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ドラッグ・ラグ解消に向けて承認審査の迅速化への取り組み

第2回患者会ラウンドテーブルを開催

去る2月26日、製薬協会議室にて第2回患者会ラウンドテーブルを開催しました。日本 リウマチ友の会の長谷川会長など11名の患者会リーダー参加のもと、今回は、「ドラッグ・ラグ解消に向けて承認審査の迅速化への取り組み」と題して、日米欧の治験を含む承認審査体制の現状とわが国の取り組みについての説明と意見交換を行いました。

2008/03/10

患者会ラウンドテーブルは、製薬産業に対する理解促進と信頼感の醸成の場として昨年から開催しており、「よりよい新薬をより早く」という製薬産業、患者会共通の願いを実現するための対話の場でもあります。ドラッグ・ラグという言葉は、2003年頃にFDAの審査が遅れていることから始まりました。製薬協でも、政策研で新製品導入に向けた日米の比較や承認審査期間と臨床試験期間に関するレポートをまとめるなど、毎年この問題に向けて取り組んでいます。ドラッグ・ラグは、単に承認審査だけの問題ではなく、治験の体制整備、薬価制度をどう作っていくのかが重要です。今後も機会を見ながら継続テーマとして取り上げていく予定です。

プレゼンテーション ドラッグ・ラグの現状と課題

薬事委員会の石井委員長(田辺三菱製薬)より、ドラッグ・ラグの現状、治験・承認審査体制についての説明がなされました。説明の最後に石井委員長は、ドラッグ・ラグ解消に向けた課題として、1.医療環境、治験環境の違いとして専門医、専門薬剤師の育成、薬価制度の見直し、2.規制当局における市販後監視体制の強化、安全性情報の評価方法の強化、3.患者さんへの情報提供方法の改善および患者さんからの情報収集方法の改善、4.企業の体制整備として情報の収集、評価、伝達、情報開示の強化、開発開始の早期化をあげ、今後これらについて重点的に取り組んでいくという決意を伝えました。

質疑応答および意見交換

山田/日本アレルギー友の会副理事長
以前からの疑問として、製薬企業はどのような薬を優先して治験を行っているのかというのがある。厚生労働省に聞くと申請があったものから審査を行っていると説明があった。困っている人間がいるのに、後回しになっている。国民の視点で考えてほしい。製薬協には、加盟各企業に対して調整する役割を果たしてほしい。

石井薬事委員長
製薬協で調整することは難しいところではある。厚生労働省においては希少疾病薬やがん等は優先審査するようになっている。

本間/復生あせび会
治験の審査人員が足りない原因は何か。

山辺専務理事
医薬品医療機器総合機構の独法化に伴い、国家公務員を一律に増やさないという政府の方針で人員を増やさなかった背景がある。

海辺/癌と共に生きる会副会長
新GCPに要らないハードルがあって進まないというのであれば、その阻害要因は取り除くべきではないか。国際共同治験においては韓国や中国が日本より進んでいるが、この現状をどう見るか。

石井薬事委員長
国際共同治験については今、東アジアへ製薬協として調査団を派遣し、共同治験ができないか模索しているところである。新GCPについては、IRBや必須文書などの改善策がとられてきている。

與五澤広報委員長
1980年代は、日本企業が海外で販売することはなかった。最近は日本の企業も海外で子会社をもち販売も行うようになってきた。そのような背景もあり日本企業も海外治験に重点を置くようになった。

小太刀/埼玉県障害難病団体協議会理事長
日本企業の国内外の開発状況を見ると、年々、海外先行が増えているようであるが。

山辺専務理事
日本の医薬品市場は停滞しており、日本の企業は生き残るために海外に注力せざるをえないことが大きな要因である。日本は世界同時開発、同時発売を目指しているが、日本の治験環境が厳しい中では海外依存、中でも米国優先の開発戦略をとらざるをえない。韓国や中国は治験を取り込むことを国家レベルのビジネス戦略として考えているが、日本はそうではない。そのため我々も実態調査を行い、政府に実情を訴えた。
日本の医療保険制度の良い点が逆に治験環境を厳しくしており、患者さんが治験を行うような施設に集中しないことも一因である。3割負担でどこでも医療を受けられる日本に対し、治験に参加すれば医療を受けられる国もある。そういうことも考慮しておく必要がある。

長谷川/日本リウマチ友の会会長
新GCPができたのは、患者会にとっては画期的なことであった。昔は先生の引き出しから薬を出した時代があった。治験情報の開示が少ないと患者参画は難しい。
患者さんへの情報提供方法の改善とあるが、例えば最近、生物学的製剤の使用で医師の知識不足による副作用死の問題があった。何かあったときの対応として、あらゆるところとの連携が重要である。なお、生物学的製剤の有用性は十分に認めるが、高い薬剤費が患者の経済負担を重くしている。こちらも何とかなればと思う。

石井薬事委員長
治験情報については、よく考えて提供して行きたい。いい方法があれば提案して欲しい。患者さんとの連携について言えば、生物学的製剤については、発売直後に製品を納入する病院に制限が科された。患者さんのアクセスを考えるとそれでいいのかと考えたところもあったが、患者さんの協力でうまくできたと考えている。

山辺専務理事
日本の公的な医療保険制度としてどこまでカバーするかが争点であり、高額療養費制度があっても高い負担が問題となっているのは事実である。

海辺/癌と共に生きる会副会長
有害事象などの対応として、イレッサやタミフル等のときに大騒ぎになった。承認された途端、洪水のように使われて問題になったこともある。何か問題があったときに、患者さんがそれを知る機会がない。ポータルサイトにリアルタイムにわかるように掲載すればどうか。ニュースペーパー的に関連団体にお知らせすることもいいのではないかと思う。

石井薬事委員長
安全性情報は医薬品医療機器総合機構のサイトに医療関係者向けに掲載しているが、患者さんにとってわかりづらい。このような情報については、もっと出していく必要があると考える。安全対策として、これまでは医療関係者向けには対応をしてきたが、ご指摘のあった患者さんへの情報提供という点について抜けていたのではと認識している。

大平/はばたき福祉事業団理事長
安全管理の情報については、何かあったら製薬会社と患者会が直接やりとりするというより、総合機構が公平性をもって対応すべきだと思う。日本は規制が厳しいとあるが規制は安全性の問題で、そこには患者の強い要請が必要であるにもかかわらず、実際は患者の声が反映されていない。国がやるべきことは、創薬について企業にだけ責を負わせるのではなく、サポートする必要がある。そういう意味でも機構の役割は大きい。

岸上/全国腎臓病協議会副会長
腎不全になって31年になる。全腎協で厚生労働省に早期承認に向けた活動をしたことがあるが、そこには患者さんの姿がないように感じた。

河野/全国パーキンソン病友の会事務局長
良い医師を育てるのは患者である。地域の集まりの中でも服用薬の話をする機会があり、患者同士で学ぶことが多い。くすりで療養生活をしている者が多く、患者会にもくすりの専門家がいるので、くすりに関する情報は特に欲しい。

松村/腎臓サポート協会理事長
日本で治験をすることの難しさを感じている。参加しやすいアプローチが必要なのだが、患者側は多くの資料を読み、理解・同意しなければならない現実がある。年配者にとってこれは難しく、やはり辞退してしまう。私は以前、やさしい言葉に書き直して作り変えてあげたことがある。患者さんにとって、特にお年寄りにわかりやすい説明をして欲しい。

以上
(文:元広報委員会ペーシェントグループ部会 副部会長 榎本哲)

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