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創薬ボランティア活動に取り組む 日本てんかん協会

「医療の主体は患者である」と、マスコミ等で盛んに論じられています。その背景には、医療をめぐる環境と医療消費者の意識が大きく変化していることが挙げられます。製薬産業にとって医薬品の最終消費者である市民・患者の動向は重要な情報です。本欄の第一回は、(社)日本てんかん協会副会長奥田幸平氏に投稿をお願いしました。

社団法人日本てんかん協会副会長 奥田幸平

1.はじめに

てんかんという病気は古くから知られている病気で、人種に関係なく0.6%~1%の有病率があり、日本国内でも百万人近い患者がいると考えられています。20世紀中頃までは不治の病と考えられてきました。そのために多くの誤解や偏見が社会の中に生じています。てんかんと精神病の混同やてんかんは遺伝する・伝染するなど、学校や職場で患者や家族に向けられる誤解や偏見は時に悲劇的な状況も生じるほど深刻なものです。近年の薬物治療の進歩は発作のコントロールを可能とし、きちっとした治療を受けることで80%近くが発作がコントロールされ、完治することも可能となっています。一方、誤解や偏見から充分な治療の機会を得られない方や難治のてんかんで発作に苦しむ方はまだ多くおられます。

2.日本てんかん協会の沿革と活動内容

多くの患者団体が1970年前後に生まれていますが、日本てんかん協会もその前身となる2つの団体が1973年に東京の病院の待合室で生まれました。一つはてんかんの子供を持つ親が、もう一つは成人患者の親を中心として、情報交換やてんかん医療に関する勉強会が開始されました。3年後には共通する課題に取り組んでいくために統合され、現在の日本てんかん協会が誕生しています。また、日本の唯一のてんかん患者組織として国際てんかん協会にも参画しています。

てんかん協会の活動はてんかんの誤解や偏見をなくすために「正しいてんかんの知識」を広げる社会啓発に力を注いでいます。機関誌「波」の発行、てんかんに関する小冊子・書籍の発行、教師や福祉関係者向けの専門職てんかん講座の開催等を行なっています。患者・家族のための療育指導も主要な活動です。各県支部を中心に個別療育指導(医療・教育・職業・所得保障・生活等の相談)、集団療育指導(キャンプやレクレーション、スイミング)、医療講演会の開催、当事者グループの会、母親の会、病態別・課題別の集会等を行なっています。てんかんの調査・研究活動も積極的に行なっています。患者の実態調査、市民の意識調査をはじめ国内関連学会との連携、アジア・オセアニアの患者団体との交流、議会・行政に対する請願・要請活動等も行なっています。

社団法人日本てんかん協会の沿革と事業
(JapaneseEpilepsyAssociation.Inc.略称J.E.A.)別名「波の会」
1973・6:「小児てんかんの子どもを持つ親の会」設立
1973・7:「てんかんの患者を守る会」設立
1976・10:上記2団体が統合日本てんかん協会設立
1981・2:社団法人認可
2001年3月現在:各都道府県に支部を設置会員数約7200人。
会員構成は患者本人20%、家族60%、医師6%、専門職10%、その他4%
事業:社会啓発、療育指導、調査研究

3.創薬ボランティア活動

てんかん治療の中心は薬物療法です。日々の発作とその不安に苦しむてんかんの患者・家族にとって、新薬に関する関心は非常に高く、一日でも早くよい薬が現れることを願っています。しかし、欧米で既に使用され、よい薬であると評価され、またアジアの諸国でも既に治療に利用されている抗てんかん薬であっても、日本では承認が得られず使用できない状況があります。欧米に比較し約10年もおくれており、抗てんかん薬に関して日本は後進国となっています。そのため、難治性てんかんのご家族が新しい抗てんかん薬を求めて、海外にまで出かけていくこともあります。なぜこのようなことになっているのか、どうしたら改善されるのかという疑問から創薬ボランティア活動の取り組みが始まりました。

新薬開発の仕組みや環境変化などを調べていく中で、治験に関わるそれぞれの関係機関に多くの問題点があることが分かりました。例えば患者側には治験に対する理解が少なく協力が得られにくいこと、医療機関側には治験担当医師のモチベーションの問題や治験実施体制が未整備であること、製薬メーカー側には患者に対する情報提供が企業機密や薬事法の関連で極めて少ないこと、審査行政の遅れなど様々な要因があげられました。しかし、新薬開発が「患者のために」という共通の目的を持ってそれぞれ改革に向かっていることも事実であり、まず患者団体として自分たちの出来ることから始めようと創薬ボランティアの活動を開始する事にしました。まず、てんかん協会会員に治験に関する啓発と新薬情報を会員に届けること、治験に協力したいと考えている会員に創薬ボランティアとして登録してもらい、治験情報を届けることを始めました。今後は、てんかん治療の基幹医療機関に協力いただき更に多くのてんかん患者の方に治験に関する啓発と創薬ボランティアへの参加を呼びかけたいと思っています。

4.製薬団体・企業に対する要望

これまで患者と製薬企業との接点は極めて少なく、多くの場合マスコミを介しての情報が主でした。内容も決してお互いを理解し得るものではなく、不祥事や薬害に関する情報に偏っていたのではないでしょうか。「患者のためにより良い薬を」を合言葉にもっと距離を縮め、理解しあえる関係の構築が必要と感じています。そのために以下の提言をします。

製薬企業からのメッセージや医薬品情報を患者団体を通して患者に積極的に届けて下さい。
新薬開発にたずさわる方は患者団体の集会などに参加して、患者に接し、患者の姿をもっと知って下さい。
治験の透明度を高めて下さい。治験の情報が患者に届くよう努めてください。患者が理解出来るような情報提供をして下さい。
患者団体とのパートナーシップを確立するよう努めてください。

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