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公的機関や企業のウェブサイトに望まれる障害者への配慮

インターネットを利用してウェブサイトから情報を得ることは、今では一般的に行われるようになってきました。インターネットユーザーの中には、健常者の他に高齢者や視覚、上肢に障害をもった方もいます。本来、情報サービスは誰でも利用できる環境にあることが大切です。このようなウェブサイトのアクセシビリティとは具体的にどういうことでしょうか。障害者や高齢者におけるウェブサイトの利用方法を紹介しながら、その現状と課題について考えていきたいと思います。

NPO法人障害者在宅事業グループ 埼玉県ウェブアクセシビリティ推進連絡会
運営委員 宮沢盛男

誰もが利用できる環境

なにも障害を持っていないパソコン操作に慣れた人が、インターネットに接続して何らかのウェブコンテンツを見ようとした場合、特に問題を感じることはないかもしれません。しかし例えば、普段眼鏡をかけている人が眼鏡を忘れてしまったときはどうでしょうか。そのままでは内容を見ることができなくても、ウェブコンテンツの文字を大きくしたりコントラストを強調したりすることによって見ることができるようになるのではないでしょうか。

公共的な情報を持つウェブサイトは、特定の人だけでなく高齢者や障害者など、誰でも見ることができるようにしなければなりません。

例えば全盲の人は、ウェブコンテンツのテキストデータを、音声で読み上げるソフトウェアを利用して、見るのではなく、音声を聞いてコンテンツを理解しています。これがアニメーションや画像で構成されたグラフィカルなサイトで、テキストデータがきちんと付け加えられていないと音声読み上げソフトは何も読んでくれず、コンテンツを理解することができません。

上肢に障害があり、マウス操作ができない場合はどうでしょうか。これはマウスを使わないで、キーボードだけでもウェブコンテンツを操作できるようにする必要があります。

また、たとえ障害を持っていない人でも、「見たい情報がどこにあるのかわからない」、「リンクがどこにあるのかわからない」といったことがあるのではないでしょうか?

バリアフリーやユニバーサルデザインという言葉を聞かれたことがあるかと思います。バリアフリーとは障害者等が利用する上での障壁を取り除くことで、ユニバーサルデザインとは障害の有無や老若男女を問わず、誰でも利用することができるデザインのことをいいます。つまりユニバーサルデザインは、設計段階からバリアが生じないようにするという発想で、そもそもバリアフリーをする必要がないといえます。

一方、アクセシビリティとは、バリアフリーやユニバーサルデザインを含め「利用が可能な状態にする」といえます。よくユーザビリティという言葉も聞かれますが、これは「利用する際の使い勝手」や「分かりやすさ」ということになります。つまりアクセシビリティを確保しながら、ユーザビリティにも配慮するということが大切になります。

このウェブにおけるアクセシビリティ「JIS X8341-3 第3部:ウェブコンテンツ、ブラウザ等を用いてアクセスする情報・サービス(電子文書等を含む)」が2004年6月20日に日本工業規格(JIS)で規定されました。

これにより国や自治体、公共団体のウェブサイトはアクセシビリティを確保したものにしなければなりませんし、企業等においても自主的な取り組みが望まれています。

表 ウェブアクセシビリティ JIS X8341-3 とは?

高齢者・障害者等配慮設計指針―情報通信における機器
ソフトウェアおよびサービス―第3部:ウェブコンテンツ
  • 高齢者・障害者および一時的に障害のある人がウェブコンテンツを利用できるようにするための指針
  • 企画、設計、開発、制作、保守および運用の全ての工程において配慮すべき一般的原則
  • 発注者、開発者・制作者および運用管理担当者・運用担当者のすべての人が理解すべきもの

障害者の利用の実態

外出するのが難しい障害者にとって、いつでも必要な情報を入手できるインターネットは、とても便利なものです。しかしながらアクセシビリティに配慮されていないウェブサイトでは、見栄えはよくても使い勝手が悪くなっています。

先に例に挙げたように、画像やアニメーションばかりでテキストデータがないために、全盲の方にとってはまるで情報を得ることができない場合があります。弱視の方にとっては、文字サイズが小さいまま固定されてしまったりコントラストが弱かったりすると、文字が読めない場合もあります。ウェブを開いたら突然、音楽が流れるサイトもあります。聴覚障害の人にとっては大音量で音楽が流れていたとしても気がつきません。また動的な格好良くできたデザインでも、マウスのポインタを動かさないとメニューが出てこなかったり、どこへリンクしているのか分からなかったりする場合もあります。上肢に障害を持っている方にはとても操作しにくいウェブコンテンツです。

表 どんな人が利用しますか?

  • 目の見えない人
  • 運動障害を持つ人
  • 弱視の人
  • 色覚特性のある人
  • 耳が聞こえない人
  • 認知障害を持つ人

現状と課題

現在ある様々なウェブサイトを見ると、見た目だけのデザインになっているものが多く、アクセシビリティに配慮されたウェブサイトの方がまだまだ少ないのが現状です。「意味のないアニメーションが強制的に始まる」、「サイトを開いたらいきなり音楽が流れる」、「画像ばかりで音声読み上げができない」、「入口やリンク先がわからない」、「見たいものがみつからない」、「なにが書いてあるのかわからない」……。

ウェブサイトはアクセシビリティに配慮した、誰でも利用できるようなデザインにしなければなりません。特に公共的な情報を発信しているウェブサイトでは必要不可欠なことです。

また企業等のウェブサイトについても、アクセシビリティのことを意識することはとても大切です。アクセシビリティに配慮したウェブサイトにするということは、障害者だけではなく、年齢を問わず誰にでも見やすいウェブサイトにするということになります。このような利用しやすいウェブサイトを設計するということは、社会的責任ということ以外にも企業にとって大きなメリットとなるでしょう。

これからは利用者の視点に立って、アクセシビリティについて積極的に取り組んでいただければと思います。

表 誰でもウェブを活用できる機会を提供しなければならない?

  • 使いやすい、理解しやすいインターフェイス(高齢者)
  • 音声読み上げソフトへの対応(全盲)
  • マウスを操作できない場合の対応(肢体不自由)
  • コントラストの強調、文字サイズの可変(弱視、色覚異常)
  • 閲覧環境を選ばない配慮(ブラウザの種類、JAVAやFlashの有無)

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