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庄田新会長の就任記者会見が開催される

医療と産業の両立を前提とした薬価制度の実現を目指す

2008年5月21日の製薬協総会において第12代会長に就任した庄田隆会長(第一三共株式会社社長)は5月22日に東京(経団連会館)、23日に大阪(全日空ホテル)で、それぞれ記者会見を開き、会長就任にあたっての基本的な考え方を述べました。この中で庄田会長は、「世界の医療に貢献する産業」を目指し、研究開発力と国際競争力の強化のための諸施策について、行政をはじめとする関係者に対して積極的に提言活動を行っていく意向を示しました。

2008/05/28

庄田会長は、冒頭、わが国の製薬産業を取り巻く環境に関して、(1)日本市場のシェアの低下、(2)研究開発費の増嵩や知財リスクの高まり、(3)ドラッグ・ラグの存在を指摘。「このままでは日本市場が魅力ないものになってしまう」との危機感を表明しました。

一方で、わが国の製薬産業は、「医療」の観点からは革新的新薬の創出に対する期待を担っていること、また、「産業」の観点からは、経済成長の中心的担い手としての期待を担っていることを強調した上で、「現在の製薬産業は『産業』の視点では、既にグローバルなスコープで論じられているものの、『医療』の視点では財源問題を中心とした国内の視点だけで議論がされている」という問題を指摘し、両者を橋渡しするためにも、「特許期間中は薬価を下げない制度」の導入を主張していくと述べました。さらには、わが国の製薬産業の国際競争力を高めていくために、「革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略」の実現に向け、産業側として積極的に発言していくという意欲を示しました。

最後に庄田会長は、昨年、医薬産業政策研究所がとりまとめた製薬産業の競争力強化に向けた4つの視点を挙げ、「創る」、「育てる」視点では、新薬の1/4から1/3が日本オリジンになっており、「使う」視点では、ドラック・ラグが解消され、「担う」視点では、製薬産業が日本の経済成長を支える「国際競争力のあるリーディング産業」になっている姿が「製薬産業が目指すべき姿」として、その実現に向けて取り組むという抱負を語りました。

質疑応答

薬価制度の提案について

Q.
今後、昨年度の提案と同じ内容で中医協にぶつけていくのか。それとも修正を加えるのか。
A.
昨年の提案と「骨格」は変わらない。いずれにせよ、医療と産業の両方の観点からバランスのとれた薬価制度の実現を目指したい。
Q.
新しい薬価制度の提案を中医協の俎上に乗せるまでの段取りは。
A.
提案内容について、協会内の合意がほぼ得られているので、現時点では未定である中医協薬価専門部会のスケジュールを見ながら、今後、提案時期を考えたい。
Q.
特許期間中とはいえ、薬価を下げないとなれば、薬価差を拡大させることにもなりかねないのでは。
A.
薬価差をさらに縮小させるというコンセプトは製薬協案にも含まれている。薬価差の問題は薬価制度のみならず、流通改善にも関わってくる。今後、薬価差縮小に向け、関係者全体で取り組むことも重要である。
Q.
製薬協加盟会社といえども、長期収載品で収益のかなりの部分をあげているが、新しい薬価制度の導入によってこの構図も変わっていくと見てよいか。
A.
新しい制度の導入までに猶予期間を置くことをお願いしている。
Q.
PhRMA(米国研究製薬工業協会)は再算定の見直しを主張していくこと、本課題について製薬協と連携していくことを表明しているが、製薬協として具体的にどのようにPhRMAと連携していくのか。
A.
薬価問題については製薬協とPhRMAは共通の認識である。EFPIA(欧州製薬団体連合会)も加え、3団体が協力をして新しい薬価制度を求めていきたい。

