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定例会長会見実施される

「研究開発の振興とイノベーションを適正に評価する薬価システム。この2つが、官民対話で最も重要な提言です」
5月29日(火)に行われた定例記者会見において、青木会長はこのように強調しました。製薬業界の提案で、厚生労働省、経済産業省、文部科学省という行政を横断する初めての官民対話が、1月31日にスタートし、この日までに2回開催されました。会長会見では、この官民対話のこれまでの経過と今後の展望について、青木会長からプレゼンテーションがありました。
安倍内閣が提唱する「イノベーション25」では、製薬産業を世界に通用する日本の産業の柱として位置づけられており、業界に対する期待も高まっています。
このような状況の中でスタートした官民対話ですが、日本の医療への貢献に向けて、より具体的な政策を構築すべく、製薬協としても積極的にさまざまな提言を行っています。

2007/06/15

官民対話は、より良い医薬品が、より早く患者に提供されるために、どのような政策を行うべきかを、省庁の枠を超えて検討する、という主旨で始まりました。

新しい医療のあり方を考えていく時、基本となるのは医療の「質の向上」、「効率化」と「安全性の確保」です。イノベーションの成果を積極的に取り入れながら、これらの要素を満足させ、国際的に魅力あるシステムを構築していくことにより、国民の福祉の向上と、日本経済の成長、合わせて世界の医療にも貢献していくことができるものと考えています。

製薬業界には、国民医療費の増大を抑制するための、財源論ばかりに関心が集中するのではなく、本来、国としてもっと広い視野のもとで議論し、国としての政策を構築する、という要望がありました。この要望に呼応するように、安倍内閣が提唱した「イノベーション25」において、医療、特に医薬分野のイノベーションの必要性が強調されています。

製薬協は「革新的創薬のための官民対話」と題し、世界で通用する新薬を開発するために、製薬業界としての決意とともに、国として実施することを要望として提出しました。

ひとつは、研究開発分野の充実です。日本の創薬環境を整備することが、製薬産業のみならず日本の医療全体の改善になり、それが世界の医療に貢献することにもつながる、と考えています。

もうひとつは、革新的新薬に対する評価です。特許を有する期間はそのイノベーティブな価値にふさわしい価格を維持し、一方で、特許が切れたあとは、市場競争原理に従うというものです。

研究開発分野の充実については、課題として、以下の4点をあげました。

  • ・ 政府として創薬関連分野の研究に関する計画を策定する
  • ・ 治験を含む臨床研究の環境を整備する
  • ・ バイオベンチャーの育成を支援する
  • ・ 研究開発促進税制のあり方を見直する

この具体的な提言は、以下の3点です。

  1. 国民・患者が克服を待ち望む疾患領域での革新的新薬創出のための、官民協力した集中的な取り組み
  2. 政府研究開発投資の2割程度をライフサイエンス分野とし、特に医療関連分野への重点的な配分
  3. 一貫した施策推進のため「医薬品の研究開発推進協議会(仮称)」の設置

日本の科学研究資金は、複数の省庁が担当しているので、予算が分散されてしまっています。日本の製薬産業の研究開発費は、年間約1兆1,000億円で、政府のライフサイエンス分野の研究予算は約3,500億円です。一方、アメリカでは、製薬産業の研究開発費は約4兆5,000億円で、NIHの予算は約3兆円で、ほぼ7割の金額がライフサイエンス分野に拠出されていることになります。政府がライフサイエンス分野に手厚く予算を拠出しているのです。

この点からすれば、日本でも、製薬産業の研究開発費の約7割にあたる7,000億円程度は拠出していただきたいと考えます。これくらいの予算を、国として拠出し、日本のライフサイエンス分野の研究を支援するという取り組みがないと、アメリカにはとても追いつけません。そして、そのためには、予算配分を省庁単位ではなく、政府として行う、という集中的な取り組みが望まれます。

