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NPO法人COML

「おまかせ」の医療から「主体的な医療」へ
-NPO法人COML&『患者情報室』訪問

「『患者情報室』に設置するための疾患に関する小冊子を送ってください」。2月のある日、製薬協広報部宛に丁寧な手紙が届きました。

NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル:以下COMLと略)で事務局長をされている山口育子さんからでした。『患者情報室は、昨年10月に国立病院大阪医療センター(現:独立行政法人国立病院機構大阪医療センター)内にオープンした、患者さんが病気や治療について勉強できるように資料を提供している施設で、企画・運営をCOMLが行っています。以下、COMLの活動と『患者情報室』についてご紹介します。

製薬協会員各社の広報委員を通して資料提供のお願いを呼びかけたところ、たくさんのパンフレットやビデオが『患者情報室』に送られました。患者さんが必要としている情報を提供していくことは、製薬協が推進する『患者さん中心の医療』への貢献にも合致します。また、このような施設に対する関心も非常に高かったことから、早速、広報委員会ペーシェントグループ部会のメンバーとともに、大阪市のCOMLの事務所を訪問し、会の活動について話をうかがい、また実際に『患者情報室』を見学させていただきました。

おまかせの医療から主体的な医療へ

COMLのスタートは、1990年の9月。この頃は、まだ患者さんの意識は、いわゆる「おまかせ」の医療。主体的に積極的に医療を受ける、という発想の乏しい時代に、医療を消費者の目でとらえようと「いのちの主人公」「からだの責任者」である患者さん自らが「賢い患者になりましょう」を合言葉に発足しました。山口さんは「COMLがスタートした頃は、まだ日本にインフォームド・コンセントの概念が上陸したばかりの時でした。そういう時代に、患者と医療従事者が対話と交流の中から互いに気付き合い、歩み寄ることのできる関係作りを願って、手探りの中、活動が始まりました」と、当時を振り返ります。

スタートから14年。今やCOMLはNPO法人を取得し、14もの事業を展開する「患者中心の医療」実現に向けての大きな力へと成長しました。紙面の都合ですべての事業活動を説明することはできませんので、ここでは『電話相談』と『病院探検隊』について簡単にご紹介しましょう。

COMLの活動を特徴付ける活動の柱の一つともいえるのがこの『電話相談』です。1年間に約4,000件、2月には累計で29,600件にも達しました。相談の半数が関東から寄せられ、行政や弁護士、マスメディア、はたまたほかの相談機関の紹介でかかってくる相談もあるそうです。相談内容のトップは医療不信に関すること、そしてDr.の説明不足、法的解決、医療費、薬に関することと続きます。医療不信については、患者さんの過度の期待によるものも多いといいます。最近は若い人からのごくごく基本的な育児相談が増えているそうですが、一人当たり平均で40分も費やし、ボランティア8名とCOMLのスタッフが、今日も『患者と医療者のコミュニケーション』の向上のためにアドバイスを送っています。

『病院探検隊』は、1994年から始まりました。これは医療機関からの自分の施設を見学して欲しいとの依頼によりスタッフが病院を訪問し、病院職員の案内による見学や自由に院内を歩いて、時には患者さんにインタビューをしたり、さらには患者さんを装い実際に受診までするものです。特に受診をするとその医療機関のことがよく見えるそうです。待合室の雰囲気、医師や看護師の対応など、ふだん医療機関側が気づかないことなどを2時間もかけて職員にフィードバックし、後ほどレポートも提出するそうです。最近は国立や公立病院からの依頼もあるそうで、医療機関も患者さんの生の声を知ろうと必死のようです。

病院探検隊の際にも、図書コーナーの必要性を提言してきました。患者も自ら学ぶ時代になったんだ、ぜひともそういう施設を自分たちで作りたい、と構想されたのが『患者情報室』設置のきっかけとなりました。

知る、読む、みる、学ぶ広場

このような患者さんが学べる施設が必要と考え、患者情報室を作りたいと願っていたのは、COMLの理事を務めていた朝日新聞記者の故・井上平三さんでした。井上さんは大腸がんで2002年に57歳の若さで亡くなりましたが、この遺志を奥様が引き継ぎ、退職金の一部を寄付され、それを元に基金が設立されました。井上さんが入院していた国立病院大阪医療センター(当時)の多大なる理解・協力を得て、場所が無料で提供され、COMLが企画、運営責任を担う体制をとっています。このような協働作業は日本初の試みとしても注目されています。

10月23日にオープンした『患者情報室』は、しゃれたカフェのようで、木目調のインテリアが心を落ち着かせてくれます。私たちが訪問したときも奥のコンピューターを使って患者さんがなにやら検索しています。きれいに整頓された本棚には書籍が1,300冊。出版社やDr.がたくさん寄付してくれたそうです。製薬協の会員会社から提供された小冊子は、入り口の「情報提供コーナー」にぎっしりと揃っていました。『患者情報室』に常駐されている山本ゆかりさんは、「たくさんのパンフレットが各社から送られてとても助かっています。訪れる方も熱心に読んだり、持ち帰って勉強されているようです」と話しています。

これらの活動を通じて、山口さんは「医療機関も患者とのコミュニケーションの重要性を理解してくれるようになってきました。私たちも対立だけでは何も変わらないことを学んできました。医療機関と共に学ぶ、この姿勢をずっと大事にしていきたいと思います」と話しています。ぜひ、一度『患者情報室』をお訪ねください。

<患者情報室>
電話:06-6942-7321(直通)
開室時間:10:00-16:00
土日・祝日は休み(8月中旬、年末年始も休み)
〒540-0006大阪市中央区法円坂2-1-14
独立行政法人国立病院機構大阪医療センター内緊急災害医

日本製薬工業協会広報部長 喜多英人

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