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患者会比較にみる患者満足度と製薬産業のイメージ


「患者会比較にみる 患者満足度と製薬産業のイメージ」
―疾患別の患者意識と医療消費者一般との違い―
日本製薬工業協会 医薬産業政策研究所 主任研究員 岩井高士 氏
解説講演(要旨)

 2007年4月19日(木)、東京・KKRホテルにて製薬協メディアフォーラムが開催されました。今回のテーマは『患者会比較にみる患者満足度と製薬産業のイメージ』です。医療および医薬品、製薬産業に対する意識は、同じ患者さんでも患者会に属している方と一般の患者さんとでは異なるのか、また疾患によって患者さんの意識がどう異なるのか。今回はアレルギー、リウマチ、腎臓病、認知症、乳がんの5つの患者会と一般の医療消費者を対象にして、医療・医薬品に対する満足度と製薬産業のイメージについて調査をした結果を、医薬産業政策研究所の岩井主任研究員が報告・解説をしました。


●疾患により医療満足度に差が
 「受けている医療全般」についてはアレルギー、リウマチ、腎臓病、医療消費者一般の方の50%以上が満足されていますが、認知症と乳がんの患者さんはそれぞれ34.0%、42.6%でした。また「医師の治療技術」と「最先端の医療技術(最新の医療を受けているか)」ですが、「医師の治療技術」に関しては満足されている方が多いのですが、最新の医療を受けているとの満足感についてはあまり強くないようです。特に認知症と乳がんの患者さんの約4割は不満であると答えています。

 「医師との対話」と「治療時の患者自身の意思尊重」については、認知症の患者会と医療消費者一般以外ではおおむね満足されています。認知症の患者会の回答はご家族によるものですので、これが結果に影響している可能性はあるかと思いますし、認知症の患者さんをもつご家族の多くは、治療だけでなく介護に関する相談にもっと応じて欲しいとの要望をお持ちのようです。また患者会に参加されている患者さんの方が医師とのコミュニケーションに満足している傾向が見られますが、これは治療に関する知識や治療への参加意識が一般の医療消費者よりも高いことによるのではないかと考えられます。

 「医療機関の情報開示」と「診察時の自己負担額」についてみると、「医療機関の情報開示」では「どちらでもない」の回答が多いのですが、認知症と乳がんの患者会では不満が多くなっています。「診察時の自己負担額」では医療消費者一般の不満が多いことと、リウマチの患者さんの満足度が高いことが目立っています。

 また、医療全般に対する満足度に影響を与える要因を、回帰分析という方法で分析しました。アレルギーの患者さんを除くすべての患者さんで「医師の治療技術」が医療全般に対する満足度に影響を与えていることが分かります。さらに、すべての患者さんは「医師との対話」、「診察時間の長さ」、「治療時の意思尊重」といったコミュニケーションに関わる項目も影響力を持っているという分析結果が出ています。

 疾患ごとの特長としては、アレルギーと腎臓病では「医療機関の情報開示」が影響力を持っているということが分かりました。また乳がんと腎臓病では「最先端の医療技術」が受けられているかが満足度に影響を与えるという結果になりました。背景としては疾患そのものの特長、疾患に特有の医療環境が影響していると考えられます。

●医薬品に対する満足度
 処方薬の総合的な満足度に対する回答分布を見ますと、アレルギーが最も満足度が高く60.2%でした。腎臓病、リウマチがそれに続き、医療消費者一般でも半数近くが満足していると答えています。認知症の患者会では、相対的に満足しているという割合は低めに出ています。また医薬品の効き目と安全性についてですが、「医薬品の効き目」ではアレルギーの患者さんがかなり高い割合で満足しているという結果がでています。

 「医薬品について提供される情報」と「医薬品の価格」に対する満足度ですが、「医薬品について提供される情報」については、アレルギー、リウマチ、腎臓病の患者会では満足している割合が高くなっています。また医療消費者一般でも54.6%が満足しており、インターネットの普及も影響しているのかと思いますが、逆に認知症、乳がんでは不満の割合が3割を超えており、少し高くなっています。

 医薬品の総合的な満足度に影響を与える要因というのは、当然のことですが「医薬品の効き目」に対する満足度が医薬品の総合的な満足度に強く影響するということです。 ただアレルギーの患者さんについては、最新の医薬品が使われているということが総合的な満足度に強く影響しており、これは近年登場した新しい喘息用の吸入薬が使われるかどうかが、総合的な満足度に非常に強く影響していると思われます。

●製薬産業のイメージ
 製薬産業の全般的イメージは、すべてに共通して「どちらでもない」という回答が多くなっています。しかし健康への貢献というイメージでは、いずれの患者会、医療消費者一般でも「そう思う」が多く、「健康へ貢献する製薬産業」というイメージをもたれているようです。また社会貢献活動については「よく分からない」「どちらでもない」という回答が多くなっています。

 製薬産業と患者・医療消費者とのコミュニケーションについては医薬品の情報を「充分に提供しているとは思わない」の回答が多くなっています。しかし医療用医薬品の場合は直接患者さんに情報を提供するのは難しく、その辺の結果がそのまま出ているので、必ずしもこれが製薬産業の取り組みの結果ではないと思います。また「親しみを感じる」では、乳がんの患者会で「そう思わない」という回答が多くなっています。

 製薬産業の将来性、革新性に対するイメージについては「革新的である」では「どちらとも言えない」が圧倒的に多く、製薬産業から様々な情報を発信していく必要があると思います。「将来性がある」では、患者会、一般医療消費者ともに「そう思う」の割合が高くなっています。これは新薬のソースがあるという期待感も含めてと思いますが、総じて良いイメージが強いという結果になりました。  利益志向については「どちらでもない」という回答も多いのですが、残念ながら「そう思う」という回答も多く、乳がんの患者会では7割以上が「そう思う」という回答を寄せており、これがひとつの特徴であると思います。信頼性、倫理性に関しても「どちらでもない」との回答が多く、生命関連産業である製薬産業にとって倫理性、信頼性を高めていくのは非常に重要な課題であると思います。


 以上が今回のフォーラムの要旨でした。

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