また、日本の医療の現場には“診療”という概念は存在しますが、“臨床”という概念はあまりありません。アメリカと同様に日本の医療の現場にも、次の医療につながる“臨床”を行う人材と設備環境の整備が望まれます。たとえば、全国の主要病院にクリニカルリサーチセンターを設置し、周辺の施設のコアとして機能させ、国全体で臨床研究を推進させていく、というような施策です。

そしてこれらを推進していくのが、省庁の枠を超えた政府直轄の組織「医薬品の研究開発推進協議会(仮称)」です。

一方、もうひとつの重要な提言である「革新的な新薬に対する薬価システム」については、現在、具体的な提言を検討・作成しており、今後の官民対話の中で提案していく予定です。

今までは、財政面から、国民医療費を抑制するためのさまざまな議論がなされてきていました。しかし官民対話では、医療技術の進歩や新薬開発などのメリットももたらしているという、広い視野での議論を展開することを目指しています。

将来、世界の中で科学技術をベースにした日本のプレゼンスを強化していくために、製薬産業が何をすべきか、具体的に提案をしていく予定です。会見についで後半はメディアとの質疑応答を行いました。その主なものを紹介します。

質疑応答

Q.
海外の売上高とその比率が伸びている企業が増えている、製薬協全体としてのこのバランスについてどう考えるか。また、このバランスに関する目標数値はあるか。
A.
国内市場と海外市場とのバランスは、それぞれの企業の問題であり、製薬協としてどのようにすべきかなどの考えはないので、当然目標数値などもない。
国内のマーケットが鈍化しており、企業として業績を伸ばすためには、海外市場に進出するのは当然であり、イノベーティブな薬を創出することで、国内はもとより海外市場でも受け入れられれば、企業にとっても日本にとっても有益なことである。
Q.
2008年の薬価改定について、新しい要望はあるのか。
A.
われわれが考えている新しい薬価制度は、少しタイムスパンが長く、一定の猶予期間を持たせていく、という考え方で、来年から実施する、というものではない。08年度については、今までと同様のスタンスでいく予定である。
Q.
ジェネリック医薬品の普及についての考え方はあるか。
A.
われわれは「イノベーションをベースにした産業」と自らを定義しているので、ジェネリックについての考え方は持ち合わせていない。
特許が切れたら市場原理に従って適切な価格が設定され、それによってトータルな医療を安くする、ということについて反対はしない。しかし、それをどうやって行うのかについては、考えていない。
Q.
イノベーションを促進する薬価というタイトルだが、製薬協の案は、イノベーションの促進ができたのかどうか、という判断材料はあるのか。
A.
イノベーションは、創出されたくすりの結果で判断すべきだ。くすりがもたらす成果は、くすりによって異なる。
現在、世界市場で売られている100位までの製品のうち、約2割は日本でつくられた製品である。したがって、日本の研究能力は世界に比べても決して劣るものではない。しかし、製品として市場に送り出すためのインフラは不十分である。日本で考案されていながら、海外で製造販売されている製品がある。現場の研究能力や医療技術は高いのに、最終的には、日本の患者にとって世界的なレベルの医療に達していない。この点が日本のシステムの問題であると考えている。この問題に光を当てていきたいというのが、われわれの長期的な戦略のひとつでもある。
Q.
途上国の患者の生命を守りながら、先進国の知的財産権を守っていきたい、とのことだったが、具体的にはどのような方法を考えているのか。
A.
まず国としてトータルな支援があって、その上でわれわれはその一角を担って参画することが望ましいと考える。たとえば、医薬品製造の技術的な問題の支援や医療の現場のインフラの整備など、途上国の現状の改善に貢献する、ということを考えている。
強制実施権についても、その国の実状を考慮して、生命に関わるよう医薬品の特許については、ある程度は容認できるが、製品が当該国内だけで使用されず、先進国に還流してくるのは問題である。

以上
(文:広報部)

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