イベント・メディア向け情報イベント・メディア向け情報

はばたき福祉事業団の概要

みなさまは薬害エイズ事件をご存知でしょうか。日本には血友病患者が約5,000人以上います。血友病は先天的に血液凝固に必要な凝固因子が足りないため、出血した際に止血しにくい病気です。治療は足りない凝固因子を、血液から抽出された血液製剤で補充するものです。1980年初期、米国の売血由来の血液凝固因子製剤が大量に輸入された際、その中にエイズ原因ウイルスが混入していました。

はばたき福祉事業団
理事長 大平勝美

結成の経緯

米国等の売血者には、エイズに感染している人が多くいるとの指摘もありました。この混入の危険性について、製薬会社や当時の厚生省、一部の血友病専門医は情報を得ていましたが、日本の血友病患者へのリスク回避を怠りました。そのため、約1,500人近くの感染被害者が出て、患者だけでなく最愛の配偶者まで感染させてしまう事態となりました。感染した人の発症と死亡率は極めて高く、当時は20世紀のペスト(黒死病)とまで報道され、生命の危機だけでなく、社会からの偏見差別の嵐に患者・家族は自身の被害を訴えることもできない状況でした。

このまま死にたくない、命を守れと、被害者の怒りの訴訟が1989年に提起され、社会の多くの方たちの大きな支援もいただき、訴訟は国と加害製薬会社の責任を認めた画期的な和解が1996年に成立しました。

和解で裁判上の責任は決着しましたが、被害者は感染したウイルスとの命の闘いをしながら生きて行かなければなりません。支える家族も頑張らなければなりません。亡くなった被害者の遺族の心の健康被害についても対処しなければなりません。

目的と活動の重点

はばたき福祉事業団は、被害者の和解金から拠出されたお金や厚生労働省からの補助金、社会からの賛助金や寄付金で、こうした被害者の恒久的救済を行い、二度と悲惨な被害が起こらないよう再発防止の観点から、被害体験を通して社会還元する意味でできる限りの活動を行っています。

医療の面では、薬害エイズ事件の背景に、医療は医者に任せておけという父権主義的医療(パターナリズム)が、患者への積極的なリスク回避を妨げ、情報も正確なものが伝えられませんでした。その結果、最愛の配偶者らへの二次感染被害をも惹起させてしまいました。治療に際しても、最善の医療の選択権が奪われたため、被害者の1/3を越える582人の命が消されていくという未曾有の事件となったのです。

はばたき福祉事業団は薬害エイズ事件に関連しました、血液行政、医療体制、薬事について特に重点を置いて活動を行っています。その活動は、これまでよくありましたように患者や当事者の立場から参考意見として外から声を発していくだけでなく、直接様々な審議会、検討会、協議会等へ委員として参加し、医療体制、血液事業、薬事、福祉について意見を反映させていくことを実行しています。私たちは、患者参加型医療と位置づけて積極的に展開しています。専門家主導の医療・薬事の環境ではなく、当事者の意見を十分反映した、患者に優しい誰もが安心して医療を受けられる環境作りを目指しています。ダイナミックメディカルと呼び、患者参加型のHIV医療体制をつくり、血液事業の改革に着手し始めています。また、製薬協が呼びかけられた慢性疾患セルフマネジメントプログラムへは関心を持って参加しています。本来抱えている血友病に関しては、自己管理、自立、自律ある生活を70年代より患者会活動の中心として進めてきました。そして薬害によるHIV感染症罹患から、HIV医療体制そのものに踏み込み、より自己管理の考え方を積極的に患者・医療者だけでなく社会に啓発してきましたので、慢性疾患セルフマネジメントプログラムも活動の一環として進めていきます。さらに、HCVなどの肝炎にも罹患していますので、肝炎対策は医療政策・治療の実際も先駆的考えでリードしています。

こうした慢性疾患として病気をもって生活していく自己管理について、新鮮な発想と生活者の発想を当事者サイドから発信していきます。「患者が変われば、医療が変わる」。これははばたき福祉事業団の理念です。私たちは薬害エイズ事件の被害を教訓として、従来のパターナリズムを打破し、患者が考える医療環境を提示していくことを目指します。

今後の課題

薬害エイズ事件は血液製剤にエイズ原因ウイルスが混入されていたことにより発生した被害ということはすでに述べました。血液製剤を使用する血友病患者にとって、安全で安心な血液事業に関する問題は避けては通れないことです。今後も血液事業部会を通して意見を発信し、こうした悲劇を二度と起こさないように努めていかなければなりません。また献血については、10月21日に厚生労働省主催で開催された「献血推進キャンペーン」に参加し、献血の呼びかけを行いました。特に幼少の頃から血液の大切さを学び、大切な命の象徴である血液により親しみを深めてもらうために、子どもへの教育に力を入れています。献血は温かい贈りもの=ハートフルギフトであることを伝え、献血を広める活動に力を入れていきます。

被害患者のほとんどはC型肝炎にも感染しています。HIVはHCVを増悪させるためその進行は極めて速く、感染から20年以上が経過している被害者のC型肝炎問題は待ったなしの状況です。実際、ここ数年の死亡原因は肝疾患によるものがほとんどで、今年もはばたき福祉事業団で原因を把握している死亡者10人のうち、実に9人が肝疾患によるものでした。しかし、通常のC型肝炎と同様に考え、危機感に欠ける医療者が多いため、昨年から各地でHIV/HCV重複感染シンポジウムを開催し、医療者に対して注意を喚起してきました。重複感染がいかに過酷な状況であるかを医療者に周知徹底するとともに、患者を日本のHIV治療のナショナルセンターであり、多数のHIV/HCV重複感染者を診てきたエイズ治療・研究開発センター(ACC)へつなげる治療検診を推進していくことも大きな課題です。

地域で孤立している遺族への対応も課題です。最愛の家族を失い、孤独な生活の中では、遺族相談会に参加し、同じ立場にある遺族と語りの場を持てるようにすることは大切です。それとともに、地域の医療や福祉の支援を得られるようにしていくことも必要です。特に高齢の遺族にとっては重要なこととなります。

こうした課題に取り組むために、はばたき福祉事業団は法人化を目指しています。厳しい状況が続く被害者を永続的に支えていくためには、長期にわたって事業運営できる体制が必要となります。そのために財政および事業基盤の強化を図り、法人化して永続的な被害者支援と事業運営に耐えられるようにしていきたいと考えております。もちろんこれを実現するためには、社会からの多くの支援が必要となります。これからのはばたき福祉事業団の活動にご期待いただくとともに、ご支援をよろしくお願いいたします。

このページのトップへ

  • キャンペーン
  • 製薬協ニューズレター メールマガジン登録はこちらから
  • くすり研究所
  • 治験について
  • グローバルヘルス
  • Stop AMR 薬剤耐性に対する製薬協の取り組み
  • APAC
  • くすりの情報Q&A
  • 製薬協のテレビCM