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青木会長、庄田副会長、岡本副会長の3人による定例記者会見

「製薬業界の今後の課題と対策について」

製薬協の青木会長は、2007年11月19日に東京で定例記者会見を開催し、製薬業界の今後の課題と対策について説明を行い、「医薬品産業を我が国の経済成長の牽引車にする」とする政府の基本方針の実現に向けた取り組みが、徐々にではあるが実を結びつつあることを報告しました。併せて、今回の会見では、研究開発担当の庄田隆副会長が官民対話ならびに革新的医薬品医療機器創出のための5か年戦略のうち、研究開発基盤の整備に対する取り組み状況を、また、広報担当の岡本康男副会長が、本年度の製薬協メッセージ「グッドコミュニケーション‘07」の概要について説明を行いました。また、製薬協加盟企業の連結中間決算速報集計についても報告しました。

2007/11/30

青木会長は冒頭、官民対話を通じて政治、行政とも透明化に向けてよい方向に動いていることを強調し、その過程でまとめられた革新的医薬品医療機器創出のための5か年戦略によって、協会の懸案事項、すなわち医薬品関連の研究の活性化(研究資金の集中投入、治験環境整備、審査の迅速化・質の向上)、ベンチャー企業育成、国際共同治験におけるアジアとの連携、イノベーションの適切な評価といった課題がすべて議論されていることを報告しました。また、「有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会」や「ライフサイエンス推進議員連盟」「総合科学技術会議」などでも同様の議論が行われ、医薬品機構の審査員の強化など、具体的な成果を挙げていることが説明されました。

一方、治験医師の確保、医療への十分な資源確保等、業界にとって困難な課題が山積しており、政治・行政・産業が団結して問題を打破しながら、世界最高水準の医薬品を提供し、医薬品産業が経済成長の牽引車になるようにしたいという安倍内閣以降の基本方針の実現に向けたシステムの改善を、今後とも粘り強く取り組んでいく意向が示されました。

青木会長の報告を受け、庄田副会長は官民対話の成果として、文部科学・経済産業・厚生労働の3省の関係局長をメンバーとする「5か年戦略に基づく連携組織」が設置された経緯を報告し、連携組織において議論されるべき重要ポイントとして「施策の評価とその結果を新たな施策と予算に反映させること」「各種施策の目標の可視化」「重要施策に対する3省による予算の集中投資」を挙げました。さらには、日本を魅力ある創薬の場とするために、治験を含む臨床研究の環境整備が必要であることが強調され、本年7月に新たな治験活性化5ヵ年計画に基づいて、治験・臨床研究を図るために中核病院で10施設、拠点医療機関で30施設が整備されたことを高く評価しました。

また、岡本副会長は、今年実施するグッドコミュニケーションのキャンペーンについて紹介しました。治験活性化5ヵ年計画とも連動させ、広く国民に治験に対する理解を深めていただくために、「チーム・治験」をキャッチコピーとした製薬協メッセージ「グッドコミュニケーション‘07」のキャンペーンを実施することとなった経緯やその具体的な施策について説明をしました。製薬協としては、治験への理解は恒久的なテーマであると位置づけており、広報の立場から、革新的創薬のための官民対話をフォローし、我々が主体的になって、治験活性化5ヵ年計画の国民への啓発を進めていく意向も示しました。

中間決算については、製薬協加盟で平成19年3月期売上げ1,000億円以上の14社の連結決算について集計した内容を説明しました。それによると、売上高は前年同期比5.8%増の3兆652億円、営業利益、経常利益、当期純利益とも20%台の伸びを記録しました。また、売上高の増加を国内と海外に分けてみると、海外売上げは前年同期比14.4%の大幅な増加となっている一方、国内売上げは1.0%の増加にとどまっており、従来に引き続き海外売上高の伸びが全体の売り上げ増を牽引していることが明らかとなりました。通期業績予想については、売上高が前年同期比4.2%増の6兆1,370億円、経常利益が9.8%増、当期純利益が14.4%増となっています。また、売上高に対する研究開発費控除前の営業利益、すなわち研究開発費の投資余力とそれに対する実際の研究開発費投資との関係を、欧米企業の1-6月期の決算と比較した内容も示されました。それによると、日本企業は欧米企業と比較して、相対的に余力が小さい中で積極的に研究開発投資を行っている傾向が読み取れることが明らかとなりました。

