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筋萎縮性側索硬化症と共に闘い、歩む会

日本ALS協会

日本ALS協会常務理事事務局長 熊本雄治
ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、一般に40~60歳で発病し運動神経の障害や筋肉の萎が起こる病気で、手や足をはじめ体の自由がきかなくなり、人口呼吸器を装着しなければならなくなる場合もあるほどの難病です。日本ALS協会は1986年に患者・家族を中心とする有志20名ほどで結成され、現在の会員数は約8,500名。行政への働きかけ、参政権を求めての訴訟、研究者への研究奨励金の提供、会員への相談・支援活動、さらには国際会議への患者さん自らの参加など、幅広く活発に活動しています。

ALSとは

ALSは、英語名(AmyotrophicLateralScle-rosis)の頭文字をとった略称で、日本語名は「筋萎縮性側索硬化症」といい、運動神経が障害されて筋肉が萎縮していく進行性の神経難病です。アメリカでは、メジャーリーグのニューヨークヤンキースで鉄人と言われた名選手のルー・ゲーリックが罹患したことから、ルー・ゲーリック病とも呼ばれています。また、イギリスの有名な宇宙物理学者ホーキング博士も30年来の患者です。国により難病認定されているこの疾病は、病気が進むにしたがって手や足をはじめ体の自由がきかなくなり、話すことも食べることも、呼吸することさえも困難になってきますが、感覚、自律神経と頭脳はほとんど障害されることはありません。進行には個人差がありますが、発病して3~5年で寝たきりになり、呼吸不全に至る場合には人工呼吸器を装着しなければ生き抜くことができなくなります。10万人に3~5人の発症割合の稀少難病で、残念ながら、現在のところ原因も治療法もわかっていません。一般に40~60歳で発病し、患者は全国で6,000人程と言われています。

協会設立から今日までの歩み

日本ALS協会(筋萎縮性側索硬化症と共に闘い、歩む会)は、ALSと闘う患者さんと家族を中心に、遺族、専門医、医療関係者および一般有志の方々が集って、1986年に結成された患者・家族の支援団体です。200名ほどでスタートした患者会ですが年々輪を広げ、17年を経た今日、本部事務局のほか全国に32支部があり、会員は約8,500名に達するところとなりました。そして本会は、全会員が力を合わせてALSの克服、と患者が人間としての尊厳を全うできる社会の実現を目指し、一日も早いALSの原因究明と治療法の確立および患者・家族が安心して療養できる医療・福祉体制を作ることを一貫した目的としています。

協会の活動

本会が目的達成のため実施している主な活動は、次のとおりです。

  1. 医療・福祉の向上を目指し、国や自治体に働きかけています。
  2. ALS基金を創設(1994年)し、毎年公募した研究者に研究奨励金を交付して、ALSの原因究明、治療法などの研究開発を支援しています。
  3. 患者・家族に対する医療・福祉ケアの相談、コミュニケーション機器の支援活動等を実施して、患者・家族の療養支援を行っています。
  4. 看護・介護の手引書(ケアブック)の発行や各地で研修会・交流会を開催して、介護技術の向上・普及および会員相互の交流を図っています。
  5. 機関誌「JALSA」(ジャルサ)を年4回程発行、ホームページも活用して、会員への情報連絡、社会への啓蒙啓発に努力しています。
  6. 国際組織に加盟し、世界的な啓発運動に取り組んでいます。

現時点の重要事案と願い

1.吸引問題の解決→医療行為の見直し→介護保険制度などの実効化推進
私達は、「ALS等の吸引を必要とする患者に、医師の指導を受けたヘルパー等の介護者が日常生活の場で吸引を行うことを認めてください」と、昨年11月坂口厚生労働大臣に直接要望書を手交、大臣からの「桜の咲く頃までに決着を」との前向きな答弁に大きな期待を寄せつつ、医政局の下での検討結果を注視しているところです。この要望は呼吸障害を乗り越え人生を全うする人々にとって切実不可欠なことですが、この結果を踏まえて医療行為という名で呼ばれている範囲が見直されて、身体介護を担うヘルパー方の役割が高まることにより、高齢化、在宅療養化が進行する下での介護保険制度が、より良い保障の柱となることも願っているものです。

2.参政権行使の早期実現に向けて
投票所に行くことが困難で、自書が出来ない者にとって、郵便による投票の途も閉ざされている現状は人権侵害であるとして、在宅で人工呼吸器を装着し闘病を続けているALS患者3名が原告となった「ALS選挙権国家賠償請求訴訟」において、東京地方裁判所は2年余の審理を経た昨年11月28日の判決の中で、現行の選挙制度は原告らの選挙権行使を侵害するもので“憲法違反の状態にある”と明確な判断を示しました。本会では、四肢麻痺・言語障害の患者にとって参政権行使は社会参加の第一歩であり、生き甲斐にもつながる大事であるだけに、郵便投票にも代筆が認められるなどの改正が一日も早く実現することを願い、国会や選挙制度を所管する総務省などの動向を注視しているところです。

大いなる期待と果たすべき課題

1.わが国では、このほど東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターの中村裕輔教授をリーダーとする国家プロジェクトを立ち上げ、30万人分のSNPデータベースを構築するため、予算化すると共にスタートしました。世界的にみて現状優位にたっているこの分野での研究がさらに進められれば、疾病発症の原因究明から治療法の開発さらには個々人ごとに最適となる薬を使い分けるなどの医療の個別化(オーダーメイド化)にも繋がる可能性が期待されています。当協会では、ALSがフランスの医学者シャルコー氏に見出されて以来130年余を経ているにもかかわらず、未だ治療法が発見されないまま、日本だけでも6,000名を超える患者がこの難病と闘っている実情を訴え、このプロジェクトにALS等の神経難病を研究対象疾患として組み入れて頂くよう、少しでも早く治療法発見の端緒が開かれることを念じつつ、要望書を提出いたしました。

2.当協会は、英国が本部を担う「ALS/MND国際同盟」という組織に加盟しています。特筆すべきは、2000年のデンマーク会議以来、一昨年米国、昨年オーストラリアのメルボルン市で開催の会議・シンポジウムまで3年連続して人工呼吸器により呼吸障害を克服した患者さん方の積極的な参加です。そして発表などを通じ日本におけるALSとの闘い振りを伝えたことが、世界中の関係者に強いインパクトを与え、今や“日本を見習うべし”の声が挙ってきていることです。こうした状況下、懸案となっていた日本での国際会議を2006年に開催する(ホスト役を担う)べく鋭意準備に取り組んでおります。この会議・シンポジウムを成功させ、国際貢献を果たすには、多方面にわたりご理解とお力添えを頂かねばなりません。“ALS等難病と闘う全ての人々に幸あれ”と願い、結びとさせていただきます。

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