ドラッグ・ラグについて

Q.
ドラッグ・ラグの問題は、製薬企業自らが海外での上市を優先しているから生じている側面もある。なぜ、海外を優先するのか。また、ラグを解消するためにどのような政策提案をするつもりか。
A.
ドラッグ・ラグが生じているくすりのジャンルには2種類が考えられる。ひとつはまったく新しい概念のくすりであり、このようなくすりでは、見極めを行う場所として、一番インフラの進んでいる国を選定せざるを得ない。一方、改良型新薬については、世界同時開発ができるので、ラグをなくすためにはICHの推進など「世界共通の環境とルールの整備」を国に働きかけたい。
Q.
在任中にラグを何年くらいに縮小させたいのか。
A.
臨床試験の期間を2.5年短縮させたい。これは国と製薬協の共通目標である。目標達成に向け、在任期間中にスピードを持って取り組みたい。
Q.
ドラッグ・ラグ解消について、人(審査員)の手当てや法整備の実現については、業界の力だけでは限界があるだけに、協会創立40周年の節目に、もっと思い切ったアピールをする必要があるのでは。
A.
ラグが生じている背景には企業側、医薬品医療機器総合機構側の双方にさまざまな要因がある。製薬協も機構の運営委員会に参画し、審査員の増員など、具体的な提案をしており、実際に解消に向けた取り組みが動いている。

研究開発について

Q.
わが国の製薬企業の研究開発力強化のためにどのような要望を行っていくつもりか。
A.
ひとつはバイオマーカーの開発など、個別企業では取り組めない「創薬力そのものを高めるための創薬基盤づくり」である。二つ目は「治験の環境整備」、三つ目は「イノベーションを評価する薬価制度」であり、比較的近いところで成果が望める分野である。
Q.
最近、日系企業による海外のバイオベンチャー買収が相次いでいるが、このことは日系企業の創薬力が低下していることを意味するのか。その背景は何で、解決すべき課題は何か。
A.
世界の新薬のうち1/4~1/3を日本から創出したいと申し上げているが、もともと日本の製薬企業の創薬力が他の国と比べて劣っているわけではない。日本の製薬企業には、伝統的に強かった研究開発分野もあれば、弱かった分野もある。従来弱かった分野でもリーダーを目指そうとする各社の動きは、製薬協の考えにも合致するものである。
Q.
研究開発力の強化に関して、産学の連携は思ったほど進んでいない。その背景に学のサイドで「産が何をやっているのかが見えない」といった不満がある。製薬協としてメーカーと大学の橋渡しをすべきではないか。
A.
近いところで成果が期待できる領域では個別企業と学が連携すべきであり、実際、その動きが進んできていると認識している。創薬基盤的な分野については、製薬協として最大限協力していく。
Q.
先日、京都大学がiPS細胞の知財管理会社を立ち上げ、製薬協に知財管理について協力要請がされたと聞く。具体的にはどのように対応する予定なのか。
A.
iPS細胞実用化技術の知財を国として確保する必要がある。製薬企業には知財管理のノウハウがあるので、協力することを先の官民対話の席でも申し上げ、具体的なコンソーシアムも提言している。

その他

Q.
グローバル化が急速に進展している中、製薬協自体の「組織活動としての国際化」についてどう考えるか。
A.
製薬協はIFPMA(国際製薬団体連合会)の加盟団体である。国際的に共通する課題は同団体の枠組みの中で論ずることとなり、当該活動に積極的に関与していくことが、組織活動としての国際化につながる。
Q.
新型インフルエンザの懸念が高まっているが、ワクチンや治療薬の安定供給と創薬における製薬協の役割は。
A.
インフルエンザ関連の医薬品の安定供給の確保のために、パンデミックの際の製薬企業の事業継続計画(BCP)を作成し、会員企業に周知している。また、創薬を通じて治療、予防へも貢献したい。
Q.
日本のMRの数は適正とお考えか。また女性MRの活用が海外と比べても進んでいない。MRについての認識と取り組みについて伺いたい。
A.
業界としての共通課題はプロモーションコード委員会や流通適正化委員会などの関係委員会で検討するが、MRの数や女性MRの活用については個別企業のマターであろう。

以上
(文:広報委員会メディア・オピニオンリーダー部会 部会長 田前雅也)

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