカッションが行われ、約120名の会員会社広報部門関係者は熱心に聴講しました。

2008/10/20

はじめに

製薬協広報委員会では、広報委員会委員および会員会社の広報担当者を対象とした勉強の場として、毎年10月の広報委員会総会後に「広報」にフォーカスした実践的なテーマを取り上げて研究会を実施しています。今回は「企業広報と報道」をテーマに、読売新聞の「医療ルネサンス」を創設された大谷克弥氏による医療報道についての講演で始まり、続くパネルディスカッションでは、広報戦略研究所の大槻茂代表取締役をコーディネーターとして、読売新聞社 梅崎隆明社会部次長、時事通信社 小林治彦社会部次長、東京放送 井上洋一社会部次長の3名が登壇し、媒体の違いによる取材や報道についてディスカッションが行われました。昨年の新聞社デスク3名による各新聞社の違いについてのディスカッションも好評でしたが、今回の媒体の違いによるディスカッションも大変興味深いものでした。

講演:「医療と報道-特に薬剤との関わりについて」

講師:大谷克弥 医療ジャーナリスト


大谷克弥氏による講演

大谷氏は読売新聞社に勤務していた科学部長時代の1992年に医療をテーマとした長期連載「医療ルネサンス」を企画しましたが、当日はこのような経験を中心に医療と報道について講演がありました。

「医療ルネサンス」は、「医療の読売」を読者に印象づけ、その連載記録はこの日で4451回を数え、新聞としての連載最長記録を今もなお更新しています。また「医療ルネサンス」は、新聞が医療側と患者側のパイプ役になることを前提とし、「人の体と心に優しい医療の実現を目指す」をスローガンに連載を始めましたが、幸い多くの読者に共感を与え数々の賞を受賞し、またこの企画のために各部の垣根を越えて医療に興味のある人たちで結成した取材チームは現在、医療情報部に発展し、その延長として社会保障部というセクションも誕生したそうです。「医療ルネサンス」以外の医療報道としては、金曜日の夕刊「医療」、日曜日の朝刊「くらし 健康」などがあり、各地での「医療フォーラム」も開催しているとのことです。

最後にわれわれ広報担当者に対しては、広報組織はこれからますます企業の中で重要になってくる点を強調され、結論としてわれわれ医薬品業界に対して新薬による社会貢献はもちろんのこと、副作用など「負」の部分に対するアカウンタビリティ(説明責任)を果たす必要性を指摘されました。

パネルディスカッション:「取材・報道とメディア」

司 会:大槻茂氏 広報戦略研究所代表取締役
出席者:梅崎隆明氏 読売新聞社社会部次長 / 小林治彦氏 時事通信社社会部次長 / 井上洋一氏 東京放送社会部次長


パネルディスカッション風景

第2部では、広報戦略研究所の大槻代表をコーディネーターとして、各登壇者の自己紹介の後、媒体の違いによる取材・報道の違いはあるか、どういった読者・視聴者を意識するか、専門外の取材のときはどうするのか、など多岐にわたるテーマを取り上げ、フロアーからの質問などを交えて約2時間にわたるディスカッションが繰り広げられました。

初めに媒体の違いによる取材・報道の違いについて、テレビ局の井上氏は、「テレビは絵になるかどうかを最も意識するので特に記者会見については生放映で扱いたい。どちらかといえば中身よりも印象を重視している」と述べました。新聞社の梅崎氏は、「最近テレビ局がニュースに力を入れているため、速報性という面では同業者よりもむしろテレビを意識している。映像による印象はインパクトがあるため、新聞の特性である事象を掘り下げたり、背景の説明といった点を重視している」と述べました。通信社の小林氏は、「通信社というのは一言で言えばニュースの卸問屋、契約者はマスメディア、官公庁、企業が対象であり、最近ではネットにも発信している。活字という面では新聞に近く、速報性という面ではテレビに近いという二面性を持ち、地方にも発信している関係上、地方を意識しての記事も多い」と述べました。

次にどのような読者・視聴者を意識するか、という点については、三者とも「特に読者・視聴者を意識することはない」と答えました。小林氏は、「紙面がない分新聞に比べ自由に記事を書ける」、梅崎氏は「社会部だけに常に世の中を良くしたいという意識をもって記事を書いているが、わかりやすく書くように努めている」と述べました。また、専門外の取材については梅崎氏は「過去の記事や資料などを調査はするが、プロセスを大切にして何を書くべきかを考えて記事を書いている」と述べました。小林氏は「当初は専門外であっても徐々に把握できるので、わかりやすい内容にすることを常に心がけている。何にでも興味を持つことや、いろいろな分野の人と付き合うことが大切ではないか」と述べました。訂正については、新聞社の梅崎氏が「以前と比較すると訂正することへのハードルが各社とも低くなっており、間違いは訂正する方向に向かっている。企業においては、組織の中からの要求や見解の相違で訂正を依頼してくる場合があるが、こういったケースでの訂正は少ない。しかしながら明らかなミスは訂正を要求していただきたい」と述べました。

広報に対して望むことは、の問いに対してパネラーから、記者会見や取材に対しては目的をはっきりして臨んでほしい。十分な準備もせず何のための会見かも分からないような記者会見が時にしてあり、われわれの心証を害することがある。そしてそのような記者会見は往々にして記事に反映されることが少なくない。また、不祥事をホームページに掲載するだけで済ませている企業もあるが、自社のホームページへの掲載は一方的なもので、公表でも発表でもないとの意見がありました。小林氏からは「カメラなしの会見は絶対にやめて欲しい、また時間・場所の設定を考えてほしい」との要望がありました。

フロアーからの質問も数多くありましたが、その中で日本の医療の問題点について各パネラーがそれぞれ発言しました。梅崎氏は、「いろいろな問題があるが、医療崩壊が最も大きいのではないかと思う。医師が医療行為に対して刑事責任などを問われることが果たして妥当なのかどうか」と述べました。井上氏は「テレビとしてできることは、病院をテーマにした特番を組んだり、ドラマを作成して国民が医療の問題を考えるきっかけ作りができたらと思う」と述べました。小林氏は「あまりにも問題点が多く深い。10年以上も前から問題点の解決がまったく進んでいない。通信社として立ち向かうには限界を感じている」と述べました。

最後に司会の大槻氏より広報担当者に対し、「良い会社か悪い会社かの判断は、家庭にいる主婦層を中心とした人たちによって決まるのだと私は思います。そうした一般の人からどう見えるかが大事です。企業対企業で営業を行っている会社でも、悪い会社との評判が立てば人の採用の面で支障をきたします。製薬企業も情報の発信は決して多い方ではないと思います。企業は自社のイメージを良くするような情報発信をより積極的に行うべきです」と述べ、パネルディスカッションは幕を閉じました。

(文:広報委員会コミュニケーションツール部会 中村準希)

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