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第15回広報セミナー開催される

イノベーションの価値を反映した薬価への取組み

製薬協広報委員会は2008年6月12日、東京の経団連会館で第15回広報セミナーを開催しました。業界最大の関心事である新薬価制度導入がメインテーマに取り上げられたことから、広報委員会委員および会員会社の広報担当者など100名を超える多数の参加がありました。

2008/06/18

製薬協広報委員会では、広報委員会委員および会員会社の広報担当者を対象に、年2回、広報委員会総会後に研修会を開催しています。今回の「広報セミナー」と10月の「広報研究会」です。「広報研究会」では、企業の広報やIR、リスクマネジメントといった広報担当者の業務に直接関わるテーマを取り上げるのに対し、「広報セミナー」では、製薬産業に関わる者が共通認識として持っておくべき事柄をテーマに取り上げています。今回は、『イノベーションの価値を反映した薬価への取組み』をテーマに、製薬協の山辺日出男専務理事、および薬価問題検討タスクフォースの禰宜寛治リーダーより講演がありました。

講演1:官民対話と製薬産業の競争力強化

講師:山辺日出男 製薬協 専務理事

山辺専務理事からは、前段で、製薬産業の業績の推移、世界の医薬品市場と日本企業を取り巻く環境、さらに、日本の製薬産業の技術革新と国際競争力の強化に向けた課題などが概説され、後段で、「官民対話」の実現の背景と経緯、そして成果を中心に説明がありました。後段部分の要点を以下に報告します。

製薬協は、2005年7月、中医協薬価専門部会において、「申請価格協議方式の導入」、「適正な薬剤費のあり方の協議」とともに、「政府と産業との対話の場の設置」を提案しました。「官民対話」実現への道のりは厳しいものがありましたが、2006年6月に策定された「経済成長戦略大綱」の中で、官民政策対話の場の設置が提案され、2007年1月にようやく、第1回の官民対話にこぎつけることができました。

「第1回革新的創薬のための官民対話」では、製薬協から、「製薬産業の国際競争力強化について」をテーマに、創薬関連分野の研究に関する計画の策定と実施、ならびに、そのための政府横断的な仕組みの構築について提言しました。そして引き続き昨年4月に開催された「第2回官民対話」では、「革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略」が論議されました。官民対話は昨年11月、本年4月と継続開催されていますが、「第2回官民対話」で論議された、この「5か年戦略」は、官民対話、そして製薬協の直近の活動の礎となる重要なものといえましょう。

講演は、最後に、「2008年度の製薬協の課題」として、[1]「官民対話」の場を活用し、研究開発のため基盤整備と国際競争力強化の実現、[2]「5か年戦略」の着実な実行と成果の実現、[3]製薬協が提案する新しい薬価制度の実現、の3項目が示され締めくくられました。

講演2:製薬協の提案する新しい薬価制度

講師:禰宜寛治 製薬協 薬価問題検討タスクフォースリーダー(武田薬品工業株式会社コーポレート・オフィサー業務統括部長)

禰宜リーダーからは、山辺専務理事の講演を受けて、製薬協の具体的な薬価制度改革案について、改革の必要性、改革を提案する背景と改革後に期待される成果を軸に説明がありました。その要点を以下に報告します。

医薬品に係る保険医療上の課題

製薬産業は、革新的な新薬を創出し、疾病の予防・管理・治療を通じて、世界の人々の健康増進と安心・安全の向上に取り組んでいます。

しかしながら、治療満足度の低い数多くの疾患に対し、十分に応えることができていないのも事実です。加えてわが国では、他の国で使用可能な医薬品が使用できないという課題があり、関係方面から要望の強い未承認薬・未承認適応等につき、早急な対応も求められています。

先般策定された革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略では、研究-開発-承認審査等において対策を講じることが明記されています。市場(薬価制度)に関しては、革新的新薬の評価と後発品の使用促進が記され、すでに施策も講じられていますが、特に新薬の早期開発着手と上市に向けて、革新的新薬の評価についてはさらに改善の余地があると認識しています。

医薬品市場および産業の現状

世界の医薬品市場が成長する中、日本の医薬品市場は低成長にとどまっており、結果としてそのシェアが低下しています。また、個別の価格を見ても、新薬の薬価が継続的に下落するのは日本独特の現象です。さらに、後発品の使用促進政策が、数量シェア30%以上を目標として強力に進められており、徐々にそのシェアが高まってきています。

現行薬価制度の課題

製薬企業が革新的新薬の創出とドラッグ・ラグ解消に取り組む上で、現行制度には、収載時の革新性の評価は改善されつつあるもの、より革新性の高い新薬や外国平均価格より著しく低薬価な薬効領域の新薬の評価という点で改善の余地があると考えていますし、革新的新薬であっても、特許期間中に循環的に価格が低下し、投資回収に長期間を要するといった課題があると認識しています。

業界提案と期待される効果

ここまで紹介してきた薬価制度上の課題につき、解決に繋がる具体案を、昨年12月の中医協・薬価専門部会で説明しました。その考え方は、新薬の評価方法と、特許期間中の薬価改定のあり方、後発医薬品が上市されるいわゆる長期収載品の薬価のあり方に大別されますが、制度案の詳細は紙面の都合から別の機会に委ね、本稿では割愛します。

これから、中医協での議論が始まりますが、この制度案が実現することで、日本市場で新薬を上市することの魅力度が高まり、ドラッグ・ラグ解消の一助に繋がると考えます。また、投資回収が早まり、再投資のスピードが上がりますから、革新的な新薬の上市が増加する可能性が高まりますし、アンメットメディカルニーズの高い領域の開発に対する製薬企業のさらなる注力が可能となります。

最後に、「製薬企業の決意」として、[1]新薬の評価によって前倒しで得られた収益を資源として、積極的な研究開発を行い、革新的新薬の創出にさらに努める、[2]流通改善に積極的に取り組み、薬価差の改善に努める、[3]社会的要望のある製品の適応追加や、国内での製品化への着手を積極的に行う、の3項目を挙げて講演は終了しました。

以上
(文:広報委員会コミュニケーションツール部会 山中隆一)

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