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シンポジウム「今後のくすり相談窓口のあり方を考える」開催される

くすり相談対応検討会は、2月23日、千代田区一ツ橋の如水会館において、「今後のくすり相談窓口のあり方を考える―患者中心の医療実現への貢献を目指して―」というテーマを掲げ、消費者くすり相談のあり方に関するシンポジウムを開催しました。当日は、約130名の参加を得て、医療および医薬品を取り巻く環境の変化、特に医療消費者の医薬品情報ニーズの高まりを背景に、過去2年間に実施した薬剤師会との「連携」をテーマとしたシンポジウムおよび今までのくすり相談検討会の活動を踏まえ、今後の企業のくすり相談からの情報提供や相談対応のあり方について討議しました。くすり相談機能の質・量を充実し、認知度をあげ、より患者中心の医療への貢献を目指した活動の一歩を踏み出すことができました。

2008/03/08

はじめに

くすり相談対応検討会では、2006年・2007年の2回にわたり、シンポジウム「くすり相談のよりよい連携を求めて」を開催し、多くの関係者の参加により、薬剤師会薬事情報センターと企業双方の抱える課題を共有すると共に、より具体的で実践的な連携の重要性について認識するなど、一定の成果を得ることができました。

近年、医療および医薬品を取り巻く環境は大きく変化しており、医薬品の高度化や医療消費者の医薬品等に対する意識の高まりを背景に、厚生労働省が開催した「医薬品情報提供のあり方に関する懇談会」最終報告(2001年9月)では、製薬企業や行政等も医療消費者の医薬品情報ニーズに適切に応えていくことを求めています。これを受け、医薬品医療機器総合機構ホームページ等で、患者・国民向けの医薬品情報の充実がはかられてきましたが、企業くすり相談窓口においても、情報提供や相談対応機能の質・量の充実、および認知度の向上が求められています。

このような背景のもと、患者中心の医療実現への貢献を目的に、企業くすり相談窓口のこれからのあり方を検討するため、シンポジウムを開催しました。

シンポジウムでは、読売新聞東京本社編集局医療情報部長前野一雄氏の基調講演を受け、日薬連安全性委員会くすり相談部会長井田文男氏のコーディネートのもとに、3名の小委員会委員から、今後の情報提供や相談対応のあり方、さらに企業くすり相談の認知度向上や企業信頼性向上への寄与の方策などについて検討されました。

基調講演

前野氏は「情報が医療を変える~医療ルネッサンスから患者意識をみる~」と題した講演の中で、医師や薬剤師から治療・薬剤についての説明を受けていると感じている人は年を追うごとに増えているが、「医療の満足度」は逆に下降していると述べました。これは、医療の質自体は上昇していても、それ以上に患者側の要求が多種多様に広がる一方、医療側が十分に応えられていないためであり、医薬品に関しても同様であると述べました。また、患者への説明に時間がかけられるようになっても、正しく理解できていないところに、とらえどころのない患者の不安、不信があり、説明する側に方法の工夫と検証義務があると指摘しました。企業くすり相談窓口においても「一義的に医薬品情報は医師、薬剤師がすべき」では済まされず、また「杓子定規な対応」は不信感を増長させるだけであると述べ、もっと製薬企業の社会的使命としての自覚を持つべきだと述べました。そして、くすり相談対応検討会は、製薬業界をリードし、患者・医療関係者の信頼、ひいては社会の信頼を得るべく活動することが重要である、と締めくくりました。

パネルディスカッション

続く、井田文男氏をコーディネーターに迎えたパネルディスカッションでは、くすり相談対応検討会に設置した3つの小委員会から、今後の企業くすり相談のあり方について発表があり、その後ディスカッションに移りました。「情報提供のあり方小委員会」の久保信吾氏は、製薬協加盟各社のくすり相談窓口に問合わせした医療消費者のご協力を得て実施した2回のアンケート調査の結果から、医療消費者が企業くすり相談に期待することは、「医療用医薬品に関する詳しい情報提供」であり、そのためには「問合わせ電話番号が簡単にわかるようにしてほしい」というものがあったと報告されました。また、医療消費者の半数以上が医師・薬剤師に相談した上で電話をかけてきていること、および医療消費者は医療関係者から提供される基本情報を理解していないか、不足している可能性があることがわかり、くすり相談窓口と医療関係者のより密接な連携の方法について検討する必要があると述べました。医療消費者が求める情報と企業が提供できる情報にはギャップがあるなどの現状を踏まえた上で、企業から患者への情報提供のあり方について再検討し、各社が共通の認識のもとに具体的な行動がとれるよう指針をまとめ、さらには医療関係者との連携強化の方策について継続して検討していくことが今後の課題であると締めくくりました。

