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当たり前の地域生活と当たり前の医療を求めて

製薬協は患者中心の医療の実現を目指し、患者会とのより良い関係作りに取り組んでいます。この度は、わが国の精神障害者の生活を種々の面から支えている財団法人 全国精神障害者家族会連合会の田所裕二さんにご投稿をお願いしました。

財団法人全国精神障害者家族会連合会
事務局長補佐 田所裕二

はじめに

本会は、保健所、各種施設(事業)や精神科医療機関を単位として全国約1700の家族会から構成する連合組織です。家族会は、各都道府県連合会としてまとまり、その傘下におおよそ6万世帯12万人の会員を組織し、各地の特性を活かした活動を展開しています。

1965年9月全国各地で活動を続けてきた家族会関係者が東京に集い、全国組織を結成しました。それが本会組織のスタートであり、本年全国運動40周年を迎えました。1967年2月には財団法人としての許可を得、1994年7月に精神障害者社会復帰促進センター(精神保健福祉法による)の指定も受けました。その間、1991年に現在の活動拠点を設立し、相談室、保健福祉研究所、通所授産施設、共同作業所などの事業を拡大し、総合的な社会復帰促進事業に取り組むと共に、1996年には栃木県に精神保健福祉の複合施設を開設し、世界的にも類を見ない精神障害者支援と体験交流の場づくりを試行し始めました。

家族会では、身内に精神疾患をもつ人々が集まり活動をしています。その活動内容は、参加者同士の交流、精神疾患や精神障害者が利用できる福祉制度等の知識を得るための学習会等が中心ですが、最近では社会復帰事業や相談活動に積極的に取り組む家族会も増えてきています。また、議会や行政機関等に対する要望活動も、重要視されてきています。

障害者が生活できてこそ当たり前の地域社会

現在、わが国にはおよそ258万人の精神障害者が暮らしています。精神障害者や精神疾患を有する人は、特別な人であり特殊なサービスが必要と考えられることが多いようですが、私たちは地域生活や医療サービスの提供においても、「当たり前」であるべきと考え、活動の基本としています。どんな病気や障害を有していても、その人の人権や尊厳が守られる社会が、求められる地域社会であると私たちは考えています。私たちの身の回りには、当たり前のように高齢者がおり子どもが暮らしています。このことに疑問を持ち、地域というコミュニティからの排除を願う人が果たして存在するでしょうか。

しかしながら、精神疾患や精神障害に対しては無知・無理解・誤解・偏見が根強く、正しい認識と対応を求めるのが難しい状況です。各地での草の根活動によって社会啓発が根付いても、誤解と偏見に満ちた事件報道等が一度流れると、全ての努力が水泡に帰してしまいます。私たちは、こういった苦汁を何度も飲まされてきましたが、それでも障害者が暮らしやすい地域社会作りをめざし、啓発活動の一歩を新たに進めていかなければなりません。

こうした活動と治療・リハビリテーション・社会復帰等の活動をリンクさせて、総合的に一人一人の人権や尊厳を守っていくネットワーク作りが、今後期待されます。

早期発見・早期治療は精神科も同じ

私たちは、さまざまな福祉施策等の充実とともに、「病気が治って欲しい」ということを願ってきました。

ここでは、特に4つのポイントについて具体的に例を示します。

まず第一に、救急医療です。急性期の医療相談窓口の存在と適切な専門医療機関への搬送、これらが24時間365日の体制で整備されることを望んでいます。第二に、他科との連携です。精神科を受診している人が他の病気に罹患した場合や妊娠出産などで他科を受診する際に、精神科での受診・処方内容が正しく伝わるのか、医療上の齟齬は発生しないのか、いろいろな不安があります。第三に、高い専門性と最新医療の導入です。日進月歩で進む精神科医療を、全国の医療現場に適切に反映してもらいたいと望みます。

最後に、多剤大量処方の禁止です。治療の基本は薬物治療であり、慢性疾患では長期間の服用が求められますので、薬の処方については特に関心が高くなります。欧米などでは、患者やその家族がよく薬剤等の勉強をしていて、自分が服用する薬物についても常に医師や薬剤師等とのコミュニケーションを行っている事例を目にする機会があります。特に精神科で処方される薬は、「劇薬」とされる成分も含まれるものもあり、できるだけ少ない種類を少ない量で服用したいと願っています。これは、副作用という観点からも当然です。加えて、国内未承認薬の早期適用化に向けた動きも、大変重要と考えています。

これからの課題

本会40年間の活動の中で、三つの「偏見」を改善することが優先課題と考えています。一つは、マスメディア等一般社会における偏見、二つめは行政機構を含めた他障害者分野での偏見、そして最後に家族も含めた当事者の中にある偏見です。精神障害は、その症状に個人差と不安定な波(変化)があり、特定のスケールでの判断が困難な特性があります。

そこで私たちは、「精神科の病気とは何か」、「治療のメカニズムとは何か」、といった基礎的なテーマの整理が必要と考え、家族会や患者会そして一般市民に向けたセミナー等の機会をより多く持っていきたいと考えています。「心の病」という曖昧な表現から、

「脳の疾患」と明確に位置づけた活動に、将来的には変えていけたらよいと個人的には思っています。そのためには、各業界企業の協力も不可欠で、家族会や患者会等と連携した新たな「事業」などを、企画・開催していけることを大いに期待しています。

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