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第2回がん患者大集会開催される

2006年3月19日(日)、東京・代々木のNHKホールで2千人ものがん患者および家族、医療関係者などを集めて、第2回がん患者大集会が行われました。これは、がん患者団体支援機構が主催し、北は岩手から南は鹿児島までのがん関連の75の患者会の共催という大変大掛かりな集会でした。

製薬協は、昨年5月に大阪で行われた第1回集会から後援しています。また、19の会員会社がこのイベントを協賛しています。

今回の“市民・患者とむすぶ”では、この大集会の模様をご紹介しましょう。

日本製薬工業協会
前広報部長 喜多英人

『がん患者団体支援機構』設立、そして第2回、3回へ

日本のがん医療環境を改善するために患者自身が声をあげよう、より大きな声とするために一人でも多くの患者が手をつなごう、そんな発想から「第1回がん患者大集会」は始まりました。昨年の5月28日、会場のNHK大阪ホールは超満員の人で埋まりました。地元の大阪、近畿の人たちだけでなく遠くから駆けつけた方もたくさんおり、会場は参加者の熱気で満ち溢れていました。

「第1回がん患者大集会」でメインテーマとなったのが、「全国の患者会ネットワークの構築」と「患者主体の情報センターの早期設立」です。「全国の患者会ネットワークの構築」については、がん患者大集会を開催するために23団体の患者会が結集し、手をつなぐことができました。これを一時的なネットワークではなく、恒常的なネットワークとするためにがん患者大集会終了後に、「がん患者団体支援機構」が設立されたのです。

また、「患者主体の情報センターの早期設立」につきましては、厚生労働省 がん対策推進本部によって取りまとめられた「がん対策推進アクションプラン2005」の中に具体的な対策として反映されています。

このように「第1回がん患者大集会」は、会そのものの成功だけではなく、その後にいくつかの成果を生み出し、決して一過性のイベントで終わることはありませんでした。そして、当初から継続させることを目標として行われたこの集会は、関心を持った多くの方々の熱意と努力によって第2回へと引き継がれていったのです。

浮き彫りにされたがん医療政策の問題点

このような経緯で開催された第2回目大会は、実行委員長の内田絵子さんの「今日は、普通の患者が自分たちで作り上げた会です」といった開会挨拶で幕をあけ、癌研有明病院の武藤徹一郎院長、支えあう会「α」の土屋律子代表、東京大学の近藤正晃ジェームス特任助教授の3人の基調講演で始まりました。武藤先生は、難治がん医療の問題点を医師の数や組織の点から鋭く指摘し、厚生労働省に対しては、癌拠点病院に求められる機能をはっきりさせること、また文部科学省に対しては、腫瘍内科医や放射線専門医の育成カリキュラムを確立することなどを提案しました。

土屋さんは、ご自身の重複がん闘病の経験から、がん患者にとって一番辛いことは「心に串を刺されること」で、心と体調のバランスを考えた緩和医療の重要性について説明しました。緩和医療は、終末医療だけではなく、全人的苦痛を除去するもので、癌と告知されたときから始めるべきであると話し、また、患者同士が、「医療を変える」だけでなく、共にいのちを考え、患者の声を医療にいかしていきたいと決意を話されました。

近藤先生は、2005年の春に、がん患者やその家族約1800人を対象に実施したアンケート結果を発表しました。このアンケート結果によると、日本のがん医療に満足しているかどうかという問いには、7割の人が不満を感じていることが判明。特に不満が多かったのは、欧米に比べて治療薬の承認が遅れていること、医療に対して相談できるところがない、情報の開示が遅れていることなどでした。また、患者・家族の声が医療政策に反映されてないと感じる人は9割に達し、もっと患者の声を反映した政策が展開されなければいけないと力説しました。

それぞれ立場の異なる方々が基調講演を行い、現在のがん医療や医療政策の問題点、信頼できる情報を提供するセンターの必要性、患者の声をすい上げ、真の意味での患者中心の医療実現に必要なことなどが浮き彫りにされました。

「がん情報センターの状況」「患者中心の医療に向けて」

第2部は、「がん情報センターの状況」「患者中心の医療に向けて」をメインテーマに、がん患者家族および家族の代表3名、ジャーナリストで自身もがん患者の鳥越俊太郎氏、行政からは厚生労働省がん対策推進室の上田博三室長、医療従事者からは、国立がんセンター中央病院の土屋了介副院長、北海道がんセンターの西尾正道統括診療部長が参加し、コーディネーターを務めたNHKの里アナウンサーの司会によりパネルディスカッションが行われました。

このパネルディスカッションでは、情報や、専門医の育成、緩和医療、心のケアなど多岐に渡るテーマについて議論が行われ、また会場からも切実な質問が飛び出すなど、予定していた時間を大きくオーバーするなど熱心な討議が続きました。紙面の都合で代表的なものだけをご紹介します。

まず、ハード面として、10月に国立がんセンター内にがんの情報センターが設置されること、また都道府県では地域の患者さんの声を反映し、支援できるような支援センターを創設すること、専門医がいるがん診療拠点病院を設置することなどが計画されていることなどが紹介されました。ソフト面では、患者が言う「情報」と医師が言う「情報」には大きな乖離があること、また一般論や抽象論の情報ばかりが多く、患者にとって肝心なその人個人の情報が得られないことなどが患者代表からも出されました。また、患者にとって本当に必要な情報が伝わるためには、専門医の育成が重要であり、現在全国で47名しかいない臨床腫瘍内科医の育成が喫緊の課題であることなどが指摘されました。

感動のフィナーレ

このように盛りだくさんの第2回がん患者大集会でしたが、最後は、NPO法人 がん患者団体支援機構の俵 萌子氏が、大会に参加した全員の総意として「今日の集会は、がん情報センター実現に向けての第一歩となりました。患者にとって情報は希望の星です。皆が手を携えてすばらしい情報センターを創りましょう。そして、緩和医療など患者の苦痛をやわらげることができる患者中心の医療の実現を望みます。さらには、患者会と行政が、はじめて協働作業で作りあげた『がん対策推進アクションプラン2005』の早期完全実施を願いつつ、第2回がん患者大集会の決意表明とします」と、高らかに宣言をしました。

この決意表明の後、パネリストやこの集会の準備に携わった患者会の人たちが全員ステージにあがり、感動のフィナーレを迎えました。

2005年12月20日、がん患者団体支援機構の最初の代表となった三浦捷一氏は、ついに、二度目のがん患者大集会を見ることなく永眠されました。ただ、患者自らが共に手をつなぎ、大きな力となって日本の医療を変えていこうという三浦氏の遺志は、がん患者およびその家族の方々に確実に受け継がれていきます。

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