「信頼性向上小委員会」の福富康仁氏は、製薬協加盟企業くすり相談窓口を対象にしたアンケート調査から、製薬協作成「くすり相談対応マニュアル」は、医療消費者の立場を尊重し、中立・公平な立場でまとめてあり、各社共通したスタンスで信頼できる標準化された情報提供が可能であることなどから、患者中心の医療に貢献できる内容であると述べました。しかし、「添付文書に記載されている範囲内で回答する」とするマニュアルは、医薬品医療機器総合機構ウェブサイト等による医薬品情報の提供が進んでいる中で、時代にそぐわなくなってきたと述べました。企業くすり相談窓口においても医療消費者から添付文書以上の詳しい情報が求められ、提供する情報の質・量ともに充実する必要があると報告しました。さらに、「患者と医療関係者との良好な信頼関係に留意し情報提供する」とするマニュアル記述部分についても、情報の非対象性に配慮される等医療環境が変化する中で、今までより「患者の知る権利」をより尊重した積極的な情報提供へとシフトするなどが必要であるとしました。

「認知度向上小委員会」の小林広一氏は、くすり相談対応検討会加盟69社のウェブサイトにおける問合わせ先電話番号公開の現状について、約30%の企業で、患者・国民を対象とする公開がなされていないとの調査結果を報告しました。この結果から、くすり相談窓口電話番号の公開を促進し、アクセス確保の優先順位の高い疾患および製品については、服薬説明書等に電話番号を表示し、さらには特化したコールセンターの設置も検討する必要があると述べました。また、認知度向上とは、くすり相談窓口の役割・使命への理解向上であり、役割・使命を明文化して社会に発信していくことが重要だと述べました。

これらの発表に基調講演の前野氏は、医療関係者と患者の信頼関係が十分に築かれていないから企業にアクセスしてくるのであって、「企業は医療関係者と患者の信頼関係を損なわないように配慮し情報提供する」というような形で済ませているのであれば、企業くすり相談窓口の存在意義がないばかりでなく、患者中心の医療と相反すると述べました。また、医療消費者に問合わせ先電話番号が公開されていないことについては、情報を知らしめようという姿勢が不足していると述べました。また、くすり相談対応検討会の仕事は、これらについて一つの方針や指針を示し、各企業のトップないしそれに準じた責任者に十分認識されるべく活動することだと述べました。

また、日本医薬品情報学会長山崎幹夫氏は、くすり相談窓口は企業と医療消費者の接点が必要であることから設置されたものであり、医療消費者から寄せられる情報を適正使用に繋げていくことが必要だとコメントしました。そして、医療消費者の満足を得るためには、医療関係者と密接に繋がっている都道府県薬剤師会の相談窓口との連携を具体的に進めていくことが重要だと述べました。

小委員会委員、および会場からの指摘をもとに、斉藤委員長が、今後のくすり相談窓口のあり方について「決意表明」を行い、シンポジウムを閉幕しました。

患者中心の医療実現への貢献を目指した今後のくすり相談窓口のあり方について
決意表明

2008年2月23日
日本製薬工業協会くすり相談対応検討会

    1. くすり相談窓口は、医療消費者の権利を尊重し、自立を支援して いくために、以下に努めます
        1. 医療消費者の知る権利を尊重し、情報提供活動と相談対応に努めていきます。
        2. 『くすり相談』の役割を明確にし、医療消費者の方々に理解していただけるよう、努めていきます。
        3. 医療消費者の問題を解決するために、医療関係者との連携強化とその方法について検討していきます。

    2. くすり相談窓口は、相談対応を通じ得られる医療消費者からの情報を安全性確保や、より良い製品の開発のために情報受発信基地として、努力いたします。

以上
(文:くすり相談対応検討会副委員長 佐藤眞一)

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