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日本における新医薬品の承認審査期間


日本における新医薬品の承認審査期間(1996年―2005年)
日本製薬工業協会 医薬産業政策研究所 主任研究員 安田邦章 氏
解説講演(要旨)

 2006年12月7日(木)、東京・千代田区で製薬協メディアフォーラムが開催されました。『日本における新医薬品の承認審査期間』をテーマとして医薬産業政策研究所・安田邦章主任研究員から報告がありました。国内で承認された新医薬品の承認審査期間は1998年以降大幅な短縮がみられていますが、欧米に比べると短いとは言えない状況にあります。調査研究は、1996~2005年に承認された新医薬品の承認審査期間データに基づいて、年次による変化や審査期間に与える要因、米国FDAの審査期間との比較などが分析されています。


●2005年に承認された新医薬品の審査期間と日米の審査期間比較
 2005年に国内承認された新医薬品の承認審査期間は2001年~2004年までの傾向とは異なっていました。新医薬品のうち部会審議品目の申請日から承認日までの全審査期間の中央値を調査しましたが、2004年は17.9ヶ月、2005年は25.7ヶ月と7.8ヶ月長くなっていました。通常審査品目と優先審査品目に分けてみると、通常審査品目では2004年22.0ヶ月、2005年28.5ヶ月と6.5ヶ月の差でした。優先審査品目は年次によるばらつきがありますが、2004年7.8ヶ月、2005年24.6ヶ月と16.8ヶ月もの差がみられ、2005年の審査期間は過去10年で最も長くなっていました。

 近年、日本と米国の審査期間の差は縮小していると言われますが、日米の全承認品目について審査期間を比較してみると、2005年は日本22.7ヶ月、米国10.2ヶ月とその差は約1年で2004年よりも拡大しています。また、2000~2005年をまとめると、日本と米国の審査期間はいずれの審査区分でも日本の方が長く、その差は通常審査品目8.6ヶ月、希少疾病用医薬品5.6ヶ月、希少疾病以外の優先審査品目4.7ヶ月でした。

 次に、日本と米国で申請後1年以内に承認される品目の割合を、2000~2005年全承認品目についてみてみると、米国では約半数が1年以内に承認されていますが、日本では約2割にすぎない状況にあります。2005年に限ると米国57.9%、日本10.6%でした。審査区分別にみても、2000~2005年通常審査品目では米国43.9%、日本10.1%、優先審査品目では米国71.1%、日本46.8%といずれも大きな違いがみられています。

 一方、申請後3年以上要した品目の割合を比較すると、2005年は米国13.2%、日本12.8%と大きな違いはなく、2000~2005年をまとめてみても著しい差はありませんでした。

●承認審査の各プロセスに要する期間、審査側と申請者側持ち時間の内訳
 一般的な承認審査では、承認申請後に初回面談、専門協議等を経て医薬品部会の審議または報告後に承認される流れとなります。この調査では個々の審査プロセスに要する期間を分析していますが、2005年承認品目では2004年と比べて初回面談日から専門協議の期間が他の審査プロセスよりも著しく長くなっていました。初回面談日から専門協議の期間は、通常審査品目5.4ヶ月、優先審査品目11.3ヶ月も2004年と比べて長く、承認審査の主たる部分が全体の審査期間に大きな影響を及ぼしているといえます。

 次に、申請から承認までに要した審査側と申請者側持ち時間ですが、審査側持ち時間に限れば、日米の通常審査品目ではいずれも約12ヶ月と大きな差はなく、優先審査品目では日本のほうが米国よりも短い年も多くみられます。しかしながら、日米の全審査期間に占める審査側持ち時間の割合は、2005年通常審査品目で日本59.7%、米国90.1%、優先審査品目では日本34%、米国100%と大きく異なっています。過去10年間でみても同様です。日本と米国では審査官数や承認申請後の新薬の評価プロセスが異なっていますので、日本では申請者側持ち時間の割合が高く、全審査期間と審査側持ち時間の差は米国よりも大きくなります。

 審査側と申請者側持ち時間の年次推移を部会審議品目についてみてみると、2005年通常審査品目の審査側持ち時間は2004年と比べて3.4ヶ月、申請者側持ち時間は5.6ヶ月長くなっていました。優先審査品目では年次によるばらつきがありますが、通常審査品目と同様に2004年よりも双方の持ち時間は長くなり、特に申請者側持ち時間のほうが長くなっていました。通常審査品目について審査側持ち時間が12ヶ月以内の承認品目の割合をみると、2004年44.4%、2005年37.5%と達成率は低下しています。優先審査品目の審査側持ち時間が6ヶ月以内の承認品目の割合は、2005年に限ると22.2%でした。

●治験相談が審査期間に与える影響など
 承認申請前に行われる治験相談や個々の申請品目の特性は、審査期間に与える影響が大きいと思われます。本調査では治験相談と審査期間の関連について分析しています。後期第2相終了後相談を実施した品目の割合は年々高まっており、2005年通常審査品目では62.5%に達しています。2000~2005年承認品目の相談有無別にみた審査期間の差は1.5ヶ月と僅かでしたが、相談実施品目では未実施品目と比べて品目による審査期間のばらつきが解消されています。

 申請前相談を実施する品目の割合をみても、2004年通常審査品目では66.7%、2005年は75.0%に達しています。優先審査品目では相談実施が少なく2005年は21.4%でした。承認審査期間の違いをみると、相談を実施した通常審査品目では12.3ヶ月、優先審査品目では6.7ヶ月の期間短縮がみられていました。また、品目による審査期間のばらつきが解消されていました。

 2005年に承認された新医薬品の審査期間が長くなった要因として、審査側の品目処理能力、申請企業の作成した審査資料の質、総合機構設立以前の滞貨を優先的に処理したという一時的な理由などが挙げられます。本調査は承認品目のみ分析対象としているので、必ずしも特定の要因を明らかにすることはできませんでした。しかしながら、今回の調査で行った分析結果を考え合わせると、このうちどれか一つの要因によるとは考えにくいと思われます。

 次に、日本と米国の承認審査期間の違いですが、過去の推移からみれば、全審査期間の差は2005年承認品目で再び拡大していました。また、1年以内に承認される品目の割合は日本と米国で大きな違いがあり、日米の審査期間の差は未だ大きいといえます。 このような状況を改善するためには、審査官の増員などの審査処理能力の向上とともに申請企業が作成する審査資料の質を高める必要があります。審査当局が国内承認審査の方向性や明確な審査基準を新薬開発企業に事前に示すことや治験相談機能の強化などが必要と思われます。申請前段階から国内承認審査が遅滞なく行える合理的な作業プロセスの構築は、新薬開発企業の申請資料の質の向上、申請後の本来不要となる作業の減少を通じて、審査の迅速化にも寄与する可能性が高いといえます。


 以上が今回のフォーラムの要旨でした。講演後多くのジャーナリストとの質疑応答がおこなわれ、盛況のうちに費閉会しました。なお今回のフォーラムの内容は医薬産業政策研究所発行のリサーチペーパー・シリーズ№35に詳しく掲載されています。

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