新薬に対する患者の願い、研究者の思い
患者会を招き研究所見学会を実施
~患者と研究者の対話が生み出したもの~
製薬協広報委員会は、患者会の方々を最新の医療施設等へ見学にお招きする「医療施設等見学会」を実施しています。第6回目となる今回、過去の参加者からのリクエストが多かった「製薬企業の研究所」の見学会を実現させ、29名のさまざまな患者会の方々が万有製薬のつくば研究所を見学しました。万有製薬は、アメリカの製薬会社Merck& Co., Inc., Whitehouse Station, N.J., U.S.A. の一員であり、世界に9つある研究所の中で、当つくば研究所では主にがんと代謝性疾患領域の研究を担当しています。当日は研究所を隈なく見学し、参加者と研究者との間で熱の入った情報交換、質疑応答が行われました。
研究所を隅から隅まで見学し、参加者の満足度は「高」
(注1)ゲノム情報を利用して大量に作られるデータを統計解析する、新しい分野の科学。
(注2)高速大量処理化合物評価。多くの化合物の効果を短時間に調べるための実験技術。
最新の医薬品研究
コンピューター技術を駆使して遺伝子の解析を行い、テーラーメード医療の実現のために日夜研究が重ねられています。副作用をできるだけ少なくするため、分子レベルで創薬ターゲットを突き止めたり、患者それぞれの遺伝子発現の違いによって投薬を変えたりすることが最新の医薬品研究の目標です。参加者の興味関心は非常に高く、説明する研究者の話に聞き入っていました。
●ハイライト
バイオインフォマティクスの説明では、コンピューターの画面に遺伝子の解析図が現れ、参加者の目を引き付けました。また、分子設計の説明では、創薬ターゲットとなるたんぱく質に対して、最も適した化合物を探すプロセスが、コンピューター上で実演され、新薬をデザインしていく様子を目の当たりにしました。
患者さんの願い~いい薬を一日も早る
いい薬を一日も早く。それが患者さんの一番の関心事であり、願いです。その願いの切実さを改めて実感させられる一日でもありました。患者さんは、今は治せない病気や障害を治すことができる特効薬を首を長くして待っています。参加者から、現在行われている研究に関する質問に加え、将来の新薬の可能性についての質問が多く出され、並々ならぬ思いでその実現を望んでいることが伝わってきました。
研究者の思い ~救うのは『患者群』ではなく一人ひとりの患者さん~
今回の見学会で、普段は患者さんと接することのない研究者たちが、実際の患者さんからの問いかけに身を投じ、患者さんの思いを実感することになりました。「私たち研究者は、普段は何百万人という患者さんの『群』しか見えていない。その『群』の中のどれだけ多くの患者さんを救えるかが研究者の仕事だと思ってしまう。しかし、このように患者さんと実際に接してみると、『群』の中にいる一人ひとりの患者さんの顔が見えてくる。自分たちは、この患者さんたちを助けなければならないんだという責任の重さをはっきりと感じることができる。救うのは、『群』ではなく一人ひとりの患者さんだということを実感させられた。今日はとても良い経験をしました。」という、説明を担当した研究者の言葉が印象に残りました。普段は接することのない、患者と研究者との間のコミュニケーションは、研究者への影響という観点からも有意義でした。