Q & A

Q.
来年度の薬価改定について、再算定の対象が噂されているようだが、これに対するご意見と今後の交渉についてお聞きしたい。
A.
来年度の薬価改定に関する情報は得ていない。いずれにせよ、我々は、新しい薬価システムを提案しており、その中で「薬の価値が当初の想定より高く市場から評価され、売上が拡大した場合の再算定は、イノベーションを尊重するという観点から逆行している」といわざるを得ない。
Q.
中長期的な観点からイノベーションを評価するための薬価制度改革案を8月の中医協に出されているが、その後、議論が停滞気味に思える。現状と今後の展望についてお聞きしたい。
A.
新しい薬価制度は支払側、診療側など、各側からの意見をいただかなくてはならないので、機会を見つけて我々の立場を説明している段階である。現在は来年度の薬価改定の議論が先行している。この議論が片付いた後、時間的な余裕ができるので、そこで薬価制度の中期的なテーマを十分議論して欲しいということを行政や中医協に申し上げている。
Q.
ある政治家が具体的なジャンルの薬を名指しにして再算定の話をしている。そのあたりについて、もう少し突っ込んだ話を聞きたい。
A.
我々はイノベーションを中心に物事を考えていく。長期収載品の深掘りと再算定を比較すれば、再算定の方が我々の主張している原理に対して乖離の度が大きい。また、薬価は政治家の独断で決まるものではなく、中医協で決めるべきテーマであると理解している。
Q.
「チーム・治験」のポスターについて、一般の人達の50%以上の方が「治験が何なのか」をよく知らない。一般向けであれば、もう少し治験が何かをわかりやすく示した内容にすべきではなかったのか。
A.
貴重なご意見ということで承った。今後の参考にしたい。治験啓発に関しては、今年で終わる話でもないので、恒久的なテーマとして息長く取り組んで行きたい。
Q.
政府から「イノベーション」という言葉があまり聞かれなくなったが、会長としての懸念や見方についてコメントをいただきたい。
A.
基調として「イノベーションがこれからの経済の牽引力である」ということに変わりない。従って、心配はしていない。ただし、来年度の財政対策の議論と中長期のテーマとのバランスをどうするかについては複雑であると感じている。
Q.
まもなく中医協薬価専門部会でヒアリングがあると思うが、どのような主張をされる予定か。
A.
イノベーションを中心に話をしたい。8月の陳述内容が若干、抽象的であったという意見も聞いているので、もう少し具体的な話をしたい。すなわち、イノベーティブなものが知的財産権で守られている間は、できるだけ薬価抑制の影響を受けずに利益を回収して、いったん、知的財産権による保護がなくなった時には「医療経済性を重視せざるを得ない」という内容となるだろう。
Q.
ジェネリック品とイノベーションが1セットといわれるが、ジェネリックが前面に出ていて、イノベーションを評価する薬価制度の姿がなかなか見えてこないが。
A.
イノベーションの評価の議論を放置しておいてよいとは思っていない。我々はできるだけ早く中長期的な薬価制度を議論して欲しいと言っている。ただし、現在、来年の予算決定時期を迎え、来年度の話に議論がシフトしていることはやむを得ないと思う。
Q.
治験の活性化策であるが、5ヵ年戦略で4つの項目が立てられているが、製薬協としては、治験の啓発活動以外に何をどう変えれば日本の治験の環境がよくなると思われるか。
A.
5ヵ年戦略の中にもあるが、医師、臨床試験を支援する人材の育成が重要である。また、国内の被験者数の増加を図らないと、1.5年の開発期間の短縮に結びつかない。拠点作りや人材育成については、予算が組まれて実行されていけば整備が進むと思う。最後に残るのは国民の理解と被験者の協力である。この点が一番難しく、時間をかけても根気強くコミュニケーションを図りたい。
Q.
海外売上高の比率が増えて、国内の売上高の比率が下がっている。毎年その傾向で進んでいる。その状況について製薬協としてどう見ているのか。また、どの位この傾向が続くのか。
A.
どこまで続くのかは読めないが、日本の製薬企業の国際化が進んでいけば、海外の売上が増えていくのは自然の流れである。問題は日本の市場が伸びないということである。グローバルに活動している限り、海外売上比率が伸びるのは当然であるが、日本の市場も伸びてくれないと、日本を拠点とする企業としては困る。

以上
(文:広報委員会メディア・オピニオンリーダー部会 田前雅也)

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