患者団体間の連携、学会と患者団体のパートナーシップの先駆的試み
~エイズ学会における患者団体共同シンポジウムと、HIV陽性者学会参加支援スカラシップ~
2007年11月28日、第21回エイズ学会(広島)において、学会の公式プログラムとして、HIV陽性者支援団体・当事者団体による共同シンポジウム「HIV陽性者の治療認識(Treatment literacy) -医療現場と自助活動の連携・協働の可能性を探る」が、昨年を上回る約180人が参加する盛況の中で開催されました。この共同シンポジウムは、2006年11月の第20回エイズ学会(東京)にて、日本製薬工業協会の協賛により初めて開催されたもので、今回はその実績が認められ、“学会の公式プログラム”という位置づけでの開催となりました。また、製薬協会員会社などさまざまな企業の協力によるHIV陽性者の学会参加支援のためのスカラシップも、昨年に引き続き設けられました。日本製薬工業協会は、このエイズ学会における患者団体の取り組みを、患者中心の医療を進めるための重要な基盤である「患者団体間の連携」、そして「学会と患者団体のパートナーシップ確立」のための先駆的な試みとして、2年間にわたり支援してきました。
小嶋美子
患者団体間の連携
患者中心の医療を実現するためには、患者の声を代表する患者団体・患者支援団体が連携し、より強いアドボカシー機能を獲得されることが重要です。しかしながら、同じ疾病領域で活動する患者団体・患者支援団体の間でも、ヒト・モノ・カネといった資源に恵まれないなどの理由から、連携があまり進んでいないのが現状のようです。
第20回エイズ学会が、「共同シンポジウム開催」の端緒になりましたが、これにはHIV陽性者支援団体「ぷれいす東京」代表の池上千寿子氏が学会長をつとめられたことが、大きく影響しています。医療者以外で初めてとなる学会長の登場を機に、4つのHIV陽性者支援団体・当事者団体(社会福祉法人「はばたき福祉事業団」、特定非営利活動法人「ぷれいす東京」、「日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス」、特定非営利活動法人「日本慢性疾患セルフマネジメント協会」)が協働することになりました。そのことを製薬協としても高く評価し、支援を決定しました。
そしてこの実績により、学会公式プログラムとなった今回の共同シンポジウムでは、従来の4団体に加え、学会開催地である広島の地元患者団体「りょうちゃんず」が参加しました。当日は夕方6時30分の開会にもかかわらず、HIV陽性者の自助およびピアサポートの活動を行う当事者に医療者を交えた多彩な顔ぶれで、HIV陽性者の治療認識における相互補完や連携の可能性を探る議論が行われました。
学会と患者団体とのパートナーシップ
また、さまざまな企業の協力により、HIV陽性者の学会参加支援のためのスカラシップ(交通費・学会登録料の一部負担)を前回に引き続き実施することができました。今回は43名のHIV陽性者が学会参加スカラシップを得て、学会に参加しました。
今後について
このような、学会での患者団体によるシンポジウム開催や、患者当事者の学会参加は、医療従事者に患者当事者の声を届ける、また患者当事者が最新の医療・医薬関連情報を獲得するという双方向性をもち、患者中心の医療の実現を進めるための重要なパートナーシップと考えます。今回のシンポジウムの模様やスカラシップを受けたHIV陽性者からの学会レポートは報告書にまとめ、ご協力いただいた企業やエイズ関連医療機関や医療従事者に加え、他の学会や患者団体にも提供していく予定です。
このエイズ学会での取り組みを、「患者団体間の連携」、そして「学会と患者団体とのパートナーシップ」の一つのモデルとして、他の疾病領域においても、より良いパートナーシップが広がっていくことを支援していきたいと考えています。




