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「危機管理と広報」をテーマに第19回広報研究会開かれる

製薬協広報委員会主催の第19回広報研究会が、2007年10月5日、東京・中央区蛎殻町のロイヤルパークホテルにて開催されました。今回は「危機管理と広報」をメインテーマに、広報パーソンとして企業危機に対する基本的な心構えや、具体的なアクションプランなどが提示されました。
今回も会員各社から広報に携わる約120名の方が参加し、熱心に聴講しました。

2007/10/18

はじめに

製薬協広報研究会は、広報委員会委員および会員会社の広報担当者を対象とした勉強の場として、毎年10月の広報委員会総会後、「広報」にフォーカスした実践的なテーマを取り上げ実施しています。

今回は「危機管理と広報」をメインテーマに、広報戦略研究所の柴崎彬主任研究員によるメディアの現状についての講演ではじまり、つづいてパネルディスカッションでは、広報戦略研究所の大槻茂代表取締役をコーディネーターとして、朝日新聞久保田正社会部次長、毎日新聞鯨岡秀紀科学環境部副部長、読売新聞井深太路社会部次長の3名が登壇し、メディアから見た危機管理広報についてディスカッションを行い、最後に、弁護士の大澤孝征氏から特別講演がありました。

講演:日本のメディア―社会部記者の経験から

講師:柴崎 彬 広報戦略研究所 主任研究員

1部の講演で柴崎氏は、多様化するメディアの現状や特性について紹介したあと、社会部記者の経験から新聞報道の特性として、持続的な取材、継続的な報道、記事の収容力などを挙げ、また新聞は他のメディアに比べ厚い取材網、多くの記者数や高い購買率などに支えられており、我が国は新聞大国であるとも述べました。

次に記者気質や社会部記者の取材目線などに触れ、記者の発想原点は常に現場であり、また被害者、被災者、消費者、国民など市民の目線で物事を考えていると述べました。次に記者への対応については、広報パーソンのスタンスは、嘘をつかない、隠さない、そして逃げないなどが示され、当たり前の事柄がきちんと行われていない場合が多いことを指摘しました。

最後に、記者会見の目的、心得などについても詳細な説明があり、キーワードとして1.逃げない 2.誠意を尽くす 3.情報公開に努めるの3つの言葉を提示されました。

パネルディスカッション:日本のメディア―社会部記者の経験から

<司会>
大槻 茂
広報戦略研究所 代表取締役
<出席者>
久保田 正
社会部次長
鯨岡 秀紀
毎日新聞社 科学環境部副部長
井深 太路
読売新聞社 社会部次長

2部では、広報戦略研究所の大槻代表をコーディネーターとして、各登壇者の自己紹介の後、「広報」の成功例・失敗例、記者から見た製薬産業のイメージ、新聞社の体質変遷など多岐にわたるテーマを取り上げ、フロアーからの質問などを含め約1時間半のディスカッションが行われました。

始めに、広報の失敗例・成功例について、各パネラーから、最近の企業不祥事の記者会見事例を挙げ発表がありました。まず失敗例の主な要因として、「隠蔽工作」、「提供資料が不十分と説明不足」、「対応が遅い」、「社外広報担当者の不在」、「トップが出席しない」等が共通したものでした。以上のことから記者会見時の発表資料の準備不足は、情報を正確に伝達できない、言い換えれば誤報のリスクもあり得るとのことでした。また状況如何では、行政も企業を切り捨てる場合も考えられることも付け加えました。上記の失敗諸要因を踏まえ大槻氏より、記者会見に臨むには、発表内容を十分事前検討することは基本だが、日頃から記者会見のシミュレーションを行う必要性を強調されました。そして成功例の共通語として、「記者が必要としている情報のタイムリーな提供」、「正直な対応」、「日頃のコミュニケーション」などで、不祥事の取材の場合でも最悪の状況を回避できる可能性も考えられるとの発言もありました。ここでも、きちっとした対応ができる企業は、日頃からシミュレーションが行われているとのことでした。「情報提供は先手必勝、すなわち攻撃は最大の防御」とのアドバイスもありました。

次に記者からみた製薬産業のイメージならびに評価については、全般的に悪いイメージは無いものの、各パネラーからの要望として、副作用情報をもう少しオープンにしてほしい、新薬の開発も大切だが最小限の薬剤使用量という観念を持ってほしい(患者の目線)とのほか、薬以外では広報パーソンの社内権限力が不明といった発言がありました。

最後にフロアーからの質問では、製薬産業からみた新聞社(社会部)の印象に対して、各パネラーが会社を代表して発言しました。過去は、まず想定ストーリーありきの取材が無かったとは言い難いが今は改善されている、ただ組織といえども個人営業的な部分は残っているかもしれないので、不審な点は広報部に問い合わせてほしいとの発言がありました。そのほか、海外での副作用情報入手方法や質問者と誠実な記者との信頼構築の体験談など多岐にわたる質問、コメントがあり、あっという間の1時間半でした。

最後に大槻氏から広報の善し悪しは、企業のトップの考えや姿勢が反映するが、広報パーソンは風通しの良い組織作りにも努力しなければいけないとのメッセージがありました。

特別講演:コンプライアンスと企業犯罪

講師:大澤 孝征弁護士、広報戦略研究所顧問

3部は、弁護士として、またテレビ・ラジオ番組 でコメンテーターとして活躍している大澤氏より、 元検事および弁護士としての豊富な経験を通じて、 ここ数年日本人の意識に大きな変化がおきているこ とについての講演がありました。

事例としてリクルート事件での捜査方法を引用し、 社員の企業への帰属意識が大幅に希薄になったこと を感じたとのことです。意識変化の主な要因として、 時系列的に家制度の崩壊、見えない価値観の否定、 拝金主義、自己保身などを挙げました。その結果、 目先の成果を追い求め過ぎることは、往々にして犯 罪に陥るケースがあることを認識し、防止策として実 務に沿った研修を行い、被害者の立場で考えたロー ルプレイングも実効のある一方法ではと述べました。

最後に、「社会環境や社員の意識の変化により、従 前と同様な行為でさえも企業の存続を危ういものに してしまうことになる」と変化に対しての敏感性が 重要であることを示唆し講演を終えました。

以上
(文:広報委員会コミュニケーションツール部会 村山教裕)

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