「未承認薬の適応拡大にむけて- 膠原病のお薬を通じて」大黒  宏司  氏(全国膠原病友の会  大阪支部/理学療法士、社会福祉士)

膠原病とは・・・免疫機能の異常による全身性疾患の一連の総称

膠原病は難治性の希少疾患です。膠原病とは、一つの病気の名前ではなく、ベーチェット病、全身性エリテマトーデス(SLE)、強皮症、悪性関節リウマチなどを含む、免疫機能の異常による全身性疾患の一連の総称です。
膠原病の患者さんたちは同じような原因による、同じような病気に対して、同じような治療をしているにもかかわらず、疾患名が変わると研究や福祉などの制度が異なるために、医療費や研究の進展に格差が生まれるといった社会的な問題に直面しています。

膠原病友の会の活動 医療格差をなくし、治療方法の確立を支援する

このような状況を改善するために、全国膠原病友の会は、

  1. 膠原病を良く知り、理解を深め、正しい療養をすること。
  2. 明るく希望の持てる療養生活が送れるように、会員相互の親睦と交流を深める。
  3. 膠原病の原因究明と治療法の確立、ならびに社会的支援システムの樹立を要請する。

を目的とした活動を行っています。

膠原病を専門としている医師は大変少なく、さらに専門医の多くが関東圏に集中しているため、専門医が不足している地域の患者さんは一般の内科医を受診し、病状が深刻になってから大学病院などの専門医を訪れることもあり、早期に適切な治療を受けることができない場合もあります。
友の会に参加している人は均一な情報にアクセスすることができますが、それ以外では病気や治療に関しての情報が得られない患者さんもいます。

薬剤開発の問題 症状が多彩なため臨床試験が難しい側面も

膠原病の治療に承認されている薬剤はステロイドですが、実際にはステロイドだけでは効果が得られないケースも多いために、適応外でも免疫抑制薬を使わざるを得ないケースがあります。
そうなると、例えば、研究に参加する形で治療を受けられる人と、自費で治療を受ける人の間には大きな経済格差が生じ、経済的理由で治療を断念しなければならない場合も出てきます。
また適応外薬の使用に関しては、医療機関や自治体によって対応が必ずしも同じではないため、転居、転院などに伴って、以前に使用していた薬剤が使用できないといったケースもあります。
米国では民間保険会社が認めれば適応外の薬剤でも使えますし、欧州では学会が認定した希少疾患の薬剤は保険適用となる国もありますが、日本では適応症と薬事法が密接にリンクしていて使用することができません。
膠原病への適応追加のための臨床試験(治験)を実施するにも、膠原病の症状は余りにも多彩すぎるので、薬剤の効果判定指標を設定できず、治験を実施すること自体が難しいのです。膠原病の場合は、通常の薬剤のように、一つの薬剤が7割の人に効くというのではなく、ある人にはある薬剤が非常に効果的だが、同じ薬が他の人には効果がないという反応が起こるので、通常の治験の概念での薬効評価ができないのです。

公知申請による適応追加 やっと患者のために動き出した

そのような状況の中で、3成分4薬剤が新たに膠原病関連疾患の適応を取得しました(表1)。この中で、免疫グロブリンは治験が行われて承認され、それ以外は通常の治験に基づく適応追加ではなく、公知申請による適応追加が認められました。
公知申請とは海外で標準的に使われていて、十分な科学的根拠がある薬剤が国内で未承認の場合に、治験を行うことなく承認申請を認める制度ですが、大規模な治験を行うことができない希少疾患や、最新の研究成果の速やかな臨床応用が待たれる難病において、このような形での適応拡大が実現されたことは、大きな前進といえるでしょう。
来年には患者の会は40周年を迎えます。これまで、患者の立場として、海外で承認されている薬を日本でも使えるように、保険適用されるように訴えてきました。それが最近やっと、少しずつですが実ってきたと実感しています。しかし、まだまだ医療側も患者側も困っている。多種多様な疾患像を示す膠原病では、いろいろと難しいという状況があることはわかっていますが、海外で適応がある薬は、患者さんのために保険適用されるべきだと思いますし、その意味では、まだ多くの薬剤の適応追加が望まれています(表2)。今後はこれらの薬剤に関しても同様の適応拡大が速やかに行われることを願っています。

表1 厚生労働省「未承認薬・適応外薬に係る開発の要望の公募」に対して
日本リウマチ学会が要望した膠原病に関わる適応外薬の一覧
表2 今後望まれる膠原病の適応